ゼミの紹介

 現代アメリカ小説について、各人が抱いている問題意識をもとに考察、研究し、 口頭発表とディスカッションを繰り返してよりよい論文を完成することを目指します。
 「現代アメリカ小説」とはおおまかに言って20世紀以降のアメリカ小説です。 代表的なところを挙げるならフランク・ノリスやジャック・ロンドンと いった自然主義作家から始まって、 ロスト・ジェネレーションのフィッツジェラルド、ヘミングウェイ、フォークナー、第二次大戦後のサリンジャーや カポーティ、 ポストモダン以降のヴォネガット、アーヴィング、オースター、あるいはモリソン、ラヒリ、ジュライのような女性作家、 そして今まさに 作品を発表し始めたような新しい作家までを含みます。
 セミナーとは各人オリジナルの「作品」である論文を作りあげていく場所だという考えでやっていきますので、 参加者それぞれの口頭発表およびそれに関するディスカッションが主となります。 各自が好きな、関心のある作家やテーマを扱い、口頭発表やディスカッションをしてよりよい論文にしていく作業を参加者全員でする、 そういう作業場にしたいと常に思っています。

基本ルール

 最終的には「おもしろい」論文を完成することを目標にしています。 体裁だけをそろえた論文を書くのは簡単ですが、「おもしろい」論文を書くには発想や知的好奇心、地道な調査、努力が必要です。 しかし、そうやってがんばるのは実はそれじたいがなかなか「おもしろい」作業でもあります。みなさん自身が「おもしろがって」書けば、 読む人にとっても「おもしろい」論文ができるものなのです。自分の興味のあるものを突き詰めて、そういう論文を書いてみたいと思う人たちが集まってくれれば嬉しいです。
 そのための「秋元ゼミ基本ルール」

1.考える
 おもしろいものはおもしろがらないと見つからない。そしておもしろがるのも才能のうち。自分で好奇心を持っていろんなものに触れ、「考える」くせをつけよう。

2.なんでもしゃべる
 ディスカッションの場では、間違っていてもなにか発言があればそこから話は広がります。一番よくないのは発言しにくい空気になってみんなだまーっている沈黙の地獄です。 「アホやと思われるんちゃうか?」とか心配せずに、思ったことはなんでも発言しよう。

3.論文はカッコつけて
 卒論は一人一人の作品です。せめて自分にとってだけは満足できるように、真剣に取り組んで、カッコいい論文にしあげてください。

課外活動

 秋元の趣味はいろいろありますがその一つがマラソンです。 4月には芦屋のマラソン大会に出るついでにここでゼミのお花見ピクニックも開催します。

ピクニック

 3月の甲南マリンパークマラソンにはゼミで参加しました。 みんなで走ると楽しいです。

マラソン

 他になにかやるかはゼミ生しだい、学生の自主性に任せています。 なにかやってみたいと思ったら自分たちで企画してみてください。

これまでの卒論テーマ

 2014年度の卒論テーマはこんなかんじ。

・『ある日系人の肖像』における”real”の意味
・『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』が表すアメリカ
・ Resemblance between Angel and the Three Figures More Suitable than Gomer
・『ウォールフラワー』におけるチャーリーの「トモダチ」は誰か
・『幸福の遺伝子』におけるパラドックス
・ 冷戦から見る『ロリータ』における登場人物の役割
・『ティファニーで朝食を』における自由という名の束縛
・『遠い声 遠い部屋』においてスカリイズ・ランディング(髑髏の館)が予測したジョエルの運命
・『ガラスの街』における決められたクインの「運命」
・『五番目のサリー』におけるサリーが失ったもの
The Great Gatsbyにおけるニックの変化
・『ラスト・タイクーン』における2つの観点
・『終わりの街の終わり』における音の効果
・『本当の戦争の話をしよう』におけるベトナム戦争の真実

 甲南大学では残念なことに卒業論文が図書館に収蔵されません。 秋元が学部生だった時には、図書館で先輩の論文を読んで参考にしたし、 後輩が読むかもしれないから変な論文は書けない、なんて思ったものです。 そこでせめてゼミのメンバーだけには共有できるようにと、 毎年CD-ROMでゼミの卒論集を作成しています。論文の他、写真、動画、 ゼミ生や秋元の書いたものも載っています。以下に各年の論集のリンクを貼りました (容量の都合でテクスト部分のみの掲載となっています。中を見るためにはパスワードが必要です。 閲覧希望の方はakimotoあっとcenter.konan-u.ac.jpまで連絡ください)。

2005年度 秋元ゼミ 卒業論文集
2006年度 秋元ゼミ 卒業論文集
2007年度 秋元ゼミ 卒業論文集
2008年度 秋元ゼミ 卒業論文集
2009年度 秋元ゼミ 卒業論文集
2010年度 秋元ゼミ 卒業論文集
2011年度 秋元ゼミ 卒業論文集
2012年度 秋元ゼミ 卒業論文集
2013年度 秋元ゼミ 卒業論文集
2014年度 秋元ゼミ 卒業論文集

担当者の関心

 秋元の専門は現代アメリカ小説で、もともとはポール・オースター(Paul Auster)という現代作家の研究から出発しました。 その後もっとテーマ研究的な方向に関心が広がり、今はアメリカの紙幣制度と同時代の文学作品における想像力にパラレルな関係を見出すことを、 アメリカ文学全体を題材として行っています。

Paul Auster アメリカ紙幣 アメリカ文学
共著『現代作家ガイド1 ポール・オースター』 9.11の後にアメリカで流通したジョーク紙幣
Deception Dollar
アメリカ独立時に発行されたContinental Currency。
Benjamin Franklinによるデザイン

 また、最近がんばっているのがイスラエルの作家エトガル・ケレット(Etgar Keret)の日本への紹介です。 エッセイの翻訳などをしています。この人の超短編小説はホントにおもしろいです。 2015年には、ケレットの来日時に知り合った作家の福永信さんをお招きして公開講演会を開きました。 その際にはゼミ生も準備や設営に活躍してくれました。

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2015年10月シカゴにてエトガル・ケレットと 2015年7月、作家福永信さんを招いての講演会 福永さんとゼミ生と!

 というようにアメリカ文学に限らず「おもしろいストーリー」を作る人が好きで、 おもしろいと思うと書いた人に会いたくなってしまう性質です。 そんな作家との交流にゼミ生もつねに巻き込んでいきたいと思っています。

おまけ

秋元の個人ブログ http://akkitom-ontheroadtonowhere.blogspot.jp/