文学部歴史文化学科 講師 新見 まどか × 文学部歴史文化学科 廣尾 格

文学部歴史文化学科 講師 新見 まどか × 文学部歴史文化学科 廣尾 格

先生は中国の唐について研究をされていますが、なぜこの研究をしようと思ったのですか?

新見講師

一つ目の理由は、大学の先生が唐の時代を専門に研究しており、その授業で取り上げられたシルクロードや東西交易など、華やかな国際関係のイメージに惹かれたからです。二つ目の理由は、唐という王朝は日本との関わりが深く、仏教や律令制などを日本が学んだ国だったからです。それで、どういう国なのかを知りたいと思って研究を始めました。

では、具体的に唐の歴史の魅力とはどんなものですか?

新見講師

面白いのは前半と後半で国の統治方法が大きく変わっていることだと思います。高校の教科書だと、律令制あるいは三省六部、租庸調などの支配システムを習うと思います。そのような日本史にも通じる基本的な支配体制が作られたのは、唐の前半でした。ところが後半は、全く違う支配体制になっていました。それが、私の研究している藩鎮体制です。前半と後半で全く姿が違うのに一つの王朝として約300年存続したんです。その生命力と、時代とともに体制を柔軟に変えていく適応力。そういった所が魅力だなと思いました。

先生は海外へ現地調査に行ったりしますか?

新見講師

行きますよ。初めて海外に行ったのは大学1年生の春休みで、バイト代を貯めて友達と北京に一週間くらい旅行に行きました。その時はまだ北京オリンピックの前だったので、古い街並みが残っていて、とても楽しく旅をしました。
その後、大学院に進学してから、北京から西安にかけて約三週間の調査旅行を行い、現地の遺跡や石刻史料を見たり、博物館を見学したり、生まれて初めて黄河を渡るなど、色んな所に行くことができました。その後、妊娠・出産したりコロナがあったりして、しばらく海外に行けていませんでしたが、甲南大学に赴任して以後、台湾・上海・北京など、色々なところへ行けるようになりました。
現地では、博物館やお寺などに保存されている石刻史料を見ることが多いです。当時は、生前の業績を巨大な石碑や墓誌に刻むことがよく行われていました。実際に行ってみて、その大きさに驚いたり、拓本などでは判読できなかった文字を調べたりします。日本にまだ紹介されていない史料に出会うこともあり、とても楽しいです。

学生時代について詳しくお聞きしますが、小中高大とどんな学生でしたか?

新見講師

小学生の時から歴史が好きでした、特に最初は日本史が好きでした。
母親が戦国時代や幕末が好きで、歴史マンガや本を買ってくれました。その後、平安文学が好きになり、『あさきゆめみし』などを読んであこがれました。中学生の時も日本史が好きだったのですが、高校に入って、今まで学んだことのない世界史を新たに学びたいと考えました。実は私は小中高とそれほど真面目に勉強した学生ではありませんでした。純粋に、興味・関心に基づいて世界史を学んだのです。
その後、大学の進学先を考えるに当たって、歴史を学ぶなら文学部だ、と言われて文学部への進学を決めました。

学生時代にやってみてよかったことはありますか?

新見講師

海外旅行に行ってみてよかったと思います。自分が貯めたアルバイト代で行けたので経済的に少し自立できた気がしたし、友達と2人で日本の外に行ってきたというので楽しくもありました。おそらくその時の経験が、中国史をやりたいという今の私につながっていると思います。特にアジアは、物価もヨーロッパに比べると安価で、少し頑張ってバイトをしたら行けるので、ぜひ韓国や中国・台湾、ベトナムなど、アジアの国々に行ってみてほしいと思います。

先生が思う甲南大学の魅力は?

新見講師

まずキャンパスがきれいですね。この大学に足を踏み入れた時、レンガがあって松の木が茂っていて、すごく雰囲気が良いと感じました。長い歴史と、その上に積み重ねてきた実積があり、そのような伝統の上に成り立っているところが魅力だと思います。また、少人数教育なので、先生と学生との距離がとても近いです。甲南大学に来る前は、こんなに学生と距離感が近いと思っていなくて驚きました。特に、歴史文化学科のフレンドリーな距離感がとても好きです。

甲南大学の歴史文化学科は、どんな学生が向いてると思いますか?

新見講師

歴史が好きな人、地図を見るのが好きな人、そして文化などに興味がある人だと思います。仮に網羅的な知識がなかったとしても、「これが好き」という突出した「好き」がある人は絶対大学で輝けると思います。特に歴史、地理、民俗学あるいは文化に関して、とにかく私はこれだけは誰にも負けない、というものがある人は、ぜひ本学の歴史文化学科をオススメしたいです。

最後に、先生はどんな学生を育てたいと考えていますか?

新見講師

自分の好きな目標に向かって、キラキラ輝いてくれる学生を育てたいなと思ってます。例えばゼミ選択の際も、まだ研究テーマ決まらない、という学生もいますが、その中で自分なりの「面白い」を見つけて、それを最後の卒業論文まで突きつめていくことで、自分の「好き」を一つの文章として完成させる経験をしてもらいたいです。それは一生残るものですし、そこまでの努力の結晶を大切にして、自信を持って社会に出られる学生を育てたいと思っています。

インタビューをした感想

今回、インタビューをさせていただき貴重な経験になりました。
普段はなかなか聞くことがない新見先生の中国史への熱い思いを聞くことができました。
私もこれから歴史文化学科の学生として、中国史への見聞をより深めていきたいと思います。
新見先生、ありがとうございました。

インタビュアー 廣尾