宇宙で最初にできた星知ってますか?理工学部 物理学科 須佐 元(宇宙物理学)

天体物理の専門家で、初期宇宙での星・銀河の形成の理論的研究をされている須佐教授にお話しを伺いました。

About Me ( SUSA Hajime )

天体物理を専門に研究をしています。宇宙の研究というと天体望遠鏡を使って天体観測を行うイメージがあるかもしれませんが、私の場合には物理学の理論や数学を用いて宇宙で何が起きているのか、太古の宇宙ではなにが起きたのかを解明していく研究をしています。

理論と言っても紙と鉛筆だけで考えるのではなく、コンピュータの中に仮想的な天体を作成し、それが物理の理論に従ってどのように運動するか、変化するかを調べます。その意味ではコンピュータを使った「数値実験」を行っていると言えます。苦労して行った複雑な数値実験の結果がシンプルな数学的理論で説明できることがわかった時や、観測結果と整合することがわかった時などは大きな達成感を得ることができます。

Research

The First Stars

現在は主に「宇宙で最初にできた星(ファーストスター)」について深く研究しています。 私たち人類の体の大部分は水(H2O)でできていますが、水を構成する酸素(O)はビッグバンで宇宙が始まったときには存在しなかったことが知られています。ではどこで現れたかというと、太陽のような恒星の中で核融合によって作られたと信じられています。したがって、ファーストスターは、物質的な意味で人類の祖先と考えることができ、その成り立ちを知ることで我々人類が宇宙の中でどのような存在なのかを知ることができます。

初期宇宙での天体の形成は1990年代半ばに理論の大枠が決まって研究が進み、現在に至っています。大枠が決まってからの20年間の学術的な進歩はめざましく、ファーストスターについても特に理論的にかなりの部分が解明されてきました。これまでは観測的にはこれらの星々は遠方すぎることもあって調べることが困難でしたが、最近稼働し始めた宇宙望遠鏡によって、これからの数年間は最初期の宇宙での天体創造の現場が見えるようになるエキサイティングな時間になると思います。

Knowledge Input

宇宙物理は日々すごい速度で進歩しています。例えば、発表されている論文は1日あたり数10本くらいあります。その中で関連性のあるものや興味のある論文を日々確認します。またオンラインでの研究仲間との議論や研究会への参加を通して国内外の研究の進展を把握しつつ、新たなアイデアを見つけ出して自身や学生さんたちとの研究を推し進めています。

KONAN’s Value

須佐先生のゼミで学習した学生さんに感想を聞いてみました。

宇宙に興味があったので須佐先生のゼミを選びました。授業内容は難しかったけど、段階を踏みながらの説明が丁寧でわかりやすく、宇宙の物理的理解を深め、研究の楽しさを知る事ができました。また、答えを教えるのではなくヒントをくれるので、自分の力で答えにたどり着け、勉強をした!という達成感がありました。須佐先生の授業を通して、考えることや頑張ることの大切さを知りました。

Private

和歌山にあるお寺の住職をしています。 通勤に時間がかかり、大学とお寺の両方の時間を調整するのが大変です。

一方で頭の中の違うところを使うのでそれぞれの仕事に良い効果があるようにも思います。

和歌山にあるお寺
和歌山にあるお寺

Profile

須佐 元

理工学部物理学科 教授

須佐 元

SUSA Hajime

専門領域

宇宙物理、数値流体、輻射流体

学位

博士(理学)

キャリア

京都大学大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻博士課程卒
日本学術振興会 特別研究員(筑波大学)
筑波大学計算科学研究センター 助手
立教大学理学部 助教授

所属学会

日本天文学会