人材育成が幸福をもたらす誰もが幸せな仕事生活をおくれる社会づくりに貢献したい。経営学部 教授 尾形 真実哉(組織行動論)

組織行動論の専門家で、若年就業者/中途採用者の組織適応、育成上手の教え方についての研究を行う尾形真実哉教授にお話しを伺いました。

About Me ( OGATA Mamiya )

出身は宮城県。2002年に神戸大学大学院経営学研究科に入学、2007年に神戸大学大学院経営学研究科で博士号を取得。同年4月より甲南大学経営学部に専任講師として着任し、現在に至ります。専門は組織の中の人間行動を研究する組織行動論(Organizational Behavior : OB)です。
“経営学”と言うと、どのように稼ぐのか、どのように商品を売るのか、どのようにお金を管理するのかなど、企業経営に関することが思い浮かぶかもしれませんが、組織行動論は、どのように人を動機づけ、高いパフォーマンを発揮させるのかといったような“人間”が研究の対象になります。それゆえ、組織行動論は、“人間学”と言える学問領域で、企業経営に限らず、日常生活にも援用可能な、身近で実践的な学問になります。

Research

Organizational adaptation of young workers/mid-career hires, ability to train managers

研究テーマは大きく3つあります。1つ目は、大学院生の頃から取り組んでいるテーマで、大学を卒業して、会社に入社した新卒採用者が、どのようにして会社組織に馴染み、成長していくのかに関する、若年就業者の組織適応の研究です。夢や希望を持って社会人になった新卒採用者たちは、なぜ早期に会社を辞めてしまうのか。どのような現実に直面しているのか。どのようなサポートが必要なのかを若年就業者へのインタビュー調査や質問票調査を実施し、明らかにしました。その成果をまとめたのが『若年就業者の組織適応―リアリティ・ショックからの成長』(白桃書房)になります。

若年就業者の組織適応―リアリティ・ショックからの成長

2つ目の研究テーマは、新卒採用者ではなく、中途採用者がどのようにして新しい会社組織に馴染み、パフォーマンスを発揮していくのかに関する研究です。「大学から企業」への移行を果たした新卒採用者と「企業から企業」への移行を果たした中途採用者とでは、適応課題や求められるサポート施策が大きく異なることをインタビュー調査やアンケート調査の結果から明らかにしました。「経験があるから大丈夫だろう」と思われがちな中途採用者ですが、「経験があるから適応が難しい」のです。だからこそ、中途採用者には教育やサポートが重要になります。その成果をまとめたのが『中途採用人材を活かすマネジメント―転職者の組織再適応を促進するために』(生産性出版)になります。
上記の2冊は研究書として出版したため、実務で働く方々には手に取ってもらい難かったと思います。そこで、より多くの人達に読んでもらうために、上述した2つのテーマを実践的に読み易くまとめたのが、『組織になじませる力―オンボーディングが新卒・中途の離職を防ぐ』(アルク)になります。

中途採用人材を活かすマネジメント―転職者の組織再適応を促進するために

3つ目のテーマは、最近、特に力を入れているテーマで、日本企業における育成上手の研究です。若年就業者の組織適応と中途採用者の組織再適応の研究の結果、双方に重要な役割を果たす存在が、上司であるということが分かりました。それゆえ、日本企業における管理職の育成力を高めることが求められます。それを実現するためには、どのような施策を講じれば良いのかを研究テーマとし、育成上手の教え方や考え方について、インタビュー調査とアンケート調査を実施し、解明しようと尽力しています。

組織になじませる力

KONAN’s Value

甲南大学に限ったことではありませんが、研究は「より良い社会づくり」に貢献できます。甲南大学には多くのユニークな研究をしている先生が多く、より良い社会づくりに貢献できる資源が豊富だと思います。

Private

趣味はスポーツ観戦。サッカーや野球、ラグビーやバレーボールなど、どのようなスポーツも大好きです。特に、中学時代からはじめたバスケットボールは、本来ならばプレーしたいところですが、体力的に難しくなったため、アメリカのプロバスケットボールリーグ(NBA)の試合をよく観ています。
最も好きな時間は、家族と過ごす時間です。最近は、庭の紅葉がきれいで、子どもと一緒に夜の紅葉鑑賞を楽しみました。

子どもと一緒に夜の紅葉鑑賞

Profile

経営学部 教授

尾形 真実哉

OGATA Mamiya

専門領域
組織行動論
経営組織論

キャリア
明治大学   商学部商学科
神戸大学大学院   経営学研究科

著書
『組織になじませる力―オンボーディングが新卒・中途の離職を防ぐ―』(アルク,2022年)
『中途採用人材を活かすマネジメント―転職者の組織再適応を促進するために―』(生産性出版,2021年)
『若年就業者の組織適応―リアリティ・ショックからの成長』(白桃書房,2020年)

メディア掲載
新聞記事(「労働新聞」全23回の連載)
雑誌『PRESIDENT』

受賞歴
人材育成学会論文賞(2011年)
「HRアワード2022」書籍部門入賞

所属学会
経営行動科学学会
組織学会
日本労務学会
人材育成学会
産業組織心理学会