マルチワーカ―の働き方についてのインタビュー調査
(2024年9月17日撮影)
突然ですが、「マルチワーカ―」という働き方をご存知でしょうか。マルチワーカ―とは、複数の仕事に同時に従事する働き方のことを言います。たとえば、夏の時期は林業を担い、雪が多くて山間部での作業が難しくなる冬の時期は観光業や飲食業に携わる、あるいは、曜日によって、働き先を変えるような働き方をいいます。特に人口規模が比較的小さい地域において、このマルチワーカ―としての働き方がいま注目を集めています。
今回の「とっとりキャリア教育学生プロジェクト」では、特に地方で注目されているこうした新しい働き方や暮らし方に焦点を当てて、その魅力や課題を検討し、将来を考える大学生はU・I・Jターン情報を始めとした移住や就職情報等に、どう向き合うべきなのかを検討しています。実践的な取り組みの現状を調べるため、2024年9月17日から18日に、フィールドワークにてインタビュー調査を実施しました。プロジェクトの参加者は、甲南大学の2年生および3年生の8名です。
マルチワーカ―として勤務する水川真菜巳さん
(2024年9月17日撮影)
インタビュー調査に協力いただいた、智頭町複業協同組合でマルチワーカ―として勤務する水川真菜巳(みずかわ・まなみ)さん(20歳代)は、兵庫県でデザイン事務所にて約2年勤務し、地元の岡山県で約半年ほど接客業に就いた後、移住転職サイトで同組合のマルチワーカ―の求人を見つけて、鳥取県への移住を決めています。現在は、国の指定重要文化財である石谷家住宅にて観光業を、また、智頭町役場や同組合等でデザイン業務をと、曜日によって職務内容が変わります。以前は、同じ組織に所属し同じコミュニティのなかで行き詰まりを感じていたそうですが、「毎日同じ場所で同じ人と働くよりも、適度に環境を変えて働く方が、自分の精神的や生活のリズムが取りやすい」と感じているそうです。
当日はNHK鳥取放送局の取材を受けた
(2024年9月17日撮影)
その他には、日々の買い物や薬剤、飲食店の商品を届けるプラットフォームサービスの開発・運営を通して、地域のコミュニティの再構築、および、公民館など既存の地域資源のデジタルトランスフォーメーション(DX)化をめざす株式会社アクシスの梶岡大晃(かじおか・ひろあき)さん(30歳代)には、買い物困難という社会問題をビジネスで解決する働き方についてお話を伺いました。さらに、地域住民の移動手段であるだけでなく、観光資源でもある若桜鉄道株式会社にて、求人募集が無かったにもかかわらず、自らインターンの問い合わせをして就職につなげた工務課の岡田悠樹(おかだ・ゆうき)さん(20歳代)に、自身のキャリアプランや娯楽が少ないからこそ広がる趣味など、鳥取県での仕事や暮らしぶりを伺いました。
株式会社アクシスの梶岡大晃さんへの 若桜鉄道株式会社の岡田悠樹さんへの
インタビュー(2024年9月18日撮影) インタビュー(2024年9月17日撮影)
参加した学生は、「インタビューがこれほど難しいものだとは思わなかった」,「事前の下調べの重要性を痛感した」などインタビュー調査の奥深さに触れたようでしたが、フィールドワークに同行いただいた鳥取県関西本部の加賀田健さんから、「二日間の学生のみなさんの変化に驚きました。どんどん積極的になって行く様子を見ることができました」とのコメントを頂戴しました。
インタビュー調査結果を受けて、現在はさらに文献調査や就職関連イベントに参加するなど、あらたなデータ収集と議論を重ねています。今回のプロジェクトの成果報告会は、2024年11月12日(火)に本学岡本キャンパスにて開催予定です。
文・甲南大学 全学教育推進機構 全学共通教育センター
特任准教授 岡村 こず恵
水川さんの職場の一つ石谷家住宅
(2024年9月17日 岡村こず恵撮影)
<プロジェクト参加メンバー>
甲南大学文学部社会学科 3年生 村川 真柚
法学部 2年生 春日井 実莉
法学部 2年生 小西 瑞基
経営学部 2年生 青山 倫也
経営学部 2年生 前田 幹太
経営学部 2年生 松崎 風音
マネジメント創造学部 2年生 嶋田 みう
マネジメント創造学部 2年生 土本 実乃里
【指導教員】
甲南大学 全学教育推進機構 全学共通教育センター
特任准教授 岡村 こず恵