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【第12回 甲南大学書評対決】 松下幸之助著 『道をひらく』

4月21日(火)に開催された第12回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

体育会応援局チーム 4年  谷口 耀さんからのおすすめ本です。

 

 

書名 : 道をひらく
著者 : 松下幸之助
出版社:PHP研究所
出版年:1968年

 

以下、谷口さんからの書評です。

 

一代で松下グループを築き上げ、「経営の神様」称された松下幸之助の著書です。本書は1968年に初版が刊行され、いわば古典と呼ばれてもおかしくないが、その内容は今日においてもまったく色あせていません。なぜなら、著者が時代や環境に左右されない普遍的な真理を洞察し、それを分かりやすい言葉で示しているからです。

飾り気のなう簡潔な文体には、礼節を重んじ、常に謙虚であろうとした著者の人柄がにじみ出ており、自然と読み手を引き込む力があります。また見開きごとに内容が完結する構成のため、読書習慣がない人でも無理なく読み進められる点も魅力です。

何かに迷ったとき、悩みを抱えたときに、ふと手に取りたくなる一冊です。世代や立場を問わず、多くの人に読んでほしいと感じています。

 

 

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【第12回 甲南大学書評対決】 東野圭吾著 『容疑者Xの献身』

4月21日(火)に開催された第12回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

体育会応援局チーム 2年  北田 伊織さんからのおすすめ本です。

 

 

書名 : 容疑者Xの献身
著者 : 東野圭吾
出版社:文芸春秋
出版年:2005年

 

以下、北田さんからの書評です。

 

『容疑者Xの献身』は、静かな愛情と緻密な頭脳戦が織りなす感動のミステリーです。物語は、花岡靖子が思いがけず元夫を殺してしまう事件から始まります。隣人であり数学者の石神哲哉は、ひそかに想いを寄せる靖子を守るため、驚くほど巧妙な計画を立てます。

一方、事件の捜査に協力するのは天才物理学者・湯川学。石神とは学生時代の友人であり、互いの才能を認め合う存在です。やがて湯川は、どこか不自然な点に気づき、真相へと近づいていきます。

本作の魅力は、難解なトリックだけでなく、「誰かを想う気持ち」の切なさにあります。理屈では割り切れない深い愛情と、その選択の重みが心に残る一冊。読み終えたあと、静かな余韻が長く続く作品なのでぜひ一度手にとって読んでみてほしいです。

 

 

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【第12回 甲南大学書評対決】 ロバート・S・ワインバーグ『テニスのメンタルトレーニング』

4月21日(火)に開催された第12回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

体育会応援局チーム 3年  丸尾 篤矢さんからのおすすめ本です。

 

 

書名 : テニスのメンタルトレーニング
著者 : ロバート・S・ワインバーグ
出版社:大修館書店
出版年:1992年

 

以下、丸尾さんからの書評です。

 

ロバート・S・ワインバーグ著『テニスのメンタルトレーニング』は、試合で実力を最大限に発揮するための「心の鍛え方」を体系的に解説した名著です。テニスは技術や体力だけでなく、プレッシャー下での心理的な闘いが勝敗を左右する競技であるとし、集中力・自信・やる気の高め方、不安やあがりへの対処法など、実戦的なテクニックを具体的に提示します。さらに、ミス後に素早く平常心へ戻すリセット法や、成功体験を脳に刻み込むイメージトレーニングなど、すぐに実践できる心理スキルも充実。

シングルスでの自己責任への向き合い方や、ダブルスにおける信頼関係の築き方など形式別7のアプローチにも触れ、初心者からトップ選手、指導者まで活用できる包括的ガイドとなっています。

理論だけでなく具体例も豊富で、日々の練習から大会本番まで一貫して活かせる内容です。まさに”メンタルアドバンテージ”を身につけ、安定して勝ち続ける力を養うための必読書です。

 

 

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【第12回 甲南大学書評対決】 むのたけじ著 『詞集 たいまつⅠ』

