大量のデータから様々な人に役立つお宝情報を探し出し提供する。知能情報学部 灘本 明代 (データ工学 / AI / データマイニング)

情報処理の専門家で、データ工学/AI/データマイニングについて研究している灘本明代教授にお話を伺いました。

About Me ( NADAMOTO Akiyo )

複数の民間企業や国の研究所を経て、甲南大学の教員になりました。
専門は、AI等様々な技術を用いて大量のデータを効率的に扱うための研究であるデータ工学です。
様々な経験、研究を通して、「人」特に「何かに困っている人」をデータ工学の技術を用いてサポートしていきたいと考えるようになりました。
そこで、被災者に有益な情報を素早く提供することを目的とした、SNS上に大量にある有益な災害情報の分析・抽出・提供の研究や、患者やお年寄りに日々の笑いを提供することを目的とした、生成AIによるユーモアのある対話生成の研究を行っております。

Research

Providing behavioral facilitation information on SNSs to disaster victims

ご存じのように、現在台風や大雨、地震等様々な災害が頻繁に起こっています。災害が起こるたびに人びとはSNS上に様々な情報を投稿しそれらは蓄積され、そして災害時に被災者は自分にとって有益な情報をSNSから取得しようとします。しかしながら、SNS上の災害に関する情報は膨大であり、その被災者にとって有益な情報を迅速に取得することは困難となっております。特に被災者に行動を促進したり抑制したりする情報は被災者にとって影響を与えやすいと考えられます。本研究では、この行動を促進したり抑制したりする情報を行動促進情報と呼び、AI(特にDeep Learning)の技術を用いてSNSから行動促進情報を自動で取得し、被災者毎に適した情報を迅速に提供する手法の研究を行っております。
この研究では、被災者の住んでいる地域のローカルな行動促進情報を提示したり、その人が困っていることや気づいていない行動促進情報をSNSから抽出して提示します。
また、「XXX川が氾濫するからXXX川に近づいてはいけません」といったように近くの川の名前が入った情報を見た時、近づかないようにしようと思う人もいれば、心配だから見に行こうという人もいます。
これらは、その被災者の性格に依存すると考え、被災者の性格により、提供する情報を変えて提示する手法の研究も行っております。
このように、SNS上の災害時の行動促進情報をユーザ毎に抽出・提示する手法の研究を行っております。

Generating humorous dialogue

日々の笑いは人々に心の安らぎをもたらすだけでなく、健康にもよい影響があることが分かっております。
そこで、AIの力で日々の笑いを人々に提供することを目的として、研究室の学生と一緒に漫才ロボットの研究を行っています。
漫才ロボットは、ロボットと音声と漫才台本自動生成の3つの研究からなっており、知能情報学部のロボットの研究者である梅谷先生、音声の研究者である北村先生と共に、私は漫才台本の自動生成の研究担当です。
漫才台本は笑いある対話生成の技術からなっていますが、この「笑いのある対話」は一般に次に来ると予測できる返答ではなく、ちょっとはずした返答を行うことにより笑いが生じると言われております。

漫才ロボット
漫才ロボット

KONAN’s Value

甲南大学は学生さんと教員との距離が短いです。私も日々研究室の学生たちと白熱するディスカッションを行い、研究を進めております。
上記に紹介した2つの研究も学生さんとの研究です。また、知能情報学部では教員間の仲が良く、漫才ロボットも専門の異なる教員の研究室間での共同研究です。そして、学内のプロジェクトであるプレミアプロジェクトの成果でもあります。このように、日々楽しく研究を行っております。

Private

私は温泉とスキーが大好きです。
普段は一日中研究室内で学生や先生たちとディスカッションをしているか、もしくはPCの前でじーっと研究をしておりますが、休みを見つけると、冬はスキーに、その他の季節は温泉に入りに旅に行き、リフレッシュしております。こんなアクティブな研究者です。

Profile

知能情報学部 教授

灘本 明代

NADAMOTO Akiyo

研究領域
データ工学
AI
データマイニング

キャリア
東京理科大学理工学部電気工学科 卒業
神戸大学大学院自然科学研究科・博士後期課程・情報メディア科学専攻 修了
独立行政法人 情報通信研究機構

所属学会
情報処理学会
電子情報通信学会
日本データベース学会
ACM