私たちの行動が未来を救う!?
カーボンニュートラル実現への道

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2022.5.20
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いま、「カーボンニュートラル」に取り組むことが世界的に求められています。
でも、そもそも「カーボンニュートラル」って、どういうこと?
どんなアクションを起こせばいいの?
自分を、地球を守るためにも、今こそ、きちんと知っておきたい!
カーボンニュートラルについて、一緒に探っていきましょう。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

 

カーボンニュートラルって、どういうこと?

まずは、一緒におさらいしましょう。

 

 

 

カーボンニュートラルとは、ひとことでいうと「社会活動全体で温室効果ガスの排出量と吸収量・除去量をプラスマイナスゼロにしていこう」という取り組み。「温室効果ガス」とはCO₂やメタンやフロンガスなどを指し、火力発電による化石燃料の燃焼、自動車や航空機、家畜のゲップなど、私たちの日常生活や経済活動によって排出されています。

 

 

 

 

 

温室効果ガスが増えると地球温暖化が深刻化する・・・

なんとしても排出量をゼロにしなくては!!

 

 

その通りなのですが、排出を完全にゼロに抑えることは人が生活し、経済活動をしている限り現実的に困難です。そこで、排出せざるを得なかった分は同じ量を森林が吸収したり、人が除去したりすることで、差し引きし「全体としてゼロ」を目指しましょう、ということにしたわけです。だから、「カーボン(炭素)ニュートラル(中立)」なんですね。

 

 

 

120以上の国と地域が取り組む、世界共通の目標に

地球規模の課題である気候変動問題の解決に向けて、2015年にパリ協定が採択され、「21世紀後半には温室効果ガス排出量と吸収量のバランスを取る」という世界共通の長期目標が掲げられました。

 

2050年までにカーボンニュートラルを実現することを表明しているのは、125カ国と1つの地域(2021年4月現在)。これらの国におけるCO2排出量は、世界全体のおよそ38%にのぼります。ちなみに、世界最大のCO2排出国(28.6%)は中国で、2060年までにカーボンニュートラルを実現することを、2020年9月の国連総会で習主席が表明しました。

 

 

 

世界の温室効果ガス排出量 (2018年)

 

 

 

国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)では、地球の温度上昇を1.5度以内に抑えるためには、2050年近辺までのカーボンニュートラルが必要と報告されています。各国の表明内容はさまざまですが、いずれの国もカーボンニュートラルを実現に向けて複数のシナリオを掲げて取り組んでいます。

 

 

日本・EU・英国・米国・中国のカーボンニュートラル表明状況

 

 

 

 

 

日本における部門別のCO2排出量を見ると、エネルギー転換部門が4.3億トンと最多。そのうち9割が電力部門からの排出であり、その大半が火力発電所から排出されています。2050年までにカーボンニュートラルを実現するためには、火力発電所からのCO2排出量を削減していくことが必須といえます。

 

 

日本の部門別のCO2排出量 (2019年度)

 

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

なるほど、カーボンニュートラルは、

温室効果ガスのバランスを取る、ということなんですね。

では、もしこの目標に取り組まなければ、

地球は一体どうなってしまうのでしょうか?

 

 

 

 

サハラ砂漠の最も暑い地域と同じくらい暑い環境で暮らすことに!?

米国科学アカデミー紀要に発表された論文によれば、温室効果ガスの排出が減らなければ、急激な気温上昇と人口増加により50年以内に「世界人口の約30%が平均気温が29℃以上の場所で暮らすことになる」と予測しています。ちなみに、平均気温が29℃以上というのは、サハラ砂漠の最も高温な地域と同じ。このまま対策を講じなければ私たちもサハラ砂漠のような暑い場所に住むことになる・・・ちょっと、想像できないですよね。

 

 

 

 

地球温暖化を食い止めるには、

温室効果ガスの排出を抑えることが必要。

だが、カーボンニュートラルの目的は

それだけではなかった!

 

 

地球温暖化への対応が急務であることはもちろんですが、実はカーボンニュートラルへの挑戦が次の成長の原動力につながるとも言われています。

 

世界では、大胆な投資の動きがあるなど、気候変動リスクへの対応を“成長の機会”ととらえる潮流が加速。カーボンニュートラルへの挑戦は、社会経済を大きく変革し、新たな投資をうながし、生産性を向上させ、力強い成長を生み出すチャンスでもあるのです。

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
ここまで、カーボンニュートラルについておさらいしました。
では、日本では、どんな取り組みが行われているのでしょうか?

 

 

2050年までにカーボンニュートラルの実現を

2020年10月、菅義偉首相が所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と宣言しました。東京都や大阪府をはじめとする自治体も、それぞれ独自に「2050年までのCO2排出実質ゼロ」を表明。その動きは、企業や大学にも広まっています。事例をいくつか見てみましょう。

 

 

 

【神戸港をカーボンニュートラルポート(CNP)に】 神戸市
我が国の輸出入の99.6%を取扱う港湾には、CO2排出量の約6割を占める多くの産業が立地しています。国土交通省は、脱炭素化に配慮した「カーボンニュートラルポート(CNP)」を形成することで、脱炭素社会の実現に貢献していくと発表しました。神戸市では産学官の連携のもと、「神戸港カーボンニュートラルポート検討会」を設置。臨海部にある冷蔵倉庫での次世代エネルギーの活用や、荷役機械への燃料電池の導入、船舶への陸電供給など、CNP実現に向けた様々な取組みを行っています。

 

 

