右肩上がりに急成長中!?
いま話題のフードトラック、大躍進の秘密に迫る!

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2022.10.20
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近年、都心のオフィス街を中心に拡大するフードトラック。
音楽フェスなどのイベント会場では、
ユニークな料理で私たちのお腹とココロを満たしてくれます。
そのフードトラックが急成長中!との噂を聞きつけ、
さっそく、フードトラックの支援をされている
甲南大学OBの河村 尭さんに直撃インタビュー!
フードトラックの人気の秘密とは?
コロナ禍の影響とは?そして未来の可能性とは!?

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

河村さん、今日はよろしくお願いします!
フードトラックについて、いろいろ教えてください。
まず、現在のフードトラック市場はどんな感じなのでしょう?

 

 

河村 尭さん

 

東京を中心にフードトラックの成長は右肩上がり!
コロナ前よりも開業率が上昇しており、
マーケットは非常に大きいといえます。

 

都心では、すでにランチの選択肢のひとつとして定着しているフードトラックですが、東京都の記録によると、東京では現在4000台超が稼働しています(グラフ参照:令和2年度、東京都で開業届が出ている移動販売者の数)。2000年代初頭の1000台から、年々増加していることがわかりますね。関西でも出店できる場所が増加しており、東京以外のエリアでも広がりつつあります。また、新型コロナウイルスの感染拡大により、テイクアウトのニーズが拡大。店舗型の飲食店に比べてフードトラックの方が開業率が高いなど、コロナ禍によりさらに成長が加速したといえるでしょう。

 

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

コロナ禍に成長が加速している!?
フードトラック大躍進の理由はどこにあるのでしょう。

 

 

河村 尭さん

 

主に3つあると考えています。

 

①開業のコストが低い ②少人数で運営できる
③時代の変化に対応しやすい

 

では、ひとつずつ解説していきましょう。

 

 

 

①開業のコストが低い
飲食店(実店舗)を開業しようとすると、およそ1000~1500万円の初期投資が必要ですが、フードトラックなら300~400万円。比較的ローコストで出店できます。店舗は家賃が必要ですが、フードトラックはそれも不要。その分、撤退時のリスクも最低限に抑えられるというメリットもあります。

 

②少人数で運営できる
座席がある店舗はスタッフを雇う必要があるので人件費がかかります。その点、フードトラックは基本はテイクアウトのスタイルですし、一人でも運営できるのでランニングコストがそれほどかかりません。また、一カ所に固定しないので来客を待つのではなく、みずから人が集まるところに出向いて、人に会いに行ける点も大きな強みとなっています。

 

③時代の変化に対応しやすい
例えば、これまでフードトラックの出店場所はオフィス街がメインでしたが、最近ではリモートワークが増えたこともあり、住宅街での出店も広がっています。住民や子連れのお母さんたちのテイクアウトのニーズにも応えられると自治体との連携も増えてきています。また、休日のイベントを中心に出店していたオーナーさんはコロナ禍でイベントが減り収益が激減しましたが、平日のオフィス街といった定常的に出店できる場所が選択肢として増えたことで安定的に収入が得られるようになりました。このように、時代の変化に柔軟に応じられるのもフードトラック成長の一因だと思いますね。

 

 

さらに、SNSの普及も追い風に。
店から情報発信することで人とつながり、
固定ファンを創出しています。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
ちなみに、移動販売って食べ物だけなんですか?

いえいえ、実に多様化しています。有名店のパンを集めて住宅街で販売するパン屋さんや、八百屋、花屋、アパレル、保険、自転車の修理、靴磨きまで、ジャンルも広がり今後ますます面白くなると思いますよ。
河村 尭さん
河村 尭さん

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
フードトラックいいですね。開業したくなってきました(笑)
もちろん、厳しい面もありますよね?

やはり飲食業ですから、競争が激しい業界ではあります。ものを売るには差別化=「選ばれる理由」が必要なわけですが、フードトラックも専門性やこだわりを追求するなど、選ばれる努力がめちゃくちゃ必要ですね。
河村 尭さん
河村 尭さん

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
あと、出店する場所を探すのも大変そうです・・・

まさにその通りで、出店場所の確保に悩むオーナーさんも多いです。私が勤務する株式会社Mellowでは、フードトラックをはじめとする「ショップモビリティ(移動販売)」支援を行っています。
河村 尭さん
河村 尭さん

 


「ショップモビリティ(移動販売)」を支援するビジネスとは


 

 

出店場所のプラットフォームを構築
まず、フードトラックのオーナーさんにとって「出店場所が見つからない」ことが大きな課題でした。そこで、私たちの会社では出店者と空いているスペースをつなげるプラットフォームを構築しました。土地のオーナーさんにとっては、フードトラックの出店場所を提供することで土地を有効活用するだけでなく、地域のにぎわいの創出など新たな価値を生み出すことができます。現在、700カ所を超える出店場所を管理運営しています。

