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[藤棚ONLINE]全学共通教育センター・西浦太郎先生推薦「風の歌を聴け」

図書館報『藤棚ONLINE』
全学共通教育センター・西浦太郎先生より

風の歌を聴け(村上春樹、講談社、1979年)

 今回、ご紹介したいのは村上春樹さんのデビュー作「風の歌を聴け」です。私は普段、あまり小説を読まないのですが、この作品は、ある人に勧められて読み、とても印象に残っています。

 本書を読んだ後の私の感想は、「この人は化け物だな」というものでした。そして、この人が今後、表現し、生み出していく世界はどのようなものなのだろう、と感じずにはいられませんでした。(他の人にはあまり分かってもらえませんが・・・)。いずれにしても、彼の後の作品の萌芽が多く含まれた一冊なのかもしれません。

 あまりネタバレになると良くありませんが、小説は世界に対して無関心なトーンで進み、最後にある女性との出会いと、別れがあり、そしてDJの言葉があります。

 人の言葉にならない悲しみや気持ちを聴き、苦しむ人と共に居続けようとする姿勢について考えさせられる作品です。

 また、読んだ後に、本のタイトルについて考えてみるのも面白いかもしれません。

ライブラリサーティフィケイト1級取得予定者との面談を行いました

 

ライブラリサーティフィケイトでは、1級取得予定者に活動の振り返りをかねて、図書館長と面談をしていただきます。
といっても堅苦しいものではなく、活動の振り返りをフランクにお話をしていただくものです。

先日、1級取得予定者の文学部 4年生のIさんが面談を行いましたので感想をご紹介します。
楽しみながらお話ができたとのことです。
1級の取得を目指しておられる方は、ぜひ参考にしてください。

 

 

以下、Iさんからの感想です。

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教員インタビューの後すぐに面談が始まったというのもあり、非常に和やかな雰囲気で面談が始まりました。はじめは普段どのような本を読むのかという話をして、ミステリーが好きだという話になると、特に著者は誰が好きなのか、おすすめの本は何かという話で盛り上がりました。

1級の取得要項である100冊の読書記録では、どのような本を読んでいたのか、どのような頻度で読み進めていたのかという話もしました。私は頻度にかなりばらつきがあるのですが、社会人になっても読書習慣は続けてほしいという話もしていただきました。図書館企画については、企画の着眼点や私の得意分野を活かした点を館長先生から褒めていただきました。宣伝ポスターも多くの方に配っていただけたようで、非常に嬉しかったです。企画では応募者にもデザイン案を出してもらうと自由度が高く、より面白くなったかもしれないと反省点も話し合いました。

他には、活動を通して良かった点や悪かった点についても話し、今後のライブラリサーティフィケイトにおけるあり方について考えました。堅苦しい雰囲気は全くなく、楽しみながら様々なことを話し合うことができたと思います。

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ライブラリサーティフィケイトは4年間かけて一歩ずつ1級取得を目指して進めていくこともできますし、1年で1級の取得を目指すこともできるので、ご自身のペースで進めていくことができます。

頑張りは必ずみなさんの財産となりますし、図書館はみなさんの頑張りを全力で応援します。

ライブラリサーティフィケイトで第一歩を踏み出してみませんか?

 

[藤棚ONLINE]フロンティアサイエンス学部・赤松謙祐先生コラム「紙の新聞を読むという、ささやかで確かな習慣」

図書館報『藤棚ONLINE』
フロンティアサイエンス学部・赤松謙祐先生より

 近年、「学生はあまり紙の本を読まなくなった」と耳にすることが増えました。スマートフォンやタブレットが身近になり、必要な情報を素早く検索できる現在、その変化はごく自然な流れとも言えるでしょう。電子媒体は利便性が高く、学習や研究においても大きな役割を果たしています。一方で、紙媒体に触れる機会が以前より減っていることも、また事実のように感じられます。