【2035年までにCO2ゼロを目指す】 トヨタ自動車
トヨタ自動車では、世界の各地域での利便性を踏まえつつ、CO2排出量を削減する「サステナブル&プラクティカル」な電動車づくりを推進。「人とクルマと自然が共生する社会」に向け、2015年に「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表。2050年までにグローバルの新車の平均CO2排出量を90%削減(2010年度比)、グローバル工場からのCO2排出ゼロ、さらには製造から使用、廃棄の製品ライフサイクル全体でのCO2ゼロを目標としています。2021年には、当初2050年までとしていたCO2排出量実質ゼロ目標を2035年までにする、と発表し話題となりました。

 

 

【コーヒーの持続可能な未来へ】 スターバックス
世界30か国、40万人を超えるコーヒー農家からコーヒーを購入し「コーヒーの持続可能な未来に取り組む」スターバックス。加熱(焙煎)せずに生豆のまま成分を抽出するカーボンニュートラルなグリーンコーヒーの実現に取り組み、2030年までにその加工過程で使用する水の量を50%削減するという目標を設定しています。日本国内では、北海道、東北、沖縄を除く、路面の直営店301店舗で、電力を100%再生可能エネルギーに切り替えました(2021年4月現在)。

 

 

 

大学と地域が連携した取り組み
『カーボン・ニュートラル達成に貢献する大学等コアリション』

大学と地域が連携し、地域の脱炭素化を進めたり、そのモデルを国や世界に展開するなど、地域における大学の機能はますます重要になってきています。

 

そこで、文部科学省、経済産業省および環境省の先導により、カーボンニュートラルに向けた積極的な取組を行っている、または取組の強化を検討する大学等による情報共有や発信する場として、『カーボンニュートラル達成に貢献する大学等コアリション』が2021年に立ち上がりました。

 

 

 

甲南大学は、このコアリションに加盟し、

カーボンニュートラルに関する産官学の情報共有と

ネットワークを強化しています!!!

 

 

 

\ 甲南大学でも始まっている! /
カーボンニュートラルに向けたアクション!

 

 

甲南大学では、各分野の専門教育と多彩な共通教育において”環境リテラシー”を育む科目を配置し、環境に関わる幅広い視野と確かな知識をもって、課題の解決と地域社会の発展に貢献することができる人材を育成しています。
また、「地域の課題をSDGsで考える」をテーマに本学の学生と地域の高校生が課題解決に取組む「関西湾岸SDGsチャレンジ」プロジェクトを実施。地域の課題に対し、SDGsの観点で解決策を考え発表する取り組みで、人との出会いやさまざまな世代との協働作業などを通じて課題解決力を養い、自ら学び行動・発信できる力を育成しています。

 

 

 

 

エネルギー変換に係る科学・技術について研究を進めることを目的とした特定プロジェクト研究所「エネルギー変換材料研究所」では、カーボンニュートラル推進に関係する研究を推進。再生可能なエネルギー資源の有効利用、低炭素・脱炭素社会の実現、水素などのクリーンエネルギーなどをテーマとして研究・教育に取り組んでいます。

 

 

 

「安心安全かつ環境にやさしいキャンパス整備」の一環として、省エネルギー委員会において、エネルギー消費原単位の年間1.5%削減を目標に掲げています。また、『カーボンニュートラル達成に貢献する大学等コアリション』では「ゼロ・カーボンキャンパスワーキンググループ」へ参加し、キャンパスのゼロ・カーボン化に取り組んでいます。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

キャンパスのゼロカーボン化など、

甲南大学の本気度が見えてきました・・・

ところで、海外ではどのような動きがあるのでしょう。

 

 

 

カーボンニュートラル先進国・デンマークに学ぶ

カーボンニュートラル先進国として知られるのが、デンマークです。1970年代の石油危機で燃料のほとんどを石油の輸入に頼っていたデンマークは大きな混乱に陥りました。この経験を受けて、デンマークは他国に頼らず自分たちでエネルギーを供給する方向へシフトチェンジしています。
そのデンマークで2025年までに「世界初のカーボンニュートラルな首都」を目標に掲げ、精力的に脱炭素化に取り組む都市が、コペンハーゲンです。再生可能エネルギーによって化石燃料利用を減らし、緑豊かな都市づくりを推進してきました。渋滞や公害を減らす「グリーンモビリティ」では市内の自転車専用道路を充実。自転車で通勤する人が増えることで車の利用が減り、炭素排出量が下がり利用者の健康にもつながると、その効果が期待されています。

 

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

国や企業が取り組むカーボンニュートラル。
その実現には、私たち一人ひとりの力が欠かせません。

 

 

\ 今すぐ日常生活のなかで取り組める!! /
カーボンニュートラル実現への5つのアクション!

「脱炭素化」のために、国や自治体、企業は様々な取り組みを行っていますが、
私たちにできる取り組みには、どんなことがあるのでしょうか?

 



 

❶ とにかく省エネ!を日々心がける

❷ 移動はなるべく公共機関を利用する

❸ ゴミの量を減らしてリサイクル

❹ ハイブリッドカーや電気自動車に乗る

❺ 再生可能なエネルギーに切り替える

 



 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

私たちが住む地球を守るために、

カーボンニュートラルは、

もはや不可欠なアクションのひとつ。

 

持続可能な社会を構築する上で、

カーボンニュートラルは避けて通れません。

今後は、さまざまな国や業界、大学がパートナーシップを結び、

世界中の人びとの協力しあい、

一人ひとりが行動を起こすことが必要になります。

今すぐできることは何か、周りの人たちと話し合ってみてください!

 

 

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