甲南大学地域連携センター

KONAN INFINITY
23.10.18

多様なキャリア形成を調査する ~とっとりキャリア教育学生プロジェクト~

        

   20歳代でまちづくり会社を事業継承した遠藤みさとさんに、どぶろくの製造工程を伺う

                          (2023年9月20日  岡村こず恵撮影)

 

 みなさんは就職活動について、どのようなイメージをもっているでしょうか。大学在学中にインターン活動に参加して勤務経験を積み、就職活動に取り組んで、一斉に就職する、というようなイメージをもっている人が多いかもしれませんね。しかし実際には、人から紹介やアルバイトがきっかけになって就職したり、学生の間にNPO等でボランティア活動に参加するなかで、自らソーシャルビジネスを起業したり、実に様々なスタイルがあります。また、こうした就職活動を含め、人が生涯を通じて従事するひと続きの職業や職務などのことを、より広い意味で「キャリア」と呼び、その形成を「キャリア形成」と言います。

 甲南大学では、この「キャリア形成」という視点を意識しながら、大学生のみなさんが自分の望む将来を自ら築いていくために、「キャリアデザイン」などの専門教育科目とともに、様々なサポートプログラムを実施しています。そのなかの一つが「とっとりキャリア教育学生プロジェクト」です。このプロジェクトは、将来の自分のキャリア形成について具体的にイメージできるようになったり、将来の自らの生き方の選択肢を増やすことを目的としています。多様なキャリア形成の実態を調査し、その過程で何を材料に、どのような決断をしたのか、その後、キャリア形成についての考え方がどのように変化したのかなどについて、インタビュー調査を実施します。

 フィールドとして、注目しているのは鳥取県です。なぜなら、鳥取県は、日本で最も人口が少ない都道府県にもかからず、他府県からの移住者が大変多い地域だからです。甲南大学は就職支援協定を結んでいる鳥取県と共同して、キャリア教育を実施しています。その一環で、今回は多様なキャリアを形成している次のような方々に、インタビュー調査を実施しました。大山の麓に自転車競技であるBMXのパークを開設したBMXプロライダーの冨永勇太さん、20歳代でまちづくり会社を事業継承した株式会社上代の遠藤みさとさん、ふるさと鳥取県定住機構のコーディネーターとして移住者を支援する中元淳子さん、箕浦香生里さん、地方や都市との機会格差を是正したいと20歳代でドローンの操縦者養成スクールを起業した株式会社skyer代表取締役の宇佐美孝太さんと、多様なキャリア形成の歩みを続けておられる方々にお話を伺いました。

 

        

     雄大な大山の麓にBMXパークを開設したBMXプロライダーの冨永勇太さん

                                                                                     (2023年9月20日  岡村こず恵撮影)

 

 そのうちの一人、相田健吾さんは民間企業のエンジニアから鳥取県米子(よなご)市職員に転職されています。パートナーのご実家が米子市だったことから、現在の職場を選択されました。前職は民間企業でエンジニアとして全力で職務にあたっていたそうです。1日中仕事のことを考えているかのような生活でしたが、そうあるべきだと考えていたし、大きなやりがいも得ていました。しかし、休日にも仕事の電話がかかってくるような日常にある日疑問を感じ、ワークライフバランスを改善したいと考えて、米子市に移住することを決断します。「時間」「お金」「余暇」「教育」など項目ごとに移住前後の生活の自己採点を聞かせていただき、何をどう評価されているのか具体的なお話を伺うことができました。

 

        

      鳥取県米子市に移住してきた総合点は「◎(二重丸)」と語る相田健吾さん

                        (2023年9月21日  岡村こず恵撮影)

 

以下は、フィールドワークに参加した学生のコメントです(趣旨を変えない程度に修正しています)。

・「学生時代に多様な職種を経験することや積極的に社会人と交流する等、価値観を広げて

  将来の選択肢を増やすことを学んだ」

・「知らない土地に移住することは簡単なことではなく、資金面や人脈などさまざまな問題

  があるが、地元の人や関係者に頼ることで豊かな生活が送れていることを知った。地域

  の人との繋がりや、行政とのつながりなど助け合っていることで移住は成り立ってい

  る」

・「自分と見つめあい、自分らしさを引き出せる職業に就けるように、日々色んなことに挑

  戦することが重要」

・「社会課題からビジネスが生まれるということを学んだ」

 

        

   「地方都市は『社会課題の最先端』であり、ビジネスチャンスの宝庫」と語る宇佐美孝太さん

                        (2023年9月21日  岡村こず恵撮影)

 

 これから学生の皆さんは、地方都市での暮らしや仕事の魅力や課題、大学でのキャリア形成支援の現状や課題なども学んだうえで、インタビュー内容を記事にしたり、キャリア形成を応援するメッセージを大学生に届けます。成果報告会に向けて、ラストスパートです。

 

文・甲南大学 全学教育推進機構 全学共通教育センター 

特任准教授 岡村 こず恵

 

 

<プロジェクト参加メンバー>

河合 新 (甲南大学 経済学部 経済学科 3年生)

 草加 有輝 (甲南大学 法学部法学科 3年生)

 福田 愛芽 (甲南大学 法学部 法学科 2年生)

 大村 梓紗 (甲南大学 法学部 法学科 2年生)

柏原 江里 (甲南大学 法学部 法学科 2年生)

 福田 桃子 (甲南大学 経営学部 経営学科 2年生)

 横田 桜咲 (甲南大学 経営学部 経営学科 2年生)

 島村 大地 (甲南大学 フロンティアサイエンス学部 生命化学科 2年生)

 太田 若那 (甲南大学 経営学部 経営学科 1年生)

野口 和史 (甲南大学 経営学部 経営学科 1年生)

 

【指導教員】

甲南大学 全学教育推進機構 全学共通教育センター 特任准教授 岡村 こず恵