【手洗い場の水がうまく出ない!!】
すぐそばに忍び寄る「センサー」の正体に迫る。

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2021.8.19
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よくよく考えてみると、私たちの身の回りはセンサーだらけ。
お手洗いに行くと照明がついて、個室に入れば便座が自動でオープン。
コトを終えて離れたら自動で洗浄してくれますよね。手洗い場では手を感知して
水が流れ、手の乾燥まで自動・・・と、お手洗いひとつとっても、さまざまなセンサーが大活躍。
私たちの気づかない間に、あっちにもこっちもセンサー!
では一体、センサーって何者なのか!?
知ってるようで知らない「センサーの正体」に迫ります!

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
気づかない間にいろいろ恩恵を受けているようなのですが、
「センサー」って、そもそも何ですか?

 

センサー=sensorは、英語のsense (感覚、感じる)が由来。

人間が「感覚」で測っていることを、人工物が行うこと。

これが「センサ-」です。

 

お話を伺ったのは、知能情報学部の梅谷智弘先生。研究分野はロボット工学で、なかでもロボットを賢くするための技術としてセンサーを駆使し、人の助けになるような技術の研究開発を行っています。今日はセンサーについてお話してくださるとのこと、早速センサーについてお聞きしました。「簡単に言えば、“知りたい物事の状態を知るための道具”です」と梅谷先生。センサー(sensor)の語源は、英語のsense(感覚、感じる)が由来。人間でいうところの「五感」と考えると、センサーの意味も理解できそうです。世の中の自動で動くモノには、ほとんどセンサーが備わっているそうですよ。

 

センサーを「五感」と考えると・・・

 

【視覚】は光を捉えるカメラなど、【聴覚】は音を捉えるマイクロフォンがそうですし、【味覚】なら糖度や塩分濃度を測定できます。そして、【触覚】は接触を捉えるタッチセンサーなど。残るは【嗅覚】ですが、においは物質と物質がぶつかって発生するので測定が難しいとされ、開発途上。さかんに研究開発が行われているそうです。

 

梅谷先生

 

センサーは暮らしの中のあちこちで使われています。

無数にあるので、まさに「センサ万別!」

といわれているんですよ(笑)

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
!!??わたしもそのダジャレ、今度使ってみます!センサーといえば、手洗い場でよく水が出ないことがあるんですが、私って影が薄いんでしょうか・・・

 

センサーの向きや水垢などの汚れでうまく反応しないことも。

そもそもセンサーとは、細長い見えない光を発してそれが何かに当たり、跳ね返ってくる光を受けとめることで感知しています。これを「センサーシステム」といいます。跳ね返ってくる距離や時間を計算して、「そこに何かがいるぞ!」と認識する。ですから、手洗い場の場合、センサー部分に水垢などが付着していると光をうまく感知できません。また、使っているうちに光の角度の設定が変わってきて、センサーがうまく手に当たらないということも考えられるのだそう。

 

梅谷先生

 

節約のために水を出す時間を短くしているケースもあります。

でも、正直、もうちょっと賢くなってほしいなあ

とも思いますね。

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
私の影が薄いから、じゃないんですね。ホッとしました!他にもいろいろ身の回りのセンサーで「???」があるので、まとめて解決お願いします!

 

 

 

◎あるある1 テレビのリモコンが言うことをきかない!?

→そのテレビ、窓際に置いていませんか?

テレビなどリモコンで操作する機器は、リモコンの信号(赤外線)をテレビの受光部でキャッチすることでテレビが反応しています。ところが、この赤外線は赤いので、太陽光が強い場所では太陽の赤外線と紛れて反応しにくくなるんです。テレビのリモコンの反応が鈍い場合は、それが原因かもしれません。テレビを窓から離れた場所にお引っ越しすることをおすすめします。

 

◎あるある2 体温を測る非接触の体温計、私だけ反応しない!?

→赤外線の出る部位を近づける。屋外では誤作動多発!

