”好き”をシェアすることが、幸福度の向上につながる! マネジメント創造学部 准教授 青木 慶(経営学)

経営学の分野で、企業と消費者の価値共創について研究をしている青木准教授にお話しを伺いました。

About Me ( AOKI Kei )

大学卒業後、外資系企業で営業やマーケティングの仕事に携わりました。最初の3年間は、営業車に乗って店舗を回ったり、時には店頭で売り場を作ったり、外に出る仕事をしていました。その後マーケティングに移り、自分の担当するブランドを通じて、どのようにお客様にハッピーを届けるかについて、考えを巡らせる日々を送っていました。

社会人10年目ごろに、もう少し専門性を身につけようと、仕事と並行して、大学院(MBA)に通いました。修士論文では、当時仕事で担当していたブランドやその市場について、約50年にわたる歴史を分析し、そのブランドが今後取るべき戦略について考えました。初めての研究論文はとても苦労しましたが、同時に面白さややりがいを感じ、その後、博士課程に進むことにしました。

博士課程修了時に、その後のキャリアについて検討し、新しい分野でチャレンジすることを選びました。そうして、17年働いた会社を退職し、大学でのキャリアをスタートさせました。

Research

Co-creation

博士課程在学時に、企業から消費者に一方通行で価値を届けるのではなく、企業と消費者が一緒に価値を創っていく「共創」という考え方があることを知り、これをどう実現させていくのかを研究テーマに選びました。次々に新しい発見があり、今もこの研究テーマを継続しています。

身近な例で言うと、「推し活」もファンと推しの価値共創だという見方ができます。時間や空間を共にして、一緒に体験を創り上げていく楽しさは、みなさんにも憶えがあるではないでしょうか。推し活を対象に研究調査を行ったところ、推し活は人々の幸福度を向上させるという結果が得られました。

Knowledge sharing and well-being

近年は、SNSやシェアリングエコノミーのプラットフォームなどを通じて、一般の個人によるアイデアの発信や具現化が活発に行われています。私はこの現象に興味を抱いて、数年にわたり、さまざまな方へのインタビューやアンケートによる調査を実施してきました。そして、自分の知識やアイデアを他の人に共有することは、お金を得る手段になり得るだけでなく、その人自身の幸福度を高めるという結論に至りました。この研究結果をまとめた「スキルシェアのすすめ」という本を、ちょうどこの9月(2023年)に出版しました。

写真 1 「スキルシェアのすすめ」

KONAN’s Value

マネジメント創造学部(CUBE)では、少人数によるプロジェクト型グループ学習を中心に据えて、「自ら学ぶ力」「共に学ぶ力」「自ら考え行動する力」を育成することを目指しています。この夏は、「地球環境・企業・消費者の三者にとって持続可能なビジネスとは?」というテーマを掲げて、12人のCUBE生と、ハワイでフィールドワークを行いました。

ビーチ清掃からのアップサイクル製品づくり(写真2-5)や、プラントベースのカフェでの実習(写真6-8)など、全員共通のアクティビティ以外の時間は、学生が3グループに分かれて、自分たちで事前に計画した取材先へ向かいます。

各グループ、現地でビジネスを営む方や、現地在住の同年代にインタビューをしたり(写真9)、さまざまな店舗を取材したり、まさに「自ら学ぶ力」「共に学ぶ力」「自ら考え行動する力」を駆使して、フィールドワークならではの情報を収集しました。帰国後は、この成果を踏まえて、企業にアイデア提案を行います。

学生時代から、実社会における課題を発見したり、チームでその解決策を考案するプロセスを踏むことは、将来的に多くの場面で活かせるのではないでしょうか。

写真 2 ビーチ清掃
写真 3 集めたプラスティックごみ
写真 4 キーチェーンづくりの様子
写真 5 完成したキーチェーンとともに
写真 6 キッチンでの実習の風景
写真 7 アサイーボウルの出来上がり
写真 8 ALO Cafe店舗の前にて
写真 9 ハワイ大学にて現地の同年代にインタビュー

Private

趣味はカフェ巡りです。気に入ったお店を見つけたら、とことん通い詰めるので、あまり巡ってはいないかもしれません。先日訪れたハワイでも、海が目の前にある、居心地のよいカフェを見つけたので、連日そこで朝食をとりました

カフェでの朝食

Profile

マネジメント創造学部 准教授

青木 慶

AOKI Kei

専門領域
経営学(マーケティング、イノベーション)
キャリア
神戸大学大学院経営学研究科・博士後期課程修了
所属学協会
Amarican Marketing Association
日本マーケティング学会
日本広告学会
日本消費者行動学会
受賞歴
2022 日本マーケティング学会 オーラルセッション2022 ベストペーパー賞
2019 2019 Journal of Global Scholars of Marketing Science  Best Paper Award