2007年9月10日(月)-2007年10月13日(土)
岸本吉弘の絵画に現れる水平状のストライプにも似た表層。その規則的な反復がもたらす広がりは、観る物を画面の枠を超えた場所へと誘う。
「水平」すなわち「静かな水面のように平らなこと」。この一見スタティックなイメージは、しかし、相反する要素のせめぎあう界面としてのp緊張感を孕んでいる。さらにそれは、過去と未来、天と地、生と死、夢と現実のあわいを漂う我々人間の存在、いわば「水萍」(すいひょう・すいへい:浮き草の意)としての人間像への連想をも喚起する、象徴的なイメージともなりうるだろう。
今ここに、画家・音楽家・舞踏家の三者が集い、「水平」という一つのキーワードを出発点とする複合表現の創出に挑もうとしている。
画家は、異例の大型作品によって、ヒューマンスケールを凌駕する複合表現の感応の場を設定し、音楽家は、10数名のアンサンブルを率いて、音響空間の静止と多点、層の構造を追及する。舞踏家は、その身一つをもって、これらの空間に立ち向かい、自らを媒体としながら、凝縮した生の発露を目指す。
三つの要素は、そのまま、平行線を辿るのか、ねじれ状態の時空を漂うのか、数々の相克を経て、新たな秩序へと至るのか、あるいは、また…。
鑑賞者の水平思考をも喚起することを目論む、水平の狂宴。

