甲南大学の研究力

発生学の視点で細胞を操り、
ヒトの健康を支える
発生学の視点で細胞を操り、ヒトの健康を支える

フロンティアサイエンス学部 生命化学科 教授

西方 敬人
身体を作る仕組みは細胞骨格が主役

生物の複雑な身体の構造も、最初はたったひとつの細胞である卵から作られます。その卵内には、母性mRNAが身体作りの情報として蓄えられています。その一方で、受精後に母性mRNAを卵内の適切な位置に運搬し、局在化させ、身体作りのスタートとなる細胞骨格を中心としたメカニズムがあります。その全体像はまだまだ良く分かっていないのですが、細胞骨格のひとつである微小管の作りだす構造の詳細を鮮明に暴き出しました。このメカニズムの詳細を明らかにすることで、ホヤの身体作りは勿論、一般的な細胞内での物質輸送や形態変化に関わる新たなメカニズムを明らかにすることとなります。

健康はマクロファージの活性化がカギ

ヒトの身体を守る免疫系は、獲得免疫と自然免疫に大別されます。自然免疫系の細胞であるマクロファージは、侵入してきた異物を貪食し、その異物の情報を獲得免疫系に伝えて免疫系全体を活性化させており、生体防御の最前線で働く細胞です。近年、このマクロファージが実に多様であり、かつ大きな可塑性を持つ細胞であることが明らかにされつつあります。そのマクロファージを活性化させ、自在に変化させることができれば、免疫不全や自己免疫疾患、アレルギーといった免疫系異常が原因となっている病気の治療に役立ちます。細胞の外縁に複雑なヒダを作って異物を貪食しようとするマクロファージ。このヒダヒダも細胞骨格が作りだす構造です。

お肌のハリは線維芽細胞が守る

皮膚は、表皮と真皮から構成されています。表皮は皮膚の表面で、外界からの刺激や異物の侵入を防ぐバリアとして重要であり、真皮は皮膚の弾力を保ち、表皮や毛包、汗腺などを支える構造として重要です。真皮は、線維芽細胞とそれが分泌するコラーゲンやエラスチンといった弾性繊維が作りだす構造で、線維芽細胞は、古くなったコラーゲン繊維を食べ、また新たにコラーゲン繊維を作りだすというサイクルで恒常性を維持しています。この線維芽細胞を活性化すれば、いつまでもお肌ピチピチ!アンチエイジング。