経済学部 教授 足立 泰美 × 経済学部 川上 理来

経済学部 教授 足立 泰美 × 経済学部 川上 理来

はじめに先生が行なっている研究について詳しく教えてください。

足立教授

専門は財政学・地方財政・社会保障財政です。国・地方公共団体の財源と給付をテーマに幅広く研究を進め和書や洋書にまとめ、国内外に向けて情報発信をしています。具体的には、年金・医療・介護・雇用・子育て・教育をテーマに、地方公共団体、企業ならびに家計の個票データを使用して、実証的に検証しています。なかには、総務省、文部科学省や神戸市等の行政機関からのご依頼で進めている研究もあります。例えば、水道管の破裂が社会問題になっていますよね。このような公共インフラの老朽化対策に対して、総務省との調査研究では、各地方公営企業(水道・下水道・病院事業)の損益計算書、貸借対照表、キャッシュフローデータを用いて、将来の人口を見据えた公共インフラの維持更新をテーマに、広域化や官民連携等によるサービスの提供体制を評価したり、公定価格や企業債等の財源の確保を検討したり、研究を進めています。また、文部科学省の国立教育政策研究所からは、家計の個票データを使用して、教育投資(小・中・高・大)と将来の生涯賃金や社会保障給付との関係を研究しています。さらに、神戸市等の地方公共団体とは、大学生の就業意識調査や、若年世帯の転出・転入のニーズ調査、30~40代の婚活支援調査を実施して、政策提案をしています。

たくさん研究しているんですね。この中で1番力を入れている研究はありますか?

インタビュアー 川上
足立教授

ご依頼された調査をはじめ、すべての研究を全力でやっています!これら研究は、教育や社会貢献にも繋がっていき、研究・教育・社会貢献が相乗効果となっていますね。どの仕事も、様々な繋がりを生み、色々な形で次のチャンスに発展していくのを肌で感じていますので、ご縁を大切にしたいですね。

さすがです!僕もですが、今の大学生に足りていない大事な部分だと思います。

インタビュアー 川上

先生はかつて国立循環器病センターにご勤務されていたと伺っていますが、なぜご勤務されるようになったのでしょうか?

足立教授

大学生時代にホームレスの方々の調査をしたのがきっかけです。バブル崩壊、就職氷河期時代、そしてフリーターやニート等がいわれた時代、自分の身にも起こってもおかしくないと思われる社会情勢が続いた時代がありましたよね。当時の指導教官から「一度ホームレスの方々の生活やミンドロ島の土着の方の生活を見てみない?」と言われ、週末は浅草の墨田川を、長期の休みには島にいっていました。週末、ブルーテント一軒一軒を訪問して、居住している方と1~2時間ほどお話しするなかで、人生の浮き沈みと生命力を学べましたね。段ボールや木片等で枠組みをつくり、青いビニールシートをかぶせた住居に住んでいるのですが、ブルーテントを共同で作るにしまして、そこにも人間関係が求められるのですよね。ブルーテントの生活を始めたころは精神的にも苦しいなかで、半年ほど経つと、生きることに一定前向きになるんですよね。人は、誰しもが、繊細さと図太さを持ち合わせていると思いましたね。しかし、ホームレスの方々は食生活が安定しておらず、生活習慣病の方も多かったです。その現状をサポートしたいと思ったのがきっかけですね。

いや〜、体当たり研究ですね(笑)ホームレスの方々も心を開いてくださるわけですよ。先生のパワフルさは学生時代から現在まで変わってないんですね!

インタビュアー 川上
足立教授

そうですね。集中治療室の現場も、非常に大変でした。臨床では、患者とその家族の方と向き合い、治療に留まらず、色々な問題に直面するので、その問題をどうしたら解決できるのか、常に、悩んでいましたね。その悩みを少しでも解消したく、大阪大学の国際公共政策研究科に進学しました。

先生の研究人生を少し理解できた気がします。
先生は大阪大学、関西学院大学それに大阪公立大学等でも教壇に立たれてきましたが、各大学と甲南大学の学生に見られる違いはありますか?

インタビュアー 川上
足立教授

甲南大生は、やや自信がなく積極性に欠ける部分もあるかもしれませんが、バランスが良いと思います。そして、人との繋がりを理解している学生が多いと思います。

すごい興味が湧きますね(笑)もっと詳しく聞きたいです。

インタビュアー 川上
足立教授

人とのコミュニケーションは重要ですよね。何事においても、相手の考えを理解することが求められますので、甲南大生はよく周りを見て、状況を理解して、先輩、仲間、後輩としての自分の立場に応じて、距離を調整しながら、思いやりを持ちながら、言動に心配っているように思います。

僕もそう思います。学生数が少ないこともあって、横と縦の繋がりがしっかりしていると感じます。一方で足りない部分はありますか?

インタビュアー 川上
足立教授

ん〜、もっと自分に対してキャップをつけず、自分の可能性に対して欲を出してもいいかもしれませんね!しかし、必ずしも欲を出すのが良いとは限らないのが人生の難しいところであり醍醐味ですよね。今後、仕事に就くようになったら、そうせざるを得ないときが巡りめぐってくると思います。ですので、その時に、真摯に考えたら良いと思います。

欲に関しては僕も共感します。特に、就職活動をしていた際に感じることが多かったです。

インタビュアー 川上

最後に、大学時代にやっておいたほうが良いことを教えてください!

足立教授

人との繋がりを大切にすることですね!特に、ゼミ等では、かけがえのない一生の付き合いができる仲間、先輩、そして後輩をつくるチャンスですので、ご縁を大切にするべきですし、先生はそうなることを望んでいます!

人と人の繋がりはやはり大切ですよね。ありがとうございました。

インタビュアー 川上

インタビューをした感想

足立先生は、本当にパワフルでユーモアに溢れている先生です。1対1のインタビューで、先生の研究や甲南大学に対する思いを伺えたことで、新たな学びを得られました。そして足立ゼミの活動が、常に学生主体である理由は先生の「繋がりを大切にしてほしい」という思いが込められているのかもしれません。私は足立ゼミに入ったことで、コミュニケーション・プレゼン能力等が高まり、就職活動では大きな夢を1つ叶えることができました。このたびは貴重なお話しを伺うお時間をいただきありがとうございました。

インタビュアー 川上