 その影響と断定することはできませんが、学生のレポートや卒業論文を読んでいると、句読点の位置が少し分かりにくかったり、主語が省略されすぎて文意が一度ではつかみにくかったりする文章に出会うことがあります。いずれも致命的な欠点というほどではなく、少し整えるだけで読みやすくなる場合がほとんどです。ただ、「自分の書いた文章を、第三者がどう読むか」を意識する経験が、やや不足しているのかもしれないと感じることがあります。

 そこでおすすめしたいのが、「紙の新聞を読む」という習慣です。新聞記事は、日本語表現のプロである記者が執筆し、さらに校閲のプロが丁寧に確認を重ねています。限られた紙面の中で、事実を正確に、かつ誤解のないように伝えるため、無駄のない構成と明確な日本語が用いられています。言い換えれば、新聞は「正しい日本語の実例集」とも言える存在です。

 特に、新聞の一面記事は、国内外の重要な出来事を簡潔にまとめており、文章の骨格を学ぶのに適しています。毎日すべてを読む必要はありません。一面を中心に、10分程度目を通すだけでも十分です。これを継続することで、自然と「正しい文章のシャワー」を浴びることになります。新聞の記事内容は、新聞社によって傾向が異なりますので、1種類の新聞だけでなく幅広い種類の新聞を読めば、「物事に対する異なる見方、立ち位置」を学ぶことにもなります。

 実際に、筆者の研究室では、長年にわたり学生に新聞を読むことを勧めてきました。全員が同じように効果を実感するわけではありませんが、日々の習慣としてきちんと継続した学生ほど、文章の構成力や表現の明瞭さが目に見えて向上していきました。特別な作文訓練を課さなくても、正しく書かれた日本語に触れ続けるだけで、文章感覚は確実に磨かれていくようです。

 さらに新聞を読むことは、文章力だけでなく、社会への視野を広げることにもつながります。日本や世界が直面している課題、経済や科学技術の動向、文化や教育の話題などに日常的に触れることで、知識が点ではなく線として蓄積されていきます。これは、将来社会に出たときに求められる「社会人力」の基盤にもなるでしょう。

 読む際には、ぜひ「朗読」も試してみてください。声に出して読むことで、文章のリズムや構造がより明確に感じられますし、発声や滑舌の練習にもなります。人前で発表する機会が多い大学生活において、プレゼンテーション時の発話能力向上にも役立つはずです。

 このように、新聞を読むという行為は、特別な道具や多くの時間を必要とせず、文章力・語彙力・表現力を総合的に高めることができる、非常にコストパフォーマンスの高い方法です。図書館に並ぶ紙の新聞を、ぜひ一度手に取ってみてください。そこから始まる小さな習慣が、皆さんの「書く力」を静かに、しかし確実に伸ばしてくれるはずです。

*図書館1階 新聞コーナー

エントランス展示『”見せる”絵葉書から、”魅せる”絵葉書へ~紡績絵葉書のうつろい~』(経営学部 平野ゼミ実施)

 「近代化」を象徴する事象の一つに、紡績業の機械化があります。日本では1872年(明治5年)に明治政府による「富岡製糸場」の設立に続いて、1882年(明治15年)に渋沢栄一らが「大阪紡績会社(現・東洋紡)」を創業、1887年(明治20年)に「鐘淵紡績(現・カネボウ)」、1896年(明治29年)「郡是製絲株式會社(現・グンゼ) 」など、紡績企業が各地に次々に創業し、主要な産業にななりました。学生の皆さんもよく知っている企業が多いのではないでしょうか。

 今回のエントランス展示は、近代繊維産業を研究している経営学部の平野ゼミ(平野恭平 経営学部教授・ 現図書館長)の学生さんたちによる、紡績企業が発行した明治後期から大正期の絵葉書の展示 『”見せる”絵葉書から、”魅せる”絵葉書へ~紡績絵葉書のうつろい~』です。

