A03 細胞・個体における環境応答性核酸構造体の多元機能

  ゲノムDNAやRNAには、高次構造や化学修飾といった、塩基配列情報を超えた多元的な情報が含まれています。これらは、温度やイオン濃度、水和状態などを含む細胞内のさまざまな環境に応じて変化し、環境変化に応答した生命活動の維持にとって大きな鍵をにぎっていると考えられます。本計画班では、核酸構造や核酸修飾といった高次の核酸情報が生命の維持にどのように反映されるのか、その生理機能を解析し、DNAやRNAの一次配列を超えた多元応答機構を明らかにすることを目指しています。特に、動物細胞におけるRNAの修飾とRNA非二重らせん構造との関係性および遺伝子発現への影響、植物のG4構造やエピジェネティック状態が発達段階や環境シグナルに応答してどの様に変化していくのか、その生理機能への影響に関して研究を進めていく予定です。バイオインフォマティクスや生物物理学的解析を得意とする領域メンバーとの共同研究を通して研究の幅を広げ、核酸高次構造の細胞および植物個体における多元的な生理機能を分子レベルで理解していきたいです。
  • 研究代表者

    今西 未来准教授リサーチマップ
    京都大学化学研究所
    専門分野 :分子生物学、タンパク質化学

    本領域における役割
    「細胞における核酸構造の機能解析」

    周辺環境に依存した多様な核酸高次構造とメチル化酵素との関係および遺伝子発現への影響に着目し、塩基配列情報を超えた核酸の機能発現様式を明らかにしたいと考えています。

  • 研究分担者

    安喜 史織助教リサーチマップ
    奈良先端科学技術大学院大学
    先端科学技術研究科 バイオサイエンス領域
    専門分野 :植物分子生物学

    本領域における役割
    「植物におけるG4構造の役割およびストレス応答性の解析」

    ホールマウント免疫染色などの観察技術を用いて、植物のG4構造が発達段階や環境シグナルに応答してどの様に変化していくのか明らかにしたいと考えています。また、in silico解析により見出されたG4構造を取りうる遺伝子に関して、環境ストレス下での発現応答や植物の生育への影響などについて解析する予定です。