『兵庫県学童集団疎開関係史料集成 第三輯』を刊行いたしました。
これは、尼崎市立地域研究史料館所蔵の藤田浩明氏文書から、浜国民学校(現・浜小学校)の疎開先のひとつであった宗福寺寮(兵庫県丹波市市島町上鴨阪)で作成された集団疎開にかかわるおもな公文書を収載し、解題を付したものです。
第二輯の『浜国民学校 石像寺篇』とあわせて読むことで、疎開行政の寮舎間の異動、関係性を具体的に知ることができると思います。
本書の出色は、学童集団疎開の経済分析に有用な史料(出納簿など)を収集できたことです。経済的観点からの学童集団疎開研究は、従来の研究に新たな光を当てることが期待できます。
付録には、尼崎市の学童疎開に関連する、兵庫県および尼崎市の議会議事録を収載しました。行政側が学童疎開をどのように進めようとしていたのかを知ることができます。
本史料集を多くの方々に手にわたり、学童集団疎開の歴史にふれていただければと思います。
【目次】
昨年度好評をいただいた第一輯につづき、『兵庫県学童集団疎開関係史料集成 第二輯』を刊行いたしました。これは、尼崎市立地域研究史料館所蔵の藤田浩明氏文書から、浜国民学校(現・浜小学校)の疎開先のひとつであった石像寺寮(兵庫県丹波市市島町中竹田)で作成された集団疎開にかかわるおもな公文書を収載し、解題を付したものです。その内容は、尼崎市、浜国民学校、石像寺寮間でかわされた、学童疎開の維持、運営、およびそこで発生した諸問題への対応に関連する書類で、疎開学童のおかれた状況や疎開生活にせまるきわめて興味深い史料を含んでいます。
本史料集を多くの方々に手にわたり、学童集団疎開の歴史にふれていただければと思います。
【目次】 序 Ⅰ 『公文書綴』 Ⅱ―1 『領収書綴』 Ⅱ―2 「精算書」 Ⅱ―3 『物品購入簿』 Ⅲ 『疎開教育ニ関スル綴』 解題
このたび人間科学研究所は、加害―被害関係の多角的研究の成果の一環として、『学童集団疎開関係史料集成 第一輯』を刊行しました。 これは、昭和19年、20年の『神戸新聞』に掲載された兵庫県の学童疎開関係記事を採集のうえ収載し、解題を付したたものです。 本史料集の刊行が、今後の学童疎開研究の発展の一助となることを祈念いたします。
序(抄録) 兵庫県の学童疎開については、『兵庫県教育史』『神戸市教育史』や各市町村史(誌)でまとめられており、各学校の記念誌や回想録などからも疎開中の生活 のようすなどをうかがい知ることができる。また、兵庫県の集団疎開を受け入れた岡山県・鳥取県の自治体史などにも言及が見出される。
しかし、著作の性格上、そこに含まれているのは大多数が学童自身に関わる事柄や体験を中心にした記録であり、兵庫県における学童疎開の全体像を知るには 十分ではない。 (中略) 本書に収載したのは、学童疎開に関してもっとも基本的な資料となる新聞記事である。近代においては、新聞というメディアの成立によって、その時代の出来 事をリアルタイムで知ることが可能になった。本書に収めた『神戸新聞』の疎開関連記事を追うことで、兵庫県の学童疎開の概要を知ることができるだろう。 本書の刊行が兵庫県の学童疎開について、今後の調査・研究に寄与することを期待する。
おわりに、本書の刊行にあたって、ご協力いただいたた関係各位に厚く感謝の意を表します。 二〇一一年三月 甲南大学人間科学研究所