3．法情報とは
3-1. 法情報とは
法律は成立するまでに長い時間がかかります。問題が社会に認識され、議論され、内閣や議員によって法案が作成され、 国会で審議され、多数の支持が得られれば、法律として成立します。つまり、ある法律を理解するためには、その目的や審議の内容を知る必要があります。
加えて、その法律に則って、どのように行政が行われているのか、関連する問題に対して、裁判所がどのような決定をしたのかも必要となるでしょう。
法情報は、この過程全てに関わる情報で、常に変化し続ける情報です。
3-2. 法学の本の配架場所
法律・法学の本は、主に図書館１階３２０番台に分類されています。ここには、概説書や体系書、法学全般にかかわる本があります。
体系書とは、基本原理や基礎理念を論理的に順序立てて解説した本で、事典のように使うことができます。体系書は、たとえば、「民法総論」「刑法各論」というように、法律名がタイトルに入っていることが多いです。
各分野の法に関する本は、各分野に分類されます。たとえば、労働法の本は３６６に、環境問題なら５１９にあります。法学は全ての分野に広く関わっているので、広く分散して配架されています。
文献収集には、蔵書検索システムのほかにも、『いろいろでぃすかばりー』、『TKCローライブラリー』などのデータベース、本や論文の参考文献情報など様々なツールが活用できます。
電子書籍の利用方法は、前項を参照してください。
3-3. 「版表示」に気を付けて
本は、タイトルはそのままに、内容を一部改訂して出版されることがあります。こういった場合、以前の「版」と区別するために、「新版」や「第６版」といった、版表示が付けられます。
特に法律は度々改正されるので、法学の基本資料は、頻繁に新しい版が出版されます。改正前に発行された本は使えない、ということもあるので、版表示だけでなく出版年にも注意が必要です。
3-4. 法令と「六法全書」
現行法令は、電子政府の総合窓口『e-Gov』で検索できます。無料のアプリもありますが、最新の情報に更新されているかよく確認してから利用しましょう。図書館のデータベース『TKCローライブラリー』の「Super法令Web」では、一部法令の改正履歴も検索できます。
冊子体で発行される『六法全書』は、膨大な量の法律から、重要な法令を抜き出したもので、新しい法令を反映したものが毎年発行されます。最近から２年分が２階参考図書コーナーにあり、過去の年度は書庫に保管されています。
学習用に最重要な法令だけを抽出したものが『ポケット六法』や『デイリー六法』です。学習用の六法は、図書館にはありません。少しもったいないと思うかもしれませんが、きちんと学習するためには新しい版が必要です。
法令関係の資料には、他にも法律の条文ごとに解説が付けられている逐条解説書（コンメンタール）や、分野別の六法、条約集などがあります。
3-5. 判例
「判例」とは、狭義には最高裁判所の法律判断のうち、先例として拘束力があるものですが、広義には、全ての裁判所の裁判例のことを言います。ここでは後者をご案内します。
判例は、判例集や裁判所のホームページ、判例データベースで読むことができます。中でもデータベースは数多くの判例を収録していますが、全てが収録されるわけではありません。法律判断の重要度によって選択されているため、有名な事件でも収録されないこともあります。
判例集は多くが雑誌として発行されます。最も基本的な判例集は、最高裁判所の判例集で、民事（民集）と刑事（刑集）です。最高裁の判例だけでなく、下級審の判例も合わせて掲載されています。
重要な法律判断がされた判例は、多くの雑誌に評釈や解説が掲載されます。法学の学習では、各分野の重要な判例を集めた『判例百選』のシリーズがよく使われます。『判例百選』は、データベース『TKCローライブラリー』から電子版が利用でき、冊子体は図書館２階雑誌コーナーや雑誌館、サイバーライブラリにあります。
3-6. 法律文献（雑誌）の略称
法学分野の雑誌は、引用されるときには頻繁に略称が用いられます。
ただし、略称では蔵書検索システム（OPAC)は検索できないので注意してください。
以下は代表的な雑誌の略称です。
ジュリ ジュリスト
商事 旬刊商事法務
曹時 法曹時報
訴月 訴訟月報
判時 判例時報
判タ 判例タイムズ
ひろば 法律のひろば
法教 法学教室
法セ 法学セミナー
法時 法律時報
民商 民商法雑誌
リマークス 私法判例リマークス（法律時報別冊）
論ジュリ 論究ジュリスト
甲法 甲南法学
甲南ロー 甲南法務研究
＜公的判例集＞
民集 最高裁判所民事判例集
刑集 最高裁判所刑事判例集
※法律時報 Vol.90 No.13 「文献略語表」より
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