人間心理を組み込んだゲーム理論を活用し、ビジネス戦略を立案する。経営学部 経営学科 三上 和彦(経済理論)

ゲーム理論の専門家で、実践的な経営論の基礎を研究している三上和彦教授にお話しを伺いました。

About Me ( MIKAMI Kazuhiko )

経営学部経営学科で「ゲーム理論」を研究しています。
特に、心理学の考え方も組み込んだゲーム理論を通してのアプローチや戦略の立案などを研究しています。
ビジネスで成功するためには競争相手との駆け引きも必要ですが、ゲーム理論の考え方や意思決定理論の考え方を用いることで、ビジネスを成功に導く方法を考えることができます。
様々な過去の事例を研究し、ゲーム理論を用いて分析することで、効果的なアプローチを考えることが可能です。

Research

Game Theory and Decision Making

研究のメインテーマであるゲーム理論は、相手の心理を読み、行動を予測して対策を決める考え方です。
ビジネスをうまく行うためには、自分だけではなく相手の考えや行動を推測するといった競争相手の理解も必要です。
相手の意図を読んで自分にとって最適な行動を決める際に役に立つのが、ゲーム理論です。
また、ゲーム理論を活用することで、相手の意思決定にも影響を与えることができます。
うまく相手を誘導して自分に有利になるような状況を作ることができれば、ビジネス上での大きなアドバンテージとなります。
ゲーム理論の研究は、いろいろなケースを想定してのシミュレーションの要素や、過去のケースから推測される最適解を推測することなどで得られる知的好奇心がとても大きいところが魅力的です。
教科書に書いていないことを見つけることが研究なので、簡単ではありませんが、ゲーム理論を使って新しい答えを導き出し、発表するときが一番面白いと感じています。

Price Competition

ゲーム理論を理解するために、一つの例として企業の「商品の値決め」について考えてみましょう。
商品の販売をする場合、企業が目指すのは利益の最大化で、そのためには自分たちの商品をより多くの人に買ってもらう必要があります。
多く買ってもらうための一つの戦略に価格によるアドバンテージがあり、競合製品よりも安く価格を設定することで購入してもらいやすくすることができます。
ただし、この戦略は一般的に広く認知されており、同様の戦略を取ってくる競合相手も多く、同じように競合製品よりも安く価格を設定しようとするでしょう。
また、価格を安くしすぎると利益も少なくなるので、競合相手の価格や利益率などのバランスを考慮して値段を決める必要があります。
最終的な価格決定にはこれらの駆け引きが必要になってくるため、大切なのはこれらの複数の要素をふまえた上での値決めになり、ゲーム理論では、ナッシュ均衡点という、相手の反応も考慮したベストの価格を決定すべきであると考えます。
価格競争と同じように、コンビニの出店計画での事例など、身近なテーマでゲーム理論の考え方を用いて採用すべき立地戦略を検討することも面白いです。
なぜコンビニは隣接して出店するほうが利益が出やすいのかという結果は、ナッシュ均衡点の結果と一致することが分かっているなど、現実に起きる様々な事象をゲーム理論によって説明するという研究の面白さと多様性には際限がありません。

KONAN’s Value

価格決定の例のように答えが決まっているものではないケースが多くあります。相手の関係性や市場の動向など、その時々の状況に応じて柔軟に対応して意思決定することが必要ですが、ゲーム理論を学ぶことで、どのような状況においても意思決定を行うことができる応用力と実践力を鍛えることができます。
実践的なアプローチの考え方を学ぶことで、必ずしも正解のない社会で役立つ能力(orスキル)の基礎を学ぶことができます。

在外研究でイギリスを訪問
学生たちとゼミ合宿

Private

大学時代はボート部に所属してスポーツに打ち込んでおり、サイクリングやロードバイク、冬にはスキーを楽しんだりと、スポーツ全般がとても好きです。
今年度からテニス部の顧問になりました。
スポーツクラブの顧問は初めての経験ですが、これからスポーツの雰囲気を再び経験できるのを楽しみにしています。
運動することと、大学での研究で知的好奇心を満たすことで、充実した毎日を過ごしています。

ボートレースで有名なヘンリー・レガッタが開催される最寄駅の写真

Profile

経営学部経営学科 教授

三上 和彦

MIKAMI Kazuhiko

専門領域
経済理論

キャリア
同志社大学文学部 哲学及び倫理学専攻 卒業
ボストン大学経済学部 博士課程 修了

所属学協会
ゲーム理論学会(Game Theory Society)