ゼミの紹介
Coming of Age in America: A Multicultural Anthology(1994)と題された短編集をテキストとする。タイトルにある “coming of age”とは、「成長する、大人になる」という意味である。伝統的にアメリカ文学が得意としてきた「成長物語」の20世紀版とも言える作品を集めた上記アンソロジーを読み、アメリカという同一の国に育ちながらも文化的背景を異にする作家たちが描き出すそれぞれの少年・少女期( and/or思春期)、そしてそれぞれのアメリカ像について比較検討する。
前期に取り上げるのは以下の四作品。
- “The Wrong Lunch Line” by Nicholasa Mohr
- “Eyes and Teeth” by Wanda Coleman
- “The Kind of Light That Shines on Texas” by Reginald McKnight
- “A Bag of Oranges” by Spiro Athanas
後期に取り上げるのは以下の四作品。
- “How the Garcia Girls Lost Their Accents” by Julia Alvarez
- “Marigolds” by Eugenia Collier
- “Judgment Day” by Arturo Islas
- “Going to School” by D’Arcy McNickle
ゼミの進め方
例年のことながら、徹底した精読と、テーマ、表現方法などに関する討論を同時進行で行なう。英文解釈のレベルであれ作品解釈のレベルであれ、受講生が提起した解釈と疑問点をめぐってディスカッションが展開されるようなゼミにしたい。
あらかじめ指定されたページ数についてレポーターとして指名された者はもちろんのこと、全員がしっかり予習・復習をして、自分なりの解釈や疑問点を整理したうえで授業に出席すること。また、異なる文化的背景を持つ作家たちの作品なので、作品を十分に理解するためにはアメリカの歴史や現状についての学習と調査を求められる場合もある。
これまでの卒論テーマ
- 「『グレート・ギャツビー』から見るアメリカン・ドリーム」
- 「『ハックルベリー・フィンの冒険』にみる様々な人間像」
- 「『老人と海』にみる人間の孤独と依存」
- "The Asian-American Experiences: Influence of Internment Camp on Japanese-Americans"
- 「ユージン・オニールの『夜への長い旅路』研究」
- 「ジョン・オカダの『ノー・ノー・ボーイ』に見る強制収容が日系人に与えた心理的影響」
- 「ナサニエル・ホーソーンの『緋文字』研究」
- 「『華氏451度』における書物と人間」
その他
ゼミ室にて。
担当者の関心
アメリカ文学。現代アメリカの小説やドラマを研究している。
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