行政組織はどのように機能しているのか
行政組織はどのように機能しているのか
法学部 法学科 准教授
行政学・公共政策学とは?
私たちの暮らす社会では、絶えず様々な問題が発生します。そうした問題を解決してくれる主体の一つが国や地方の政府です。政府は、生活に不可欠な公共サービスを提供してくれる「ありがたい存在」で、必要に応じて新しい制度・政策を導入したり、既存の制度を見直したりしています。新型コロナウィルス感染症の拡大に直面し、政府の果たす役割の重要性を再認識した方も多いのではないでしょうか。政府がどのようなメカニズムで機能しているのか、政治や民間セクターとどのような関係性にあるのか、どのような歴史を辿って現在の統治構造が形成されるに至ったのかを学び、政府とその周縁で生じる様々な現象の理解を目指す学問が行政学・公共政策学です。
行政や政治に関する「不可解な現象」を探る
上述の通り、政府はありがたい存在です。しかし一方で、政府の行動を丁寧に観察してみると、しばしば、あまり合理的とは思えない政策が導入されていたり、時代遅れの制度がいつまでたっても廃止されずに維持され続けていたりすることがあります。また、繰り返し問題が指摘されているにもかかわらず、政府が一向に解決に動こうとしない、ということも見受けられます。なぜそのようなことが起こるのでしょうか。制度や政策、行政組織をめぐるこうした不可解な現象を見つけ出し、その原因を解明して、どうすれば改善できるか追究することが行政学研究者の役割です。
行政組織内部の実態を探る
行政学・公共政策学は様々な主体・現象を研究対象として扱う学問です。私は日本の医療政策がどのように形成されるのか、特に行政組織内部のメカニズムに着目しながら研究に取り組んでいます。例えば、厚生労働省の内部文書を収集・精査したり、政策決定に携わった官僚OBをはじめとする関係者にインタビュー調査を行ったり、政治資金データを使った定量分析をしたりしています。こうした調査・分析を通じて、行政学や公共政策学の発展に寄与すること、そして、今後の医療政策、ひいては公共政策の改善に向けて、何らかの示唆を見出すことを目指しています。