全学共通教育センター 津田 翔太郎先生へのインタビュー

文学部4生 Kさんが、全学共通教育センター 津田 翔太郎先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

 

 

Q. 読む本の種類について

専門書や小説、漫画を読みます。それぞれ、自身の考え方や研究(社会学や思想)と地続きだと感じています。

 

Q. 就職後に研究の道を選ばれた理由について

経済利益を追求したり、人に合わせながら一般企業で働くよりも、個人個人の心や社会のあり方を追求する方が楽しいかなと思い、人生一回だし、専門的に学びなおしたいと思ったからですね。

決断の決め手となるような本はありませんでしたが、当時は習慣的に社会評論の本を読んでいて、難しい思想に触れたときに、学問を突き詰めたいと思いましたね。それらの本には、自分の思想をゆっくりと形成していく形で影響を受けました。

 

Q. 学生におすすめの本について

・川端 康成著『古都

戦後、日本社会が発展していく中で、失われつつある美しい街並みや人々のつながりを丁寧に表現した小説です。ノスタルジックな気持ちになったときに、自分がどういった対象にどのような思いを馳せているのかを深く考えるにあたり、支えになってくれます。

 

・宮台 真司著『14歳からの社会学』

人間同士の絆など社会学の重要な話題を凝縮し、簡単な言葉で著者の独自の思想を反映しつつ書いているので、読み物として面白く、わかりやすいです。社会学を勉強してみたい方や現代社会の特徴を学びたい方におすすめです。

(初学者向けではないですが、大澤 真幸著『不可能性の時代』も社会学の面白さが詰まっているそうです。)

 

・雨瀬 シオリ著『ここは今から倫理です。』

倫理担当の教員が、倫理の思想を用いて問題を抱える生徒に向き合い、一緒に成長していく内容の漫画です。善悪を簡単に決めるのではなく、一個の物事を色々な角度から考え、色々な見方をする、そういった深みを、教員の思想や生徒の身近な体験から学ぶことができるのでおすすめです。

 

・浅野 いにお著『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』

東京の上空に突如現れた巨大UFOと人々の日常を描いた漫画です。

これまで、世界滅亡の危機を描く作品では、社会の在り方はあまり描かれることはなかったですが、本作は宇宙人の人権を認めるかなど、社会的な文脈が分厚く描かれています。僕らが考えないといけない社会問題を宇宙人という比喩を使って表している点が面白いです。また個人的に、有限性の中に人間の魅力が表れると思っているので、世界が終わるかもしれない状況で、登場人物たちが日常生活にどう意味を見出していくのかという描写には、「自分で上手に人生に意味づけをして頑張っていかないと」と思わされます。

 

 

【感想】

日常のあらゆるものを社会学や思想と結び付けて捉えている津田先生のお話は、作品に触れた時、よかったなど単純で浅い感想しか持てない私にとって、新鮮でした。社会学は、身近なものを題材にでき、そして日常に奥行きをもたらしてくれる学問のように思え、とても興味深かったです。また、本を何度も読み返すことや、読書中にメモをとること、感じたことを知人と共有し言語化することもあると話されていて、これらの行為が深く考えることにつながっているのかなと思い、真似してみたいと思いました。

 

(インタビュアー: 文学部4生 Kさん