 

フードトラックの開業や運営をサポート
フードトラックは開業しやすいとはいえ、初めての開業はやはり不安です。安心して出店・運営ができるように相談を受け付けたり、キッチンカー専用賠償責任保険を提供したり、運営の方法や差別化など経営をサポートしたりしています。

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

そういう会社があると心強い!でも、フードトラックって、
どこに何が出ているかわからないんですよね・・・・

 

 

河村 尭さん

 

そうなんです!そうした声をきっかけに、
フードトラックが探せるアプリ【SHOP STOP】を開発しました。
職場や自宅周辺の出店情報を簡単に知ることができますよ。

 

どこで、どんなフードトラックが出店しているのか検索できますし、お気に入り登録しておけば近くに来たときに通知もしてくれます。コメント機能でメッセージを送ることもでき、出店者のやりがいにもつながっています。

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

お客さんにとってもオーナーさんにとってもうれしいアプリですね。
河村さんは、甲南大学にもフードトラックを派遣しているそうですね。

 

 

 

河村 尭さん

 

はい、最近は大学での出店も増えてきました。
甲南大学では3つのキャンパスと
六甲アイランド総合体育施設に出店しています。

 

岡本キャンパスでは月曜から金曜日、毎日異なるフードトラックが月替わりで出店するようにして、お客さまが飽きないようにしています。メニューはチキンライス、ハラミ弁当、クレープ、洋食、オムライス、沖縄料理など。お昼ごはんの選択肢が多いとキャンパスライフの豊かさにつながりますよね。学生さんはもちろん、職員の方にも好評だそうで、みなさんに喜んでいただけて嬉しいです。

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

そもそも、河村さんはなぜこのお仕事に?

 

 

河村 尭さん

 

実は、以前フードトラックをやっていたんです。
バックパッカー時代に出会ったケバブが忘れられず、
日本で提供したいとフードトラックを開業しました。

 

私は甲南大学経営学部在学中、国際関係論を学び、アメリカへの留学も経験しました。また中国からエジプトまでバックパッカーで旅しました。卒業後は海外でのビジネスに興味を持ち、中国の大手IT企業に就職。6年間勤めた後「自分で事業を始めたい」と思い、学生時代の旅で出会ったケバブを日本で提供したいとフードトラックを開業しました。フードトラックはお客様に自ら会いにいけることが魅力だと思います。数えきれない方々のサポートを受け、事業も順調でしたが、この事業をもっと広めたい、基盤を作っていきたいと思うようになり、今の会社に入りました。

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

なんと、河村さんもフードトラック経験者だったとは!
そこまで河村さんを突き動かす魅力って・・・?

 

 

 

フードトラックは「個性」の塊。
テイクアウトでいうとオンラインショップや宅配デリバリーもありますが、生産者の思いや文脈を伝えるのが難しいですよね。その点、フードトラックは店主とお客さんが直接やりとりできるので、思いを伝えやすく、会話ができて楽しいという側面があります。また、商品を購入する人、土地を活用&活性化したい人、そして出店者、それぞれの満足度が高いのも特徴です。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

最後に、ショップモビリティの未来について
河村さんの考えを聞かせてください。

 

 

河村 尭さん

 

オリジナリティを求める時代とマッチ。
ショップモビリティは今後も拡大を続けていく。

 

今後、日本は人口の減少により生産年齢の人口も減少します。また、リモートワークの普及によりオフィスに通う人がどんどん減っていきます。そうすると、賃料の高いオフィス街の飲食店は撤退せざるを得ない。そんな「人はいるけど、食べる物がない、サービスがない」という状況が生まれたとき、フードトラックならそういう場に出向くことができます。また、大量生産・大量消費の時代が変わりつつあり、人々が均一化されたものに飽きてきています。そういう意味では、ショップモビリティはオーナーの思いやこだわりが詰まった個性あふれる商品を提供しているので、同じものは二つとなく、購入者を楽しませられる点も大きなメリットだと思います。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

フードトラックは、いわば「個性の塊」。

オリジナリティが求められる

これからの時代にマッチするビジネス

と言えるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 \ 今回お話を聞いた河村さんが勤務! /

 

 \ フードトラックをアプリで探してみよう! /

今回お話しを聞いた人
河村 尭(かわむら たかし)

2014年経営学部卒業後、アリババ株式会社に6年間勤務。その後フードトラックを開業、ケバブの移動販売を始める。2021年、株式会社Mellowに入社。モビリティビジネスを総合的に支援している。

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