お店や会社の入り口での検温に使われる非接触型の体温計は、額などを近づけると、ピピッと一瞬で体温が表示されます。これは、体温のある私たちの体から発せられる赤外線を測定する赤外線センサーを利用したもの。なので、なるべく赤外線が出ているところ(額や腕など)を近づけましょう。また、周囲の気温が高い環境、太陽光が強い屋外などは誤作動を起こすことも多いので要注意です。

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
ところで、センサーの歴史って古いんですか?つい最近のような気がしますが、いつから活用されるようになったのでしょうか。

 

センサーの歴史はおよそ70年。戦後、高度成長期から急速に発達。

 

センサーが急速に発達したのは高度成長期。日本におけるセンサーの歴史は70年くらいだそうです。始めは工場などで使われる技術として発達しましたが、ここ50年ほどで人々の身の回りにも使われるように。現代社会において、世の中はセンサーだらけといっても過言ではありません。スパイ映画のようにセンサーが可視化されれば、空気中はセンサーの光だらけになるでしょう。「電力など限りある資源を節約するためにも、センサーは有効ですし、人間がより効率的に生きていくための手助けとしても欠かせません」と梅谷先生はいいます。

 

災害国ニッポンだから、センサー技術が発達。

 

日本におけるセンサーの研究開発は世界でもトップレベル。中でも得意なのが、無人化で動く「自動化」のセンサー技術だそうです。さらに、災害の多い日本では、安全対策としてのセンサー技術が発達。人々の安全を守るセンサー、危険を知らせるセンサー、緊急事態を察知して機械を停止させるセンサー、線路への落下防止のホームドアもセンサーで動いていますね。自動車も今やセンサーの塊といえます。何か人工物が動くところには必ずと言っていいほどセンサーがついており、人々のニーズに応じて新しいセンサー技術が開発される。日々変化する社会情勢に対応しながら、センサーは今この瞬間も進化を続けています。

 

 

私たちが生きていく上で、もはや避けては通れない!

日常生活と切っても切れないセンサーたち。

 

最も身近なセンサーといえば、スマートフォンではないでしょうか。ロック解除を行う「生体認証センサー」、傾きを取得する「加速度センサー」、スマホの位置を知らせる「GPSセンサー」など、数え切れないほどのセンサーがあの小さなボディに詰まっています。ちなみに、人が通ると自動で点灯するライトは「人感センサー」。人が近づいたときの変化を捉えて、人がやってきたことを検知します。ガス漏れ警報器は、光が空気中の粒子が当たることでガスの濃さを算出。室内の二酸化炭素濃度を見える化する「二酸化炭素濃度測定器」も、同じように二酸化炭素の濃度を算出しています。

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
ますますセンサーへの期待が高まりますが、これからどんなセンサーが生まれてくるのでしょう。

 

ニーズがあれば、研究がどんどん加速するのが開発の世界。

 

現在のコロナ禍においては、やはり「非接触」が重要なキーワードで、ニューノーマルな暮らしに求められるロボットが続々と開発されています。梅谷先生によると、さらに、ロボットを利用したケア、遠隔での操作、リモートワークなど、今までなかった新しい生活様式・行動様式に対応する技術が、各メーカーからどんどん出てきているといいます。新型コロナウイルスという未曾有の状況が、さまざまな分野の技術開発を加速させる原動力になっているのは間違いなさそうです。

 

 

ロボットが社会に溶け込むことで、

未来はもっと豊かになる。

 

最後に、梅谷先生の夢をお聞きしました。「ロボット技術で、未来の社会生活に貢献できるセンサーをつくることです。人々が健やかに生きていく上で、心身共により豊かになれる技術を開発してきたい」。それは、単なる便利さの追求でなく、人の人生をより良くしていく、という視点。センサー技術が生活にとけこんだように、ロボットが社会にとけこみ、いつも人に寄り添ってくれる。梅谷先生が目指す社会は、すぐそこまで来ています。

 

KONAN-PLANET記者

 

私たちの生活はセンサーまみれ、ということに衝撃。

そして、梅谷先生が描く「ロボットが人に寄り添う」未来は、

そう遠い未来ではないことを確信しました。

人にやさしいロボットが登場する日が、待ち遠しいですね!!!

 

今回お話しを聞いた人
知能情報学部知能情報学科 梅谷智弘 准教授

大阪大学基礎工学部システム工学科を卒業後、同大学院基礎工学研究科システム人間系専攻博士前期課程および博士後期課程を修了、博士(工学)を取得。その後、名古屋市立大学大学院芸術工学研究科 助手(2007年から助教)を経て、知能情報学部が開設された2008年より甲南大学に着任。専門分野は知能ロボティクス、システムインテグレーション。ロボットの社会実装実験に取り組む。また、子ども向けのロボットイベントで講演を行うなど、その魅力の発信にも力を入れている。

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