甲南大学地域連携センター

KONAN INFINITY
21.5.21

東京海上日動火災保険㈱×神戸市×甲南大学~次の世代へと繋ぐ「ぼうさい授業」~

 2021年3月12日(金)、神戸市立魚崎中学校2年生を対象に、東京海上日動火災保険株式会社と甲南大学による「ぼうさい授業」を実施しました。当初、甲南大学にて対面で実施する予定でしたが、新型コロナウイルス感染防止対策のため神戸市立魚崎中学校にてオンラインを使用して遠隔で実施することになりました。

 

 「ぼうさい授業」とは、小学生が自然災害についての知識を身につけることを目的とした、東京海上日動火災保険株式会社が行っている社会貢献活動です。私たち甲南大学生はその授業の一部を担当して企画し、実施にあたりました。東京海上日動火災保険株式会社と連携して、神戸市の協力を得て、甲南大学が実施するのが、この「ぼうさい授業」プロジェクトで、今回は感染症対策と避難所をテーマに取り組みました。

 

 授業を企画するにあたり、まず東京海上日動火災保険株式会社の方に「ぼうさい授業」について、神戸市の担当の方々に神戸市における避難所運営について、講義をしていただきました。また長田区にあるふたば学舎で避難所の体験学習を受講したり、魚崎町の防災コミュニティの方の話を聞いたりなど、まずは自分たちの災害や防災に関する知識を蓄えました。これらで得た知識を活かし、授業企画を考えました。

 

 その企画の中間報告として、プレゼンテーションを東京海上日動火災保険株式会社と神戸市の方々に行い、様々な視点から指摘をいただきました。これらを踏まえ、今回私たちは、新型コロナウイルスの流行で、より「自助と共助の大切さ」が高まっていることをあげ、それに伴いどういった”備え”が必要になってくるのかを考え、備えの行動に移すための“想像力”を働かせる「ぼうさい授業」を完成させました。

 

 「ぼうさい授業」当日、導入部分でまず東京海上日動火災保険会社の方から地震や津波の仕組みについて授業をしていただきました。その後、甲南大学生による授業をしました。

 私たちの授業は座学とワークショップに分かれ、座学の部分ではコロナ禍での多様化する避難の方法や避難所運営方針など、現状に沿った防災知識について説明しました。またハザードマップを使って魚崎町の津波のリスクを知ってもらうとともに、加えて魚崎町の緊急避難場所や災害時給水拠点の場所なども説明しました。全てのクラスの生徒達が、真剣にこちらの授業を聞いている様子が伺えました。

 ワークショップの部分では二つのゲームを行いました。一つ目は災害時の状況に応じた備えの行動を考えさせるトロッコアドベンチャークイズです。各グループで答えてもらいましたが、ほとんど正解の問題もあれば、少しばらつきが出る問題もあるなど、悩みながら答えを出す様子が見られました。また各グループで話し合ってもらう問題ではグループで出た意見をいくつか発表してもらいましたが、災害時の状況をしっかりと考えられた意見がたくさん出てきたことに驚きました。

 二つ目は、災害時の物の備えを学ぶすごろくゲームです。災害後に起こる問題や、そのような時に必要になる防災グッズなどについてゲームの中で楽しく学べるようにしました。クラス対抗でサイコロを振ってコマを進めたので、生徒たちも盛り上がり、楽しみながら取り組んでいることが見受けられました。

 

*授業の実施方法:オンラインで実施

 ・場所:学生は魚崎中学校の放送室から授業を提供。生徒たちは各教室で受講。

 ・方法:教室の大型テレビに、授業スライドとカメラ映像を配信。音声は放送スピーカ
     ーとテレビ音声を併用。黒板にZoomミーティングを使用して、各クラスや放
     送室の様子を投影。

 

 これで「ぼうさい授業」は終了となりましたが、授業後に、生徒の皆さんに振り返りシートを記入してもらいました。後日確認してみると、今回学んだことの中から家族に伝えたいこととして、「避難方法は、避難所に行くことだけでない」や「どこに避難するかを決めておく」などの意見が寄せられました。近所のおじいちゃんやおばあちゃんに伝えたいこととしては、「人によって必要であるものは違うから、自分で準備できるものは用意しておく」や「避難所でも新型コロナウイルス感染症対策がされているため、安心して避難できる」などの意見が寄せられました。生徒たちが今回の授業で防災についてしっかりと学んでくれていることがわかりました。振り返りシートは、私たちのコメントを添えて、またクラスごとに意見を集約したまとめシートを添付して、生徒たちに返却しました。

 

 「ぼうさい授業」を通して、私たち自身も防災の大切さを改めて認識させられました。その中で、生徒たちにも災害は”他人事“ではなく”自分事”として捉えるようになってほしいと言う気持ちが強くなっていき、メンバー四人全員で企画・構成を何度も練り直し工夫しました。そしてやっと完成した授業を生徒たちが「楽しかった」や「防災のことについて知れてよかった」「防災のために必要な備えや、災害が起こったときにどのように行動すればよいかについて学ぶことができた」などの感想を書いているのを見て、精一杯頑張って本当によかったと感じました。

 

 今回の「ぼうさい授業」を無事終えることができたのも、関係者の方々のサポートのおかげです。東京海上日動火災保険株式会社と神戸市の方々には、何度も私たちのプレゼンテーションを見てくださり、重要なご指摘をいただきました。神戸市立魚崎中学校の先生方には、事前準備やリハーサルにご協力いただき、当日の運営もサポートいただきました。また甲南大学地域連携センターの方々がさまざまな役割を担ってサポートをしてくださいました。

 このような貴重な経験をさせていただいたことに心から感謝し、そして今回の「ぼうさい授業」が少しでも減災に繋がればと思います。

 

チームを代表して 文学部2年生 齊藤万莉

 

 

【「ぼうさい授業」2020年度メンバー】

経営学部3年生 永田理紗

経営学部3年生 難波明星

文学部2年生  齊藤万莉

文学部1年生  松田未海

指導教員:共通教育センター教授 久保はるか