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甲南大学の研究力

古地図を使って世界を知ろう

古地図を使って世界を知ろう

文学部 歴史文化学科 教授

鳴海 邦匡

東アジアにおける海図の近代化

私は、古地図を素材に研究をすすめています。今、関心のあるテーマのひとつが、東アジア海域における海図の近代化についてです。海図は航海の安全を守るために必要な地図です。東アジア海域においては、18世紀から19世紀にかけて、西洋の国々によって次第に近代的な海図が整備されていきました。日本も明治に入ると、英国などの海図を利用する立場から、自ら測量して整備する立場へと徐々に変わっていきました。帝国と地図の関係について、実際に地図を作るプロセスから検討するのは、新しい問題のたてかたといえます。これらの課題を調べるため、米議会図書館、米国立公文書館、大英図書館などで調査を進めています。右の写真は、米国立公文書館で調査をする様子を写したものです。

江戸時代の絵図を素材として

私の研究の関心は、江戸時代の絵図を素材に、その測量技術を調べることから始まりました。江戸時代にはたくさんの絵図が作成されており、まだまだ研究すべき素材やテーマが残されています。最近調査を進めている資料として、例えば、篠山市教育委員会が所蔵する青山家文書の近世絵図群があります。とても貴重な絵図が数多く含まれており、様々な機会を通じてその整理を行ってきました。この資料については、学科の学生達(歴らぼ地図班)とも本学地域連携センターの支援を受けて調査を実施しており、2015年度に全資料目録の作成(http://www.konan-u.ac.jp/hp/rekibun/?p=363)、2017年度に資料紹介用の冊子とパネルの作成(http://www.konan-u.ac.jp/hp/rekibun/?p=661)を行いました。「歴らぼ」は学科の学びを教員と一緒に実践的に学ぶクラブのような存在で、2014年度から様々な活動が進められています。左の写真は、青山家文書の近世絵図を調査する歴らぼ地図班の様子です。

古地図を使ってまちあるき

江戸時代の古地図は大きなものが多いため、その研究を進めるために、高精細な画像を作成することがしばしばあります。そうして作成した画像を社会に還元するために、撮影した古地図を用いたまちあるきアプリを研究メンバー達と作成しました。これまで、2014年度に「鳥取こちずぶらり」を、2016年度に「大阪こちずぶらり」を公開してきました。GPSを使って現在地を示しながら古地図のうえを歩くと、思いがけない発見があったりします。みなさんもぜひダウンロードして使ってみて下さい。右の図は、大阪こちずぶらり(アプリ)の表紙です。

○科学研究費助成事業基盤研究(B)(平成28年度~平成30年度)

日本における近代初期海図の集成と東アジア海域における西洋海図との相互関係

 

歴らぼWEBのホームページ

歴らぼの紹介

※アプリのリンク先

鳥取こちずぶらり

大阪こちずぶらり

 

2017年度より掲載