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【理工学部/生物学科/自然科学研究科/統合ニューロバイオロジー研究所】 岡畑美咲研究員, 久原篤教授らは「抗がん剤が体の低温耐性を強くする」ことをScientific Reports 誌に発表しました

トピックス24.3.11

岡畑 美咲 客員研究員(大阪大学 兼任)、太田茜 特任研究講師、久原篤教授らは、武田薬品工業株式会社と共同で、「抗がん剤として知られるレプトマイシンB(LMB)とカンプトテシン(CPT)が体の低温耐性を増強させる」ことを線虫の解析から明らかにしました。
 約4000種類の化学物質の中から抗がん剤であるLMBとCPTが低温耐性を強くすることを見つけました。LMBやCPTはストレス応答因子遺伝子の発現量を変化させ、それらの遺伝子の機能が欠損した変異体において低温耐性異常がみられました。さらに、LMBやCPTは腸に指令を出す細胞で低温耐性に影響を与えていることが示唆されました。
 線虫を用いることで短期間で安価に、体の低温耐性に関わる薬剤のスクリーニングを行えます。本研究で同定した抗がん剤が線虫の低温耐性を増強させることができたため、ヒトにおいて同様の現象が存在すれば、将来、遠隔地から重篤患者を輸送する際の数時間の低温延命などに役に立つ可能性があります。本研究の成果はScientific Reports 誌に公開されました。

Okahata M., Sawada N., Nakao K., Ohta A.*, Kuhara A.*
Screening for cold tolerance genes in C. elegans, whose expressions are affected by anticancer drugs camptothecin and leptomycin B
Scientific Reports, 14, 5401, 1-14, 2024 (*責任著者)
(https://doi.org/10.1038/s41598-024-55794-z) この論文は自由にダウンロードできます。

(添付資料)