経営学部 教授 三上 和彦 × 経済学部 寄 恭輔

経営学部 教授 三上 和彦 × 経済学部 寄 恭輔

先生は現在、経営学部で教鞭をとられていますが、大学は文学部哲学科を卒業されていますね。この学部に進学した理由を教えていただきたいです。

三上教授

もともとは歴史が好きで、初めは文学部の歴史学科などを中心に考えていました。
歴史は高校でも習っている科目で今まで習ってきたものを発展させていくというイメージはつきましたが、哲学や経済学、経営学などはそういった点であまりイメージがつかず、その当時から哲学を学びたいと考えていたわけではありませんでした。
高校3年生の受験では志望校に合格することが叶わなかったので、浪人することを決めましたが、浪人時代に通っていた予備校の講師の方が、哲学を研究されていました。
この講師の方が紹介している人物や本を見て哲学に興味を持ち、哲学という学問を学びたいと思い進学を決めました。

哲学というと難しいイメージがありますが、哲学はどのようなことを学ぶのでしょうか?

インタビュアー 寄
三上教授

哲学にも様々な分野があります。私が所属したゼミで書いた卒業論文のテーマは認識論という分野でした。
認識論は人間がどう物事を理解してどう行動するかを扱う分野です。
そういった我々がこの世界をどう理解してどのように判断しているのかというところに興味がありました。

その興味が現在、専攻されているゲーム理論や意思決定論などに繋がっているのですか?

インタビュアー 寄
三上教授

その部分はずっと変わらないです。
今考えると当時は理解不足でしたが、哲学という学問で考えていることが自分では消化できず、もやもやとして騙されているような感覚でした。
一方で経済学は自立的に目標を立てて動くという人間像の中で、どう行動を定式化していくかというものだったので、もしかしたら人間の行動を説明できるのではないかと思って経済学部に移りました。

海外の大学に進学した理由を教えていただきたいです。

三上教授

学部を卒業してから、アメリカに行くまでの3 年間は日本の大学で大学院生をしていました。
学部の時からゲーム理論を研究したいと思っていたのですが、やろうと思っても教科書もなく、英語の教科書ですらほとんどありませんでした。
自分の理解も追いつかないので、何をやっているのだろうと思っていましたが、学んでいくうちにこの分野の最先端がアメリカであることが分かってきて、それならば日本にいるよりもアメリカに行ったほうがいいと思い進学しました。

大学生の本分は学びにあると思いますが、大学の学び以外に課外活動やアルバイトの方に力を入れている学生についてどうお考えか教えていただきたいです。

三上教授

基本的には色々なことにチャレンジをした方がいいと思います。
一般的に大学生は様々なことにチャレンジできる一方で、そういった機会のすべてを試すことはできません。
ですので、そのチャレンジする対象が勉強でも課外活動でも自分の思うように突き詰めていけばいいと思います。
ただし、バランスも重要です。
大学の時間は貴重でこれだけの時間を使って深く学べる機会は社会人になったらほとんどない場合が多いと思うので有意義に過ごしてほしいです。

大学時代にやっていて良かったこと、やっていた方が良かったと思うことがあれば教えていただきたいです。

三上教授

基本的に大学生活に悔いはありません。
ボート部に所属していましたが、ボート競技は初心者で、部活動がしんどいことと思うこともありました。
1年生の時は体力的には辛く、合宿所から大学が遠くて通学も大変でした。
しかし、部活動の仲間は今でも繋がりがありますし、自分では全く想像もしていなかった世界を経験できたのは良かったです。
勉強に関しても現在に繋がっている資産です。
やっていた方が良かったことは、強いて言うならば就活はやっていても良かったかなと思います。
今の道を後悔している訳では全くありませんが、別の可能性があったかもしれないという点ではやっていても良かったかもしれないなと思います。

現在の教授という職業はご自身でも気に入られていますか?

三上教授

自分の専攻している分野を研究することができますし、こういった風に学生ともお話できるので充実していると感じます。
大学2年生の時に今の道に進むことをぼんやりと決断した記憶があります。
今でもこの道に進んだことは全く後悔していません。

インタビューをした感想

今回のインタビューで一番驚いたことは、当時普及していなかった「ゲーム理論」を学ぶために海外へ行くことを決意したと三上先生にお伺いしたことです。
もし、私がその立場なら、その決断はできないだろうと感じます。
三上先生の学びへの姿勢や行動力には私自身、見習う点が多いなと感じましたし、非常に刺激になりました。
この度は貴重な機会を設けていただきありがとうございました。

インタビュアー 寄