いつも写真を撮り忘れてしまうのですが,今回は忘れなかったので久しぶりの投稿です...昨日,2024年度の卒論発表会が行われました.質疑の時間は昨年まで2分だったのですが,今年から3分になり,より活発な議論が交わされました.
最初の発表は,画像から年齢推定を行う研究です.学習データの品質とデータ量,データ拡張が予測精度に与える影響を実験的に考察しました.

次の研究は,株価時系列データの予測です.ChatGPTなどでも使われている Transformer に基づく PatchTST というモデルの有効性を検証しました.PatchTST では複数時系列の同時予測が行えるのですが,実は複数時系列間の依存関係は考慮していません(実装による).それでも個別の時系列を予測するモデルを学習したときよりも性能が高くなることが報告されており,株価時系列でも同じ結果となりました.

次は,花の種類を予測する子供向けモバイル(アンドロイド)アプリの開発です.子供向けのUIを細部までしっかり考えて実装してくれました.デザインを含めて完成度が高く,予測精度が向上すればそのままリリースできそうです.

次はちょっと変わった応用で,蝶の羽化の前兆を検出して通知してくれるアプリの開発です.蝶の羽化は早朝が多いそうですが,必ずしも時間が決まっているわけではなく,羽化自体も2〜3分で終わってしまうので,ちょうど羽化の瞬間をリアルに観察するのは難しいという問題があります.これを解決するためのアプリで,聴衆の反応も良かったように思います.

次が,ヒット曲の歌詞と経済状況との間の関係に関する分析です.ネガティブな歌詞の曲の割合は,完全失業率が上がると下がり,実質賃金指数が上がると上がるという結果になりました.(景気が良いときはネガティブな曲が増え,悪いときはポジティブな曲が増える.)直感に反すると思うかもしれませんが,先行研究で,洋楽でも同じ傾向が報告されています.

最後に,YouTube視聴者に訴求する動画の特徴分析です.ただし,動画自体の特徴ではなく,動画の投稿時間やコメント数,タイトル,サムネイルなどの分析です.いろいろと,ジャンルごとに特徴的なパターンが見つかりました.

質疑のときは指導教員は話してはいけないので,質問にうまく答えられないときなど,もどかしいところもありましたが,なんとか全員終了しました.
みなさん1年間お疲れ様でした.