Konan University Library

図書館ガイダンス -ビジネス情報(業界・企業情報)編- [08/14]

8. 企業情報収集① 解説

8-1. 企業情報について

企業情報とは、売上げなどの財務情報に限らず、企業活動全体にかかわる情報です。
企業情報は、発信者によって大きく3種類に分けられます。

①企業が自ら発信する情報
自社ホームページ、有価証券報告書、プレスリリース、社史、広告などです。
自社にとって有益となるよう、各企業が工夫を凝らして発信するため、マイナス面が掴みにくいですが、基本となる情報です。

②第三者が発信する情報
新聞記事、雑誌記事、アナリストレポートなどが該当します。
業界を俯瞰したり、他社と比較するなど、ビジネス情報に精通した記者が独自に評価した情報が発信されます。
そのため、企業自身が発信するより客観的で、社会的な意見も反映された内容となります。

③研究者が発信する学術情報
特に、経済・経営分野の研究者による学術書や学術論文などです。
最も冷静に分析・検証された情報ですが、発信は遅くなります。
※学術文献の探し方は、12~13で案内します。

8-2. 就活で企業情報を調べるときは

志望する企業が業績などの企業情報を公開している場合は、過去5年分は確認してください。大きく変動している年があれば、新聞や雑誌、有価証券報告書等で理由や対応を調べてみましょう。業績がV字回復していても、リストラなど従業員にとってはありがたくないことが背景にあるかもしれません。また、景気に左右されずに業績が安定しているなど、特徴的なことがあれば、その企業がどのような活動をしているのか調べてみる価値があります。
業績を公開していない中小企業でも、業界の動向を掴むことで漠然とした予測ができます。また、業界トップの企業の動向は、少なからず業界全体に影響するので、エントリーを考えていなくても調べておくとよいでしょう。
事業内容を読むときは、売上構成の確認も必須です。企業イメージと異なる分野が売上を支えていることも珍しくはありません。前年と比較すれば、伸びている分野が分かります。
株主情報から、思わぬ企業との関係性が分かることがあります。企業情報は他の企業と比較することで、特徴が見えてくるので、同業他社や同規模企業などと比べてみましょう。株主情報の他にも、取引先や連携先など、関連する企業の名前が挙げられていることがあります。そこから業績のよい企業と協働している企業を探すこともできます。
数字が苦手なら、その企業で働く人の情報を集めてはどうでしょう。新聞記事や雑誌記事データベースで、社長や役員、創業者のインタビュー記事が見つかることがあります。

8-3. 企業ホームページから発信される情報について

情報開示が求められている現在、多くの企業が自社のホームページなどで情報発信をしています。
まず、気を付けたいのは、企業名とブランドの違いと、親会社と子会社(グループ会社)の関係です。
たとえば、「ユニクロ」は「株式会社ファーストリテイリング」という会社のブランド名ですし、「セブンイレブン」と「LoFt」は、同じ「株式会社セブン&アイ・ホールディングス」グループです。グループ企業の情報は、グループを統括する企業のHPで公開される傾向があります。
情報公開は、政府機関、市区町村、大学のような非営利団体や業界団体などにも広まっています。もちろん「甲南大学」の情報も、「学校法人甲南学園」が公開しています。

【チェックしておきたい項目】
①経営方針・沿革・事業内容
就職活動でエントリーするなら、企業の経営方針は覚えるくらいに読み込みましょう。大手企業であれば、グループ会社や子会社、持っているブランドなども要チェックです。重要な企業との協力関係(アライアンス)も押さえておきたい事項です。
多くの企業はリスクを分散させるため、多角的な経営を行っています。事業内容からどんな事業を行っていて、どの事業に力をいれているかを確認し、社会情勢と照らし合わせて考えてみてください。グローバル企業なら、どこの国との取引が多いかも調べてみましょう。

②IR情報
IR(Investor Relations)情報とは、投資家に向けて企業が発信する情報です。一般的に経営方針やトップからのメッセージ、売り上げ等のデータ、有価証券報告書、株式情報などが公開されています。
データを月次で公開する企業も少なくありません。

③CSRレポート
大企業であるほど、社会や環境に与える影響や、ステークホルダー(株主、顧客、従業員など、利害関係のある人々)への影響が大きくなります。そのため、各企業は、利益の追求だけなく、倫理的にも社会に貢献する責任があります。これを、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)といいます。
 CSR レポートには、企業のボランティア活動についてだけでなく、コンプライアンス(法令順守)や行動指針、人権に関する方針など、従業員の福利に関わる事項も多く記載されています。最近では、SDGs(持続可能な開発目標)を掲げ、「サステナビリティ(Sustainability)」としてこれらの取り組みが発信されることもあります。

8-4. インターネット上の企業情報

株価は複数のサイトから提供されていますし、ニュースもまとめられていて便利です。SNSでも企業の情報はあふれています。
ただし、うわさは事実よりも真実味を帯びて広まりやすい傾向があるということを意識してください。
繰り返しになりますが、情報は多角的に調査をし、何をどのように受け取るかをよく考えなくてはなりません。もちろん、時には自分自身の考えを客観的に評価し、「考え直す」ことも必要です。

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