職員の取り組み

教務部

(KONANクオリティプラス・プロジェクト)

教務部
【まず、部署の業務内容について教えてください】
井本

井本

教務部では、普段の授業を円滑に実施するためのサポート(授業支援担当)と学生の履修登録、成績、学籍などの管理(カリキュラム担当)の2つを中心に業務を行っています。その他、卒業生への証明書発行も担っており、教員・学生・保護者など甲南大学に関わる様々な人と接しながら、幅広い業務を担当しています。

【「KONANクオリティ・プラス」プロジェクトの目標について教えてください】
田原

田原

このプロジェクトを始めるにあたって、「教務部にしかできないことは何か」を考え、全学部のカリキュラムの内容を把握しているという強みを活かし、学生への履修指導のクオリティを向上させてはどうかと思いました。特に、今までの教務部に対して、学生は「怖い」「厳しい」というイメージを持っていたのではないかと思います。履修に関する悩みがあっても、窓口を訪ねにくく、相談しづらい雰囲気があったのではないでしょうか。このプロジェクトをきっかけに、学生が学期の初めに1度は窓口に足を運び、所属する学部・学科のカリキュラムへの理解を深めることや、学生自身が登録した授業科目について、アドバイスを求めるようになってくれたらと考えています。
また、履修指導のクオリティが向上すれば、科目の選択ミスなどによる成績不良学生を減らすことができ、この取り組みによって甲南大学生の退学率の改善につなげていきたいという狙いもあります。

【学生が教務部にネガティブなイメージを持っている理由はなぜだと思いますか】
田原

田原

「厳格なルールのもとで対応しているから」という理由が大きいと思います。例えば履修登録について、登録期限を過ぎた後に追加や削除はできないことになっているので、1日でも期限を過ぎて相談がしてきた学生がいても、お断りしています。私たちはルール通りに対応しても「教務が何もしてくれなかった」というイメージを持たれてしまいます。こういった学生からの印象は、過去からの対応の積み重ねに原因があるのかもしれません。井本さんと森川さんは学生のときに教務部に対してどのような印象を持っていましたか?

井本

井本

私は、甲南大学出身で、学生時代に卒業要件を満たしているかどうか確認のために教務部の窓口に行ったことがあり、当時の対応は冷たいと感じた記憶があります。教務部の職員からすると卒業できるかどうかは履修要項を読めばわかることですが、学生にとっては理解しづらい箇所もあり、窓口で質問をしたところ「ここに書いているから確認してください。」と回答され、当時の対応に対して良い印象はありませんでした。

森川

森川

私も甲南大学出身で、友人たちとの間で「教務部は厳しい」という話を聞いたことがありました。しかし、私が相談に行った時には、わからないことに対して明確な答えをもらうことができ、学生に対して丁寧に接してくださっているなという印象を持ちました。

田原

田原

このように、対応する職員によって、公平に接しているつもりでも、学生に与える印象が違っていたことが課題であると思い、このプロジェクトの取り組みの一つとして、全員が同じように質の高い対応ができるようケーススタディ(部内研修)を実施することになりました。ケーススタディでは、学生対応に対して、様々な意見や考え方があることが分かり、私自身も勉強になる良い機会となりました。

【今お話しにもありました取り組みについて具体的に教えてください】
田原

田原

このプロジェクトを通して、教務部では大きく3つの取り組みを行っています。
1つ目は先ほどお話ししたケーススタディ(部内研修)です。
例えば、履修登録の期限を過ぎた学生への対応など、よくある事例をケーススタディ形式で各職員が意見を出しあいました。いざやってみると職員それぞれの意見や考えが異なっていることが分かり、研修の最後には「学生のためになるような対応をしよう」という意識が芽生えたと思います。また、この研修を通して、その「学生のために」という職員の思いが、なかなか学生へ伝わっていなかったこともわかりました。今後も研修を継続的に実施し、学生に職員の思いが伝わる対応を目指したいと思います。
2つ目は、フィードフォワード型履修指導(コンサルティング)です。
これはフィードバックとは逆で「学生への履修指導を行う」というものです。具体的な取り組みとしては、2021年4月に教務部の窓口に履修相談に来た学生をリストアップし、前期の成績が芳しくなかった場合に直接電話をして状況を確認しました。初年次は基礎的な科目が多く、単位を落としてしまうと今後の学修に遅れをとってしまうこともあるため、このような学生を早い段階でキャッチし、後期以降の履修計画を正しい方向に導いていくことが目的です。今までは、教務部の窓口に来た学生に対して対応をするという受け身の姿勢でしたが、これは教務部から積極的に働きかけるというこれまでになかった画期的な取り組みだと考えています。この成果についてはまだ測定中ですが、継続的に実施することで、学生に「自分のことを気にかけてくれている、見てくれている」という印象が生まれ、「履修のことは教務部に相談しよう」と思ってもらえたらと期待しています。
3つめはMy KONANのQ&A機能の利用です。
コロナ禍によりオンライン授業が開始した2020年からMy KONAN(※学生が履修登録や時間割の確認などをする学内者専用のポータルサイト)のQ&A機能(※オンライン上で学生が質問をし、教務部の職員が回答する機能)を使っています。質問の中には履修関係書類に明確に記載されているような内容も多いため、教務部窓口の閉室時や長期休暇中に学生に自動回答ができるチャットボットの導入を検討しています。元々は対面での対応が中心で、履修ガイダンスも開催していましたが、コロナ禍を契機としてQ&A機能を使用することになりました。結果として、データが集約でき、同じような質問に対して自動で回答ができたことで、教務側にとっては業務削減につながります。一方で、学生にとっては24時間いつでも好きなタイミングで質問できる環境があるという、双方にとって、メリットのあるものにしたいと考えています。
さらに、チャットボットは学生対応の多い部署で活用できる見込みもあり、他の部局を巻き込みながら企画を進めています。