4月21日(火)に開催された第12回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

文学部教授 西 欣也 先生からのおすすめ本です。

 

 

書名 : 詞集 たいまつⅠ
著者 : むのたけじ
出版社: 評論社
出版年:1976年

 

以下、西 先生からの書評です。

 

はっきり言って、最近書かれた哲学・思想の入門書を30冊読むよりも、この3行読んで噛み締める方が、思想というものの本質をよく掴むことができます。そのくらい、むのたけじさんという人はスゴイ。

そこらの思想書よりも平明な日本語で書かれているのに、おそろしく力強く、人間として優しさのこもった確かな思想。「切れば血の出る」思想とは、まさにこのようなものです。アリストテレスやニーチェばかりが哲学ではありません。

しみじみ感じるのは、この本が読まれていた50年前と比べて、私たちが言葉を通して世界に向かい合う力はひどく低下したなあということ。甲南大学の皆さんも、今とは真逆の発想に満ちたこの書物の世界から、時代の変化を感じ取ってみてください。本書を毎日パラパラめくっていけば、思っても見なかったような仕方で視野が広がり、考える欲求が刺激されて、生きることの意味が豊かに迫ってくるはずです!

 

 

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【第12回 甲南大学書評対決】 寮美千子編 『名前で呼ばれたこともなかったから―奈良少年刑務所詩集―』

4月21日(火)に開催された第12回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

文学部教授 西 欣也 先生からのおすすめ本です。

 

 

書名 : 名前で呼ばれたこともなかったから―奈良少年刑務所詩集―
著者 : 寮美千子
出版社: 新潮文庫
出版年:2024年

 

以下、西 先生からの書評です。

 

「詩」というと、恋心をウジウジと書き連ねたものという印象があるかもしれませんが、人間の思いの結晶した言葉が詩です。なので、心に深く強い思いがあってそれを適切に表現すれば自然と良い詩が生まれます。

この本の中の詩はその見本。奈良少年刑務所での「社会性涵養プログラム」から生まれた詩集が話題となり、その続編が本書です。想像を絶する暴力や孤独の中で育った少年たちが、おそらく人生で初めて他人にまっすぐ気持ちを伝えようとした言葉は奇跡のような魅力をもっています。きっとこの少年たちは普通の人々よりもはるかにピュアで繊細な部分を持っていて、だからこそ虐待や親の不和に耐えることができずに取り返しのつかない問題を起こしてしまったのではないでしょうか。罪を犯したのは「自己責任」として矯正施設に閉じ込めている私たちの社会のあり方について反省させられます。

この少年たちの持っているようなみずみずしい感性を活かすことのできる世の中が早く来ないかなあ。

 

 

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【第12回 甲南大学書評対決】 夏目漱石著 『坑夫』

4月21日(火)に開催された第12回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

文学部教授 西 欣也 先生からのおすすめ本です。

 

 

書名 : 坑夫
著者 : 夏目漱石
出版社: 岩波文庫 ほか
出版年:2014年

 

以下、西 先生からの書評です。

 

『こころ』や『坊ちゃん』は知っていても『坑夫』は知らないでしょ?夏目漱石の作品の中では問題作とされていて、岩波文庫でも長いあいだ絶版が続いていました。村上春樹の小説『海辺のカフカ』の中で、「不完全であるが故に人間の心を強く引きつける」小説とコメントされたこともあり、再び注目を集めています。

問題作と言われたのは、いわゆる「人権上問題のあるとされる」表現が用いられているため。もちろん、漱石自身が差別意識を持っているわけではありません。家をとび出した温室育ちの主人公が、社会の底辺に生きる人々のリアルは状況に出会って感じた衝撃がストレートに書かれているのです。一方で、物語の推進力や人物造形など深みがある点は、さすが漱石。

アンダークラス層が増え続ける格差の時代、文学を通じて社会に向き合ってみたい人には特にオススメの一冊です。

 

 

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