航空市場の分析から地域経済の活性化とグローバルな発展を提案する。経済学部経済学科 准教授 森本 裕(航空市場分析)

航空市場の分析と航空政策の提案の専門家で、航空市場と地域ビジネスの関連性を研究している森本裕准教授にお話しを伺いました。

About Me ( MORIMOTO Yu )

専門分野は航空市場で、航空市場の分析や航空政策の提案を含めた研究を行っています。
主な研究テーマとして取り扱っているのは関西3空港の航空市場と地域経済の関連性に関するもので、関西の地域経済/地域ビジネスの活性化に神戸、伊丹、関空の3空港がどのように影響するのかを調査しています。
地域にとって交通機関は地域経済とも深い関わりがありますが、空港が与える影響を考えると興味深い事実が見えてくることもあり、研究にやりがいを感じています。

Research

Characteristics of each of the three Airports

関西にある「神戸空港」「伊丹空港」「関西国際空港」の3つの空港は、空港建設時の目的や利用意図などが異なります。
これまではそれぞれの空港が、時代によって期待される役割や機能に応える形で運営されてきました。
例えば、伊丹空港の場合は、空港開港当初は国際線の需要があり、総合的な空港としての役割を期待されていたように思われます。
しかし、地域経済の規模拡大に伴う飛行機利用の需要が高まり、伊丹空港のみで利用ニーズを満たすことが難しくなったため、関西国際空港が開港され、国際線の路線は関西国際空港、国内線は伊丹空港というように役割分担が変化しました。
また、神戸空港は最後に作られ、2つの空港から遠い位置にある神戸の航空需要を満たす目的が高いように思っています。
関西では、利用者はこの3つの空港をそれぞれの用途や目的に沿って選択することができます。ビジネスでの利用では大阪都心から近い伊丹空港を、安価なLCCに乗りたい時は関空を、といったように空港を使い分けることができるのは関西に住む人々にとっては大きなメリットといえます。このように、現在では、それぞれの空港が独自で動くというよりも、3つの空港が連携してサポートしあうことで利用者にとってメリットが大きくなるような形態で運用されています。

伊丹空港
関西国際空港

Kobe Citizens and Kobe Airport

利用者にとって、空港を近さや利便性で選択するということは一般的ですが、神戸空港では例外となるケースが散見されます。
国土交通省による調査の結果をみると、理論値よりも多くの神戸市民が神戸空港を利用しているという結果が出ています。
この事実は、神戸市民の神戸空港への興味関心が高く、他の空港ではなくあえて神戸空港を選んでいる利用者層がいるということを表しています。
別途実施した神戸市民を対象とするアンケートの結果によると、神戸市民が神戸空港に対して愛着を持っており「神戸空港を使いたい」「神戸空港だから使っている」という実態が明らかになりました。
神戸空港は、日本の中でも珍しく「神戸市」が管理している「神戸市」の財産です。
多くの空港は国や県が管理運営していますが、神戸空港は神戸市という一つの行政で運営されています。
そのため、神戸市民にとって重要な位置づけを持った空港であるということがわかってきます。
神戸空港に対しての思いが地域経済にも影響を与えている点はとても興味深いと思います。

KONAN’s Value

甲南大学の研究環境は、教授の先生方から研究テーマについてのアドバイスをもらえるなど、とても充実しています。
私の研究テーマの航空市場についても、研究テーマを決める際に当時の担当教授から航空市場の当時のビジネスでの注目度や将来性など、学生視点では気付けないポイントなどを教えていただきました。
研究をする際には、気になっていることに意識を向けて欲しいと思いますし、そのことをテーマとして考えるとよいと思っていますが、どのようなテーマにするかを決めかねている場合などは、将来性を含めた視点でアドバイスをしてくれる教授がいるのは心強いです。

Private

昨年、息子が誕生しました。
現在、1歳になり、歩くようになったので活動範囲が広がりました。親からすると危なっかしくて目が離せず、ハラハラドキドキの連続です。子どもの世話は大変ですが、日々成長を感じることができるので毎日が大変刺激的です。
研究と育児のバランスを取りながら過ごすことがとても難しく感じていますが、育児はとても楽しいので現在の状況を楽しんで日々を過ごしています。

子どもと過ごす休日

Profile

経済学部経済学科 准教授

森本 裕

MORIMOTO Yu

専門領域
航空市場

キャリア
京都大学   経済研究科 博士課程   修了

所属学協会
応用地域学会