【ようこそ、小さなアリの世界へ。】
知れば知るほど可愛く見える!?アリのこと、もっと知ってほしい。

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2021.4.21
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「あんまりいそいで、こっつんこ~♪」って歌いましたよね、小さいころ。巣穴から出てくる働きアリをじーっと眺めたり、無情にも巣穴に木の枝を突っ込んだりしたことありませんか? 私は、アリます、アリだけに・・・。今回は、そんな身近な昆虫、アリをこよなく愛する理工学部の後藤彩子先生に、「アリ愛」たっぷりにその魅力について語っていただきました。こんなにそばにいるのに、意外と誤解だらけ!?小さなアリの世界へ、レッツゴーです!

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
先生、こんにちは。
先生はアリについて長年研究されていると聞きました。
どんなことを研究されているんですか?

 

今は、女王アリが面白くて、女王アリについて研究しています。女王アリって寿命が10年以上あるんです。虫の中ではダントツ長い。生まれてすぐ交尾をするんですが、オスの精子を生きたまま10年間おなかにためて卵を産むんですよ。これは、すごいことです。
後藤先生
後藤先生

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
す、すごいですね。
先生は、なぜアリに興味を持ち始めたんですか?

 

小学生のときに夏休みの自由研究でとりあげて、とても面白かったんです。中学・高校になって生物学を学ぶようになり、アリにはまだまだ分からないことがあるのを知って、ますます面白いなと。大学では生物学の分野に進み「やっぱりアリをやりたいな」と思い、研究を始めたら、今こんな感じになりました(笑)。
後藤先生
後藤先生

 

 

アリって「面白い」し「可愛い」のです。

ふだん感じている、アリの面白さとは?「アリは見ていてとても可愛いし、趣味としても面白いんです」と後藤先生。ただ純粋に見ているだけで楽しい、全体的なフォルムも可愛い。さらに、集団行動をするアリの動きは統率がとれており、行動観察をするのも楽しい、とのこと。最近はアリの飼育キットが販売されたり、YouTubeでアリの巣づくりの動画がアップされるなど、趣味としても人気だそうです。「昨日掘った穴を、今日は埋めていたりする。じゃましているアリもいたりして、たぶん本能なんでしょうけど、おバカだなと思うこともあります。見ていて飽きません」。後藤先生の熱愛ぶりに、アリを飼ってみようかなと思えてきました。

 

 

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

アリは「社会性」のある昆虫と言われます。
アリの行動から人が学ぶことはあるのでしょうか?

 

 

 

後藤先生

 

「・・・・」

それ、よく聞かれるんですけど、なぜアリを人に例えたがるのでしょう。
私はそこまで、アリと人の共通点を見出す必要はないのかなと。
もっと、純粋にアリを楽しみましょう。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

は、はい!(汗)では、引き続き、アリの話しをお願いします!

 

 

 

 

女王アリは独裁者、ではない。

女王アリが集団のトップで、トップダウンにより働きアリたちを統率し、コロニーを運営している。そんなイメージ、ありますよね。「それもよく誤解されるんですよね…」と、やや残念そうな表情を浮かべる後藤先生。実際は女王アリは指令など出しておらず、現場の働きアリたちのシグナルのインプットとアウトプットにより動いているというから驚きです。それが、巣を運営する上で一番効率がよかったので、このように進化したのだそう。現場監督もいない、一人ひとりがみずから動いているとはアタマが下がります…。

 

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
へー、意外でした。
てっきり女王アリは働きアリに指示をするボスなのかと。

 

「女王アリ」という名前がそう思わせるんでしょうね。最近は面白いことが注目されていて、一部の種のアリには「働かないアリが3割いる」んです。これは、大変なことが起きたときに、働かないアリが緊急出動して有事に備えるため。

人が足りない状況が続くと、このコロナ禍の医療機関もそうですけど、すぐに対応できないことがありますよね。普段からもっと余裕を持っていれば、突発的な有事にも柔軟に、余裕を持って対応できる。そういう部分は、人が学べるところかもしれません。

後藤先生
後藤先生

 

 

 

後藤先生

 

あと、結婚飛行をするアリがいます。

 

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

あら、ステキ。ハネムーンのようで幸せそうですね。

 

 

 

後藤先生

 

「・・・・」

そんなエンジョイしている感じではなくて(笑)、
一生に一度きりの交尾のタイミングなんです。
交尾ができたらラッキーで、飛行中に鳥に食べられたり、
力尽きて落下すればカエルなどの餌食です

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

なんと!!!!!!
それは、一生に一度の命をかけた大チャンスということですね。

 

 

 

後藤先生

 

そうなんです。
面白いのは、一帯の地域にいるオスとメスのアリたちが
一斉に飛び立つ、という点。
私が研究しているアリは9月の蒸し暑い夜で、しかも一年に一度だけ。
どうやって同調しているのかも解明できていません。

 

 

 

コンビニはアリ採取の穴場なのです。

ところで、アリにはどれくらいの種類があるのでしょう。日本には300種くらい、甲南大学の周辺にも50種くらいはいますよ、と後藤先生。研究室では10種類以上のアリを飼育しているそうで、アリの採取も重要な研究のひとつ。どこか山に出向いて採取するのかと思いきや、いつも岡本周辺で採取しているそうです。女王アリは明るいところに飛んでくるため、岡本の街なかで探すこともあるそう。

 

 

岡本キャンパスの近くのコンビニにも採取しにいきますよ。
でも最近、アリが思うように集まらないんです・・・
後藤先生
後藤先生

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
何か、重大な、駆除する装置ができたとか?

 

 

 

これです!LEDの照明になってから採取できる数が減りました。波長によって来る来ないがあって、昔ながらの電灯のほうが飛んで来るんですよね。
後藤先生
後藤先生

 

KONAN-PLANET 記者
KONAN-PLANET 記者
意外な理由で虫やアリが集まりにくくなるんですね。

 

そうなんです。いいコンビニを見つけた!と思ったら、すぐ閉店したりして、とても悲しい…。

アリは体は小さいですが数が多いので、生態系における影響も絶大です。地球上のアリの重さを量ると脊椎動物の重さを超える、というデータもあります。また、わかっていないことがいくらでもあるのも、アリの魅力。これからもアリを愛でながら、研究を続けていきたいと思っています。

後藤先生
後藤先生

 

 

KONAN-PLANET 記者

 

「好き」を追求するということは面白い世界につながるんですね!
幼いころの興味が仕事になって、
大人になっても愛し続けられるって素晴らしいことだと感じました。
これからの後藤先生の研究に期待しています!

 

 

今回お話しを聞いた人
理工学部生物学科 後藤 彩子 准教授

東京都立大学理学部生物学科卒業後、東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻修士課程修了、愛媛大学大学院連合農学研究科生物環境保全学専攻博士課程修了、博士号(農学)取得。その後、自然科学研究機構基礎生物学研究所・特別協力研究員や同生理学研究所・専門研究職員、日本学術振興会・特別研究員を経て現在に至る。

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