
世界ランキング上位大学に進学するという選択肢。
グローバル化における海外進学の今。
グローバル化における海外進学の今。
近年、日本から海外大学へグローバル進学を志す高校生が増えています。 特にコロナ禍の2021年は、海外大学の合格者が増加しました。 今なぜ、海外大学への進学が注目されているのでしょうか。 海外大学への多数の進学実績をもつ高校と、実際に海外大学へ進学された学生に取材しました。
深刻化するグローバル人材の不足。
現代において世界を見据えた活動がもはや必須となっている一方で、日本は未だグローバル人材が不足しているといわれています。そうしたなかで、一部の高校では海外進学への取り組みが積極的に進められてきました。そのひとつが、甲南高等学校・中学校です。同校では中高一貫であることを活かし、中学3年次から海外進学の準備を進める『グローバル・スタディ・プログラム』を2010年にスタート。以来、毎年のように世界大学ランキング上位校への合格者を輩出してきました。2021年は、10名が海外大学に合格。兵庫県でトップクラスの好成績を収めています。
「世界に通用する」人材育成を。
甲南高等学校・中学校を設置する甲南学園は、100年以上の歴史を誇り、実業家でもあった平生釟三郎によって創立されました。平生は東京海上保険をはじめとする損害保険業界の近代化に貢献したほか、経済更新会を組織し実力本位の経営を論ずるなど、経済人としても活躍。海外への意識も高く、欧米諸国を視察し、経済使節団長としてブラジルを訪問し日本・ブラジル間の貿易額を10倍にするなど、大きな功績を残しました。その平生が掲げた教育理念が「世界に通用する紳士たれ」。甲南学園は1919年の創立時から、すでに世界を見据えた教育を実践してきたのです。
海外志向の高まり。
『グローバル・スタディ・プログラム』を文字通り牽引してきた、教育研究部長の中原敦先生に海外大学進学の実情について聞きました。
中原先生
ここ10年、海外進学する日本の高校生が多くなっています。 海外を目指す生徒たちの多くは「将来海外で活躍したい」「英語を活かしたキャリアを築きたい」と 考えています。例えばオーストラリアの留学プログラムはこれまで中国人が圧倒的多数でしたが、 新型コロナウイルスの影響もあり、今は日本人の比率が高くなっています。 東京や福岡の高校生に比べて関西の高校生は内向きな傾向はありますが、 甲南高等学校・中学校の『グローバル・スタディ・プログラム』での 海外進学者数は、第一期生の1人から2021年は10名まで増えています。 世界大学ランキングで東京大学を上回るとされる一流大学にも 何人もの合格者が出ています。
KONAN-PLANET記者
東大を上回るレベルの海外大学にも合格者がいるのはスゴイ・・・ 『グローバル・スタディ・プログラム』とは、 どのようなプログラムなのか、中原先生、具体的に教えてください。
中原先生
中学3年生からはじまる4年間のプログラムで、 詰め込み型の教育とは一線を画しています。 まず、実践的な英語学習でハイレベルな英語力を、 ユニークな授業を通じて世界レベルの教養を身に付けます。
従来型の学び方はNO!主体的に探求する。
『グローバル・スタディ・プログラム』では、コミュニケーションの基礎である英語力を中学3年生からみっちり鍛えます。ただ英語を覚えるのではなく、将来海外へ出ても通用するように、グローバルな歴史や社会についての教養もしっかりと身につけることが重要なんです、と中原先生。姉妹校への短期留学で、英語力を磨きつつ現地の学生や他国の留学生と積極的に交流することができ、実践の場となっています。
中原先生
生徒たちは留学先で、 コミュニケーション力の低さや自分の幼稚さに気づかされます。 これは、日本を出て様々な国の人と交流することでしか得られない 貴重な気づきでもあるのです。
ハイレベルな英語力をベースに、留学を経験し、その経験を論文としてまとめ、仲間と共有することで、さらなる語学や国際理解学習の深化につながります。また、同校は課外活動にも積極的で、ボランティア活動や大学での研究発表など豊富な体験の場も用意されています。
KONAN-PLANET記者
海外進学に必要な英語力の準備、留学という実践、様々な体験と共有…… 甲南ならではのグローバル体験が 世界で活躍する人材を生み出すのですね。
中原先生
ですから、生徒たちには、もっとチャレンジして欲しいのです! 海外に出ることで必ず自分の世界が大きく変わります。 そして、海外で身についたタフネスは 社会に出てから大きなチカラとなるはずです。
それでは、 『海外進学し、社会で活躍する卒業生に聞いてみよう!』
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◆キングス・カレッジ・ロンドン/ King’s College Londonとは ロンドン大学を構成するカレッジの一つ。世界150か国から集まった約28,500人の学生たちが学んでいる。イギリスの政治・経済の中心地で、あらゆる分野の第一線で活躍するための知識やスキルを取得できる。 THE世界大学ランキング2021 35位(東京大学は36位)



イギリス特有の教育制度に苦労も・・・
海外の大学受験とはどんなものなのだろう?日本の受験との違い、みなさんも気になりますよね。大嶋さんが進学したイギリスは日本と教育制度が違うため、高校卒業後は「ファウンデーションコース」という留学生のための大学進学準備コースの履修が必要となります。大学進学に必要な英語力や、レポートの書き方などを勉強。約1年間のファウンデーションの成績がベースとなり、大学受験に進む、という流れです。



ただ、ファウンデーションを終えてからの大学受験は本当に大変でした。4科目、それぞれ70満点中65点で合格というハードルの高さで……挫折しそうになりましたが、現地の日本人コミュニティの友達に活気づけてもらい合格できました。
実感! 甲南で学んだことが今、活かされている。
試験に合格し、見事海外進学を果たした大嶋さん。英語力以外にも甲南で学んだことが活かされる場面がいくつもあったそうです。『グローバル・スタディ・プログラム』の一つ、1年間のオーストラリア留学では1学期ごとにホームステイ先が変わり、4家族との生活を体験。さらに、現地の人々や他国からの留学生との交流で多様性の大切さを学んだといいます。
大嶋陸夫 さん
オーストラリア留学で多様性にふれた経験は、 ここロンドンでも、コミュケーションをとっていく力になっています。






日本人のアイデンティティと、多様性を活かしたい
キングス・カレッジ・ロンドンで多くを学んだ大嶋さん。海外進学者と半年以上の留学経験者向けの「キャリアフォーラム(年3回開催)」に参加、日本国内の外資系コンサルタント企業への就職が決まっています。海外進学者は、企業から決断力、行動力、多様性を高く評価され海外でキャリアにつく人もいるなか、なぜ日本へ戻ることにしたのでしょう。


大嶋陸夫 さん
まずは英語をしっかり学んでください。コミュニケーションの基礎です。そして、英語が話せるなら、絶対に海外に行くべきです。海外進学した「決断力」を海外の大学や企業が高く評価してくれます。 また、海外では、みんながアクティブに動いているので、 必然的に「行動力」も上がっていきます。 行動することで世界は変わります!ぜひ、チャレンジしてください!