[藤棚ONLINE]文学部・北川恵先生推薦『発達の扉』

図書館報『藤棚ONLINE』
文学部・北川恵先生推薦より

 夢をもって何かに挑戦しても、そんな簡単には出来ない。だからこそ、周囲に支えられて、出来たときの喜びは大きい。皆さんにもそういった経験があると思います。子どもの発達はそういうプロセスの連続と理解できます。

 『発達の扉(上)』は、子どもが身近な人との関わりのなかで、自らが主人公となって成長する様子が述べられています。発達の原動力は、子どもが「自分も~したい」「できるようになりたい」という願いをもつことです。「~したい、けれどもできない」という前向きな葛藤を大人に支え励まされ、「できるようになる」経験によって、次なる挑戦への「心のバネ」が育まれます。本書には、0歳から6歳の子どもたちの生き生きした写真がたくさん掲載されていて、いつしか読者も発達の主人公を生きる子どもの応援者の気持ちになることと思います。

 子どもに関心があっても、接する機会が限られている人が多いと思います。本書で発達の原点に触れていただくと、人は生涯にわたって関係性のなかで自分の力を発揮できるので、今を頑張る自分へのヒントになることもあるかもしれません。

 障害をもつ子どもの発達の歩みに関心がある人は『発達の扉(下)』もご覧ください。

北川恵(文学部)『アタッチメントを学ぼう : エピソードでつなぐ関係性の理解と支援』

■『アタッチメントを学ぼう : エピソードでつなぐ関係性の理解と支援
日本評論社 , 2025.4
■ 請求記号 143//2143
■ 配架場所 図書館1階・教員著作コーナー
■ 編著者 北川恵(文学部)著

<自著紹介>
自分だけでは対処できない危機や怖れに際して、信頼できる他者との関係を通して安全と安心を得ようとする「アタッチメント」は基本的欲求です。「助けて」とまっすぐに言いにくいときでも、気にかけて寄り添ってくれる人がいると支えられます。生涯にわたるアタッチメントの研究知見をわかりやすく伝えるとともに、その視点を支援の現場や日常生活に応用するために、多くのエピソードを添えて解説しています。

エントランス展示「紙幣の肖像」

 昨年7月3日、新紙幣が発効されました。新紙幣の肖像に選ばれたのは日本初の国立銀行を設立した「近代資本主義の父」と言われる「渋沢栄一」を始め、「津田梅子」「北里柴三郎」の3名。当初は違和感のあったキラキラの新紙幣も、見慣れてきたのではないかと思います。

 さて、そんな新紙幣発行を記念して、エントランス展示を「紙幣の肖像」と題して更新しました。 今回の展示では、紙幣の肖像画に採用された「人物」に焦点を当てて紹介しています。 明治以降、日本で発行されてきた紙幣にはどんな人物の肖像画が使われてきたのでしょうか。

 明治時代の神功皇后や菅原道真から令和の新紙幣の人物まで、紙幣に採用された人物の紹介と採用された経緯、執筆した本などを展示しています。

  経済史に興味がある方も、経済史には興味がなくてもお金には興味がある方も、 図書館にお寄りの際にはぜひエントランス展示もご覧ください!

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戸邉優美(文学部)『特別展 : はたらく装いのフォークロア』

■『特別展 : はたらく装いのフォークロア
埼玉県立歴史と民俗の博物館 , 2025.3
■ 請求記号 383.1//2133
■ 配架場所 図書館1階・教員著作コーナー
■ 編著者 埼玉県立歴史と民俗の博物館編集(戸邉優美(文学部))

<自著紹介>
はたらくことは、生きること。四方を海に囲まれ、豊かな山林や肥沃な大地に抱かれた日本では、人々は様々な環境で農耕、狩猟、漁撈などに励んできました。その際に身に着けた衣服や用具からは、はたらくための実用的な工夫や美意識を見ることができます。
この本は、令和7年に埼玉県立歴史と民俗の博物館で開催した特別展「はたらく装いのフォークロア」の展示図録で、「田畑×仕事着」「山×仕事着」「海×仕事着」「仕事×晴れ着」の4つの切り口から、国指定重要有形民俗文化財を中心とした実際の資料をとおして、各地に伝えられてきたはたらく装いについて紹介しています。仕事着のことはもちろん、たくさんの民俗資料を博物館が収集保管することの意義についても考えてもらえると嬉しいです。

語学学習室展示のお知らせ

語学学習室では、現在大阪の夢洲で開催されている大阪・関西万博に併せた本を展示しています。参加国の文化や料理、過去の万博についてなど、読めばより一層万博を楽しめるはず!
図書館に来られた際にはぜひ語学学習室へお立ち寄りください。
ミャクミャクもお待ちしています!!

田野大輔(文学部)『ファシズムの教室 : なぜ集団は暴走するのか』

■『ファシズムの教室 : なぜ集団は暴走するのか
朝日新聞出版 , 2025.4
■ ISBN  9784022621122

■ 請求記号 SB311/TA
■ 配架場所 図書館1階・教員著作コーナー
■ 編著者 田野大輔(文学部)著

<自著紹介>
ファシズムは過去の歴史、特殊な国の出来事ではなく、今日でもヘイトスピーチやいじめ、ネットリンチなどといった形で生きています。そうしたファシズムの仕組みを学ぶために、甲南大学の授業の一環として2010年から2019年まで10年にわたって実施したのが「ファシズムの体験学習」で、本書はこの実習の内容をまとめたものです。約250人の参加者はナチス式の敬礼や行進を行い、学内のリア充カップルを糾弾するよう指示されますが、しだいに集団で行動することへの誇りや一体感を覚え、上からの指示で攻撃的な行動をとることに躊躇がなくなり、周囲に合わせて指示に従うことを正しいことと考えるようになります。集団が暴走して攻撃性を強めていくファシズムの危険性を、本書から学んでいただければ幸いです。