【「KONANクオリティ・プラス」プロジェクトのポスター投票企画において、全部署中2位の結果となり、おめでとうございます。ポスターを作成するにあたって工夫したところを教えてください】
森川

森川

キャッチフレーズは、学生が見た瞬間に頭に入ってくるようなものにしようと心掛けました。教務部内で20のフレーズが候補として挙がり、投票の結果、「そうだ、教務いこう」に決まりました。
私は教務部に配属されて約1ヵ月でポスター作成を担当することになったので、良いものを作ることができるか不安でしたが、教務部全員でキャッチフレーズを募集するなどして、教務部らしいポスターにできるよう工夫してみました。2位を獲得できたのはフレーズやデザインだけではなく、現在の教務部職員の取り組みが学生に評価された結果だと感じています。教務部は学生が身近に感じている部署であり、実際に窓口に来て質問してくれた学生が教務部の対応が良かったと感じて投票してくれたのではないかと考えています。

井本

井本

教務部の前にデジタルサイネージを配置し、自動音声を使って、履修登録期間やポスターのキャッチフレーズなどを流していたため、学生の印象に残りやすく、身近に感じてもらえたのではないかと思います。ポスターが2位に選ばれたという結果は嬉しい反面、掲げた目標の達成を期待されているとプレッシャーにも感じます。

【今後どのような職員になりたいと考えていますか】
井本

井本

人生で一度きりしかない学生生活をよりよく過ごせるよう、学生とその保護者のサポートができる職員を目指しています。教務へ相談に来る学生は何か不安を抱えているケースが多いため、簡単な質問であっても、なぜその質問をしたのか背景を確認したうえで、学生の不安も払拭できるような対応を心掛けていきたいです。学生や保護者の視点で物事を考えることができれば、「学生のため」になる気づきを得られると思って努力しています。
これは甲南学園の職員全体にとって大切なことだと考えているので、今の教務部だけではなく、今後他の部署で仕事をするなかでも常に意識し続けたいと思います。

森川

森川

教務部に配属されてから、コロナで対面授業を受けることができないにもかかわらず、学生がオンライン授業に順応し励んでいる姿を見て、学生が時代の流れに対応しているのだから、私たち職員はそれ以上に時代の流れに敏感ではなくてはいけないと毎日刺激を受けています。
一方で履修計画に不安がある、オンライン授業についていけない等、学生の数だけ不安や悩みがあって、その全てに教務部は対応しなければなりません。教務部の先輩方が不安な顔の学生を、窓口対応後には晴れやかな顔に変えている姿を見て、その先輩の対応などを参考にして日々成長していきたいと思います。

田原

田原

教務部の仕事はコロナ禍によって在り方が大きく変わり、私たちもはじめは戸惑いがありました。WEBでの学生対応やオンライン授業の受講の仕方、教員のオンライン授業のサポートには苦労しました。時代の流れにすぐ対応できるような知識を事前に身に付けておくことが重要だと痛感しました。
教務部には学生、保護者、卒業生から、日々いろんな相談がありますが、ルールに従いながらも柔軟に対応できる力を身に付けておくことが重要です。印象が悪いまま対応を終えてしまうと、また別の質問があった際にも悪い方向に進んでしまう可能性があります。今の時代は学生に丁寧に接する必要があると思っていますが、それは甘やかすということではありません。学生の声に耳を傾け、「KONANクオリティプラス・プロジェクト」のスローガン『いつも学生のそばに。いつも学生のために。』を意識しながら、何事にも柔軟に対応できる力が今後ますます必要になってきていると思います。

【最後に、甲南学園専任職員を目指す方へのメッセージを頂戴できますか】
井本

井本

まだ異動の経験はありませんが、教務部の中でも様々な仕事を経験し、担当業務が変わるだけでいつも新鮮な気持ちで臨むことができています。また、学生、教員、保護者との対応の他、部署を跨った企画や提案など、多岐にわたる経験もできています。そのような経験を積むことで学園をより良くするためのアイデアを発見することができます。多くの経験をし、その経験の中で新しい発見を見出すことが好きな人と働きたいと思います。

田原

田原

特別な知識や経験は甲南学園の仕事のなかでは必須ではありませんが、今後は学園運営を職員が中心となって考える時代になっており、職員の仕事の質も量も日々変化しています。職員の仕事は事務作業が多いという印象があるかもしれませんが、仕事の幅が非常に広く、学園を運営していくという意識がこれから学校職員を目指す人には必要であると思います。また、就職活動では、高校や大学で身に付けた知識や経験が役に立たない場面もあり、落ち込むこともあるかもしれませんが、くじけずに活動を続けていれば最後には良い結果につながり、社会に出た後も役に立ちますので、最後まで粘り強く頑張ってください。

森川

森川

甲南学園は入職前に思っていた以上に風通しがよく、若手職員にも提案・実行の機会がある場所だと思います。入職1年目から「KONANクオリティプラス・プロジェクト」のポスターの作成を任せてもらえて、このような学園全体のプロジェクトに自身も参加できるとは思っていませんでした。入職1年目から自分の考えを提案・実行することができ、とてもやりがいを感じています。甲南学園で自分の考えを提案・実行したい人と一緒に働きたいと思います。

【ありがとうございました】
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