甲南大学地域連携センター

KONAN INFINITY
23.1.30

支えられた人は やがて 支える人になる——BE KOBEミライPROJECT——

<団体プロフィール>———————————————————————————————–

 BE KOBEミライPROJECTとは、市民・行政・企業・大学が連携し、神戸市のシビックプライド・メッセージである「BE KOBE」の実践活動として、神戸の未来を担う子どもたちを支援する取り組み。BE KOBEブランドを活用した経済活動を通じて、楽しみながら社会貢献ができる仕組みを作り、その収益を使って神戸の子ども支援活動を資金面等で支援している。

 地域の学生や企業と連携し企画・開発した「BE KOBE Specialty Coffee」は、コーヒーの売上の一部が神戸の子ども支援につながるだけではなく、生産地・エチオピアの子ども支援にも活用されている。また2021年より、支援を必要としている子育て家庭への食支援「神戸こども宅食プロジェクト」(延べ2,550世帯)や新型コロナウイルスの感染拡大により学業の継続が困難になった学生への食支援「BE KOBE神戸の学生フードエイドプロジェクト」(延べ851名)を行っている。

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——神戸の未来を担う子どもたちを支援するために設立されたと伺いました。

 神戸には相対的貧困状態にある子どもが、7人に1人いると言われています。貧困といっても、金銭的貧困、時間的貧困、精神的貧困があります。貧困状態にある家庭の子どもはさまざまな体験や学習の機会が奪われてしまうことも多く……。こうした子どもを私たちが支え、またその子どもが支える側へ回るようなサイクルになることを目指して活動しています。そのためにも私たちは、ただ善い行いをするだけではなく、プロジェクトをまず私たち自身が全力で楽しむことをモットーに活動しています。どのプロジェクトでも「自分が楽しめば、周りも楽しくなっていく」ということを、大切にしています。

 

——活動をしてこられて、大変なことも多かったと思います。

 どのプロジェクトを進めるのも本当に大変です。でも、このプロジェクトをきっかけに参加した学生から、神戸に就職することになったので社会人になってからも活動に参加したいと報告をもらえた時は、本当に嬉しかったです。大変なことも多いけれど、ご協力いただいている企業など、多くの方から「頑張って」と言ってもらえます。また、「神戸こども宅食プロジェクト」では手書きのメッセージを食品と一緒に送っています。食品以上に、そのメッセージを喜んでいただき、食品パックを受け取ったご家庭から、アンケートに「心の支えになりました」とたくさん回答いただきたました。このような声をいただいたとき、続けていてよかったと感じられます。

 

——コロナ禍では、苦労も一層増えたと思います。

そうなんです。やっぱり顔を合わせることが減ってしまったのは、非常に残念でした。それでも神戸の学生の食の支援を目的とした「BE KOBE神戸の学生フードエイドプロジェクト」は、コロナ禍で上手く展開できたと思います。新型コロナウイルスの拡大で、アルバイトを自粛せざるを得なかったり、帰省できなくなったりして困窮している大学生がたくさんいました。彼らの悲痛な声がダイレクトに届いてきて、「これまでプロジェクトを支えてきてくれた大学生を、恩返しとして、支えなければ」との思いから、このプロジェクトを始めました。プロジェクトでこだわったのは、食料の支援を必要とする学生自身に、食品を会場まで直接取りに来てもらうということです。つながりを実感してもらうために、受け取りに来るのも学生、渡すのも学生。これによって、同じ世代で支え合うコミュニティができ、コロナ禍でオンライン授業が多く、孤独を感じていた学生に、食料支援だけでなく、つながる機会をつくることができました。

 

  

    事務局の井出山沙織さん            ルミナリエ時の活動の様子

  (加堂生織 撮影、2022年5月25日)        (写真:「BE KOBEミライPROJECT」提供)

 

——学生ボランティアの雰囲気がいいですね。

甲南大学を含め、神戸の学生が多く参加しています。最初に取り組んだ「BE KOBE Specialty Coffee」は2019年に学生ボランティアが集まり、講師を招いて、学生たちでオリジナルコーヒーを企画・開発するという活動でした。「BE KOBE Specialty Coffee」から、今も継続して他の事業へも参加しているメンバーも多数います。「アットホームな環境で、雰囲気も良いので楽しい」と言ってくれます。カフェ好きでプロジェクトに参加した人、甲南大学地域連携センターのウェブサイトを見て参加した人、友達に誘われた人など、参加したきっかけはさまざまですが、このプロジェクトを通して学生同士のつながりもできて、笑顔が増えてきました。

 

——最後に、神戸の若者へメッセージをお願いします。

 子どもも大人もみんなが笑顔になれる神戸を、一緒につくりましょう!

 

 

話・井出山 沙織 氏(BE KOBEミライPROJECT事務局)

文・甲南大学 経営学部 2年次生 岡田 絃

                               (2022年5月取材)