9. 文献リストと研究倫理
9-1 研究倫理とは
研究活動とは、少し難しく言うと、先人達が行った研究の諸業績を踏まえた上で、観察や実験等によって知り得た事実やデータを素材としつつ、自分自身の省察・発想・アイディア等に基づく新たな知見を創造し、知の体系を構築していく行為です。 研究に携わる人は、その社会的な影響を考えて行動すること、互いに信頼し敬意を払うことが求められます。こういった研究者が守るべき規範を「研究倫理」といいます。
大学は教育機関であると同時に研究機関でもあり、学生も「研究倫理」を遵守しなければならない研究者の一員です。レポートや論文などを作成する際などに、以下のような「研究倫理」に反する不正行為があった場合は、カンニングと同様に厳しく処分されます。
- 捏造
存在しないデータ、研究成果等を作成すること。 - 改ざん
研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データや研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工すること。 - 盗用
他の研究者のアイデア、分析・解析方法、データ、研究成果、論文の内容を「引用」の範囲を超えて流用すること。
【「引用」について 】
「引用」とは、他の人の本や論文をそのまま転記することです。
引用するときは、転記した文章を「」で括ったり、段を変えたり、「○○によると」から文章を始めるなど、どこからどこまでが引用なのか、読む人が明確にわかるように整えます。もちろん、使用した文献の情報(典拠)も、文献リストや脚注に明記しなければなりません。引用できる量は、自分の考えを補強し、論拠づけるために必要な部分のみです。
こうした引用のルールを守らずに他の人の著作物を使用した場合(本や論文、インターネットの文章をコピー&ペーストしてレポートを作成するなど)は、故意ではなくても「盗用」になります。写真や絵・イラストは、引用にも制限がある場合があるので注意してください。
【著作権について】
人間の思想や感情を、文章や音楽、絵画などで表現した作品は、作品が産み出された時から「著作権」が発生します。作品(著作物)と製作者(著作者)は、著作権法によって保護されています。
「引用」する場合を除いて、著作物は著作者(著作権保持者)の許可なく、レポートや論文など、”他の人にみてもらうもの”に利用することはできません。
もちろん、SNSなどへ投稿することも禁止されています。授業で提供された資料等を担当教員に無断でインターネット上で共有することもできません。
★不安なことがあったときは、早めに担当教員等に相談しましょう。
参考:甲南大学研究活動行動規範(PDF)
9-2 ≪実習≫参考文献リストの書き方・読み取り方
学習・研究をするときは、学術書や学術論文、インターネット情報など、いろいろな「文献」から手がかりを得ながら自分の考えをまとめます。ですから、レポートや論文を書いたり、プレゼン資料を作るときには、自分の考えの論拠となった文献のリストを付けることもルールです。
文献リストを作るときは、著者やタイトルなどの文献に関する情報を一行で書きます。
『情報探索ガイド』p.27の上の図を見てください。
レポートなどを作成するときに、左の図の『葉っぱのふしぎ』という本を参考にした場合は、右の図のように文献リストをレポートの最後に記載します。
それでは、実際に書いてみましょう。
【課題7】 『情報探索ガイド』p.27 の「本」の「例1」を参考に、課題1でメモをした本の情報を1行で書いてください。
【課題8】 『情報探索ガイド』p.27 の「学術論文」の「例4」を参考に、課題4でメモをした雑誌記事の情報を1行で書いてください。
文献リストは、著者である自分が何を参考にしたかまとめる上でも役立ちますが、読者側にとっても便利なものです。
誰かが作成したレポートなどを読んで、より詳しく知りたいと思ったときは、文献リストで文献の情報が確認できます。
『情報探索ガイド』p.27へあるように、文献リストには、本や学術論文、インターネット情報など、いろいろな形態の文献が混ざっているので注意してください。雑誌名が省略形であったり、論題が記載されていないこともあります。
このように、文献リストがあれば、文献を次々に見つけることができます。ただし、この方法では、最初の文献より古い文献しか見つけることができないので、『いろいろでぃすかばりー』のような文献データベースでも検索してみるなど、いろいろな手段を組み合わせた調査が必要です。
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