 日本では、1900年(明治33年)に絵葉書の使用が認められ、 1904(明治37)年に発行された日露戦争の記念絵葉書をきっかけに、絵葉書がブームになり、名所旧跡、重大ニュース、ブロマイドなど、多様な絵葉書が発行されました。当時の人々の憧れや驚きを写した絵葉書は、現在、重要な歴史史料の一つになっています。

 そんな明治時代に、日本の重要産業であった紡績企業も、次々に自社の工場の絵はがきを発行しました。紡績企業が発行した絵葉書にも当時最先端の印刷技術が使われており、巨大な工場やそこで働く人々の様子が見て取れます。紡績企業の絵葉書は、どのような目的で作成され、どのように使用されたのでしょう。
 その秘密を確かめに、ご来館の際にはぜひお立ち寄りください。

※今回展示している資料は、経営学部・平野恭平教授が所蔵するものです。

KONANプレミア・プロジェクト「文学、あります」第3回「そんな嵐の中で、私は、いま、耳を澄ませたい:小林エリカさんにきく戦争・女性・表現」を開催

 2025年12月13日(土)に、小説家でアーティストの小林エリカさんを本学にお招きして、文芸イベント「そんな嵐の中で、私は、いま、耳を澄ませたい:小林エリカさんにきく戦争・女性・表現」を開催しました。

 小林エリカさんは、作家として『マダム・キュリーと朝食を』『トリニティ、トリニティ、トリニティ』『最後の挨拶 His Last Bow』といった優れた作品を次々と発表されているほか、インスタレーションやビデオ作品を創作される現代アーティストでもあり、また、漫画、絵本、翻訳、音楽朗読劇シリーズの脚本なども手がけるなど、きわめて多彩な活動をなさっています。
 今回は、第78回毎日出版文化賞に輝いた小説『女の子たち風船爆弾をつくる』を主にとりあげながら、文学だけに限らない小林さんの多様な表現世界をめぐってお話をうかがい、またご自身による小説の朗読もいただきました。

 『女の子たち風船爆弾をつくる』は、第2次大戦中、風船爆弾という秘密兵器をつくるために東京宝塚劇場へ集められた女学校の生徒たちの実話をもとにした作品です。小林さんは、歴史的事実の綿密な調査に基づいて、女性たち一人ひとりが体験したことを独特の文体で小説に描いています。
 公開インタビューでは、作品の中で特に印象的な「わたし」「わたしたち」という言葉の使い方に込められた意図や、小林さんが戦争の記憶とどのように出会い、それをどのように受け止めてこられたかなど、興味深いお話をたっぷりと語ってくださいました。参加者からも質問が出され、会場の方々は真摯な回答ぶりに熱心に聞き入っていました。

 また、インタビューの後ではサイン会が開かれました。小林さんが来場者お一人お一人と会話を楽しみながら丁寧に対応されている様子が印象的でした。
 来場者アンケートには、「本を読んだだけではわからなかったことが分かり、本当に有意義な時間でした」「とても丁寧に楽しくお話ししていただけて、あっという間に時間が過ぎていきました」「等身大のエリカさんのお話がきけてうれしかったです」「心ふるえる時間でした」といった感想が寄せられており、それぞれの方にとってとても充実したイベントとなったことが伝わってきます。(今回のイベントの様子は2026年1月10日までYouTubeで配信されています[動画はこちら]。)

 このイベントは、甲南大学と甲南中学・高校の教員有志からなるチーム「文学、あります」と甲南大学図書館職員スタッフの教職協働によるKONANプレミア・プロジェクトの一環として開催されるものです。毎年、文学の場で活躍している方をお招きして公開インタビューやトークイベントを開催することで、作家の生の声に触れ、学生や地域の方々とともに本格的な文学を楽しむ場を作り出すことを目的としています。
 「文学離れ」や「本離れ」が指摘される時代ですが、「文学、あります」では、読むべき作品をこの世に送り出している作家の方々を今後もお招きし、イベントを開催していく予定です。来年以降の展開にもご期待ください。

(文学部教授 西欣也)