——団体の活動内容を教えてください。
爲谷:兵庫県保育協会では兵庫県にある520施設の保育施設を取りまとめています。兵庫県内
で地域ごとに代表者がおり、代表者が会議等で密に連携を取りながら施設に対して情
報を共有したり、また施設からの要望を聞いたりします。
ボランティア事業に関しては、ホームページやチラシで募集をかけている保育体験ボ
ランティアだけでなく、子ども食堂・学習支援・高齢者向けのサロンなど個々の保育
施設で様々なボランティアを募集しています。また私が所属しております社会福祉法
人ソフィア福祉会 バラホーム保育所では、水曜日に小林聖心女子学院の生徒がボラン
ティアとして、1時間ほど子ども達と遊んでくれています。こちらの学生ボランティ
ア活動は30~40年前から続いています。当園の設立に小林聖心女子学院の卒業生が携
わっており、昔から深い関わりがあります。
兵庫県保育協会 副会長の爲谷さん
(福田桃子撮影、2024年6月6日)
——保育体験ボランティアだけでなく、様々なボランティアを受け入れているとお聞きしまし
た。ボランティアをどういう存在と捉えていらっしゃいますか。
爲谷:子ども達にとって、いつもいる保育施設の職員も大切な存在ですが、ボランティアの
方が来てくださると子ども達の笑顔がいつも以上に溢れます。その笑顔を見ること
や、ボランティアに参加してくださる方の「楽しかった」という言葉が私たち職員に
とっての原動力になり、非常にありがたい存在です。ボランティア活動に来られる時
は、子ども達に明るく声がけするように配慮し、子ども達もボランティアの皆さんも
双方が訪問を楽しみにしてもらえるように心がけています。ボランティアの皆さんは
保育士ではないし、毎日いるわけではないですが、子ども達の心が安らぐ存在でもあ
ります。
インタビューの様子
(画像:兵庫県保育協会提供)
——ボランティアに参加することによって得られる価値とはどのようなものでしょうか。
爲谷:保育体験ボランティアに参加する理由としては「保育士になりたい」という方が多い
です。近年保育に関わる教育機関が少なくなっていますので、学生の時に保育所のボ
ランティアに参加することで保育士の良さや保育現場の現状を実感できるのではない
かと考えています。また潜在保育士の人がボランティア活動に参加することで、保育
現場への復帰にも繋がると考えています。
保育士になりたいという人だけでなく「子ども達と関わりたい」という人にも多く参
加してほしいと思っています。子ども達と関わることで、ボランティアにとっても子
ども達にとってもお互いの心が温まり、子ども達への新たな発見を見いだすきっかけ
に繋がると考えています。例えば、普段あまり話さない子どもが今日は話してくれたな
どの、ささいな発見が満足に繋がり、ご自身の中でのプラスになるのではないかと思
っています。
——子ども達のより良い未来のために、何が必要だとお考えですか。また私たち学生に何を求
めていますか。
爲谷:学生の方々には多くの思い出を作ってほしいと思っています。思い出とは、クラブ活
動でも勉強でも何かに一生懸命取り組むことによるものです。それは、皆さんの将来
の土台づくりにきっと繋がります。
より良い社会のためには、子どもだけでなく、子ども達を育てていく大人の環境や周
りの環境を大切にすることが第一だと考えています。「今ある全てのものは必要だから
存在している」と考えているので、いま存在しているものを継続していくことが大切
だと考えています。
(画像:兵庫県保育協会提供)
〈団体プロフィール〉———————————————————————————————–
兵庫県保育協会は、児童福祉の増進を目的として、地域における子育て支援等の活動をして
いる団体である。兵庫県保育協会は1948(昭和23)年にその前進である兵庫県保育所連盟とし
て発足し、1987(昭和62)年に社団法人の認可を受け、2013(平成25)年に公益社団法人とし
て認定された。当団体には現在520施設(公立106件、私立414件)の兵庫県内(神戸市・姫路市
・西宮市を除く)の認可を受けた保育所や認定こども園等が加入しており、保育士有資格者と
施設とのマッチングなどの就職活動支援や機関誌・調査結果等の冊子の発行による乳幼児保
育に関する普及及び啓発活動に取り組んでいる。
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話・爲谷智恵美(ためたに・ちえみ)氏(副会長)
文・甲南大学 経営学部3年生 福田桃子
(2024年6月取材)