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浅倉秋成著 『六人の嘘つきな大学生』

 

 

文学部 3年生 岡田 優花さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : 六人の嘘つきな大学生
著者 : 浅倉秋成著
出版社:KADOKAWA
出版年:2021年

皆さんは誰かに嘘をついたことがあるだろうか?友達を驚かすための嘘や自分をよく見せようとする嘘。私たちはたくさんの嘘に囲まれながら生活をしている。大学3年生になって就職活動を始めた今、自己分析を行うことで自分の人生を振り返り、嫌なことも思い出してしまう。そんな時に出会ったのがこの本だった。

本書は、多くの就活生が憧れを抱くエンターテインメント企業スピラリンクスの最終選考まで勝ち残った6人の物語だ。1か月後のグループディスカッションへの準備を続け、全員で内定を取ろうと切磋琢磨する。だが選考方法が急遽変更され、6人で話し合い、一番内定にふさわしい者を選ぶよう連絡がきた。

グループディスカッション当日、密室の会議室に集まった6人の前に現れたのは謎の封筒。この封筒によって6人の過去と嘘が暴かれていく。信じていた仲間の本当の姿、過去の過ち。様々なことが明らかになっていく中、犯人が自白し、1人の内定者が決定した。

これで物語は終わりかと思われたが、舞台はその8年後に至る。犯人の死によってこの一連の出来事の真相が明らかになる。真犯人はいったい誰なのか、なぜあのようなことが起こったのか。どんどん嘘が明らかになっていく。

とにかく伏線回収がすごい。最後まで展開が予想できない。続きが気になり読む手が止まらなくなる。

就職活動中は、感情が不安定になり混乱を起こしやすい。読み進めていく中で、もし私がこの場にいたらどうしていただろう、と考える場面が多々あった。自分を偽ることで、相手に好印象を持ってもらえるかもしれない。しかしそれは自分のとある一部分にすぎず、本当の自分は隠したままだ。

就職活動を進めていくうえで、自分の過去の失敗より成功に目を向けがちだが、挫折があったからこそ今がある、自分の短所だって見方を変えれば長所になる。こう考えることでより自分と深く向き合うことができる。

嘘と向き合いつつ、自分が納得のいく道へと進んでいきたいと思う。

 

[藤棚ONLINE]マネジメント創造学部・榎木美樹先生推薦『世界は経営でできている』ほか

図書館報『藤棚ONLINE』
マネジメント創造学部・榎木美樹先生より 

 気づけばもう12月。今年も残すところあと少しである。2024年度時事トピックの経済ニュースとしては以下が挙がった(NHK「大学生とつくる就活応援ニュースゼミ」https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/jiji/jiji153/)。

 「20年ぶりの新紙幣発行」、「30年ぶりの郵便料金値上げ」、「34年ぶりの円安水準」、「日経平均株価:バブル期の史上最高値を更新」、「株価:過去最大の値下がりーブラックマンデー越え」、「世界GDPランキングで日本はドイツに抜かれて第4位」というように長年の低成長やデフレ影響を受けた「数十年ぶりの」「史上最高」「過去最大の」といった文言が目につく。

 現代の私たちは、通貨の価値が国際的に極端に変動する社会を生きている。というか、資本主義が台頭し、不換紙幣制度が導入され、国際化やグローバル化によってボーダレスにヒトやモノ、情報の移動がデフォルト化したこの社会を生きざるを得ない。だから、「銀行に預けるのではなく、お金を増やすには、目的や状況に応じて、貯金や投資、NISAなどの制度を活用することが重要だ」言説が闊歩し、小学校では2020年から金融教育が実施されている。成人年齢の引き下げや消費者トラブルへの対処などいずれも個人の知識・問題・責任に帰せられるかのような状況が背景にある。紙束が価値に変換され、手段であるはずの金銭に過度に振り回されるようになっているように感じられる。「コスパ」「タイパ」「高額報酬」の文言に心が動く私たちは、すでに資本主義と不換紙幣制度、そして自己責任論にからめとられていると言えるかもしれない。

 このような時代だからこそ、社会的生き物としての人間関係、持続可能な地域社会と人間の営み、そのような中で実践される本来の経営を、本質的なところから捉え直すことが重要だろう。そのための気づきのインスピレーションを得られる書籍として以下の3冊を挙げたい。3冊に共通するのは、「語られないものを語るには言葉が必要だ」「人間は社会的な動物で、他者と生きる存在だ」「人間には理性=知恵があり、現在だけでなく過去と未来の概念も持つ」というメッセージである。これら3冊が起こすシナジーは、手触りの温かい資本主義を生きることは可能だと気づくことである。気づくためにはモノやコトとの出会いが必要で、出会うために私たちは「勉強」しなくてはならない。その第1歩は読書である、と私は強く思う。

『世界は経営でできている』(岩尾俊兵、講談社現代新書、2024年)
『葬儀会社が農業を始めたら、サステナブルな新しいビジネスモデルができた』(戸波亮、幻冬舎、2023年)
『世界は贈与でできている:資本主義の「すきま」を埋める倫理学 』(近内悠太、NewsPicksパブリッシング、2020年)

【第9回 甲南大学書評対決】 寺地はるな著 『川のほとりに立つ者は』

10月22日(火)に開催された第9回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

グローバル教養学環 STAGEチーム 1年  岡山 奈津希さんからのおすすめ本です。

 

 

書名 :川のほとりに立つ者は 
著者 : 寺地はるな
出版社: 双葉社
出版年:2022年

「川のほとりに立つ者は、」の続きが気になる、そんなプレゼンをしてくれました。

 

以下、岡山さんからの書評です。

 

「あなたはあなたの大切な人のことをどれだけ知っていますか?」と問われるとあなたはどのように答えますか?もしかしたら何もかも知っていると言い切る人もいるかもしれません。また、このような言葉もあります。「川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知りえない」この言葉の意味をあなたはわかりますか?

この本にはこれらの問いの答えが隠されています。この本は私たちがまさしく経験したコロナ禍により、人と人の繋がりがわかりにくくなっている中で、人間関係の難しさを描いたお話です。この小説にはミステリー要素もあり、一体「当たり前」とは何だろうと考えさせられるような作品です。

この本を読んだあなたは、明日からきっとあなたと関わるたくさんの人にやさしくなれる、と私は思います。ぜひこの本をたくさんの人に読んでいただきたいです。

 

 

第9回 甲南大学書評対決、生協書籍部で実施中!

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【第9回 甲南大学書評対決】 伊岡瞬著 『代償』

10月22日(火)に開催された第9回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

グローバル教養学環 STAGEチーム 1年  稲垣 秀亮さんからのおすすめ本です。

 

 

書名 : 代償
著者 : 伊岡瞬
出版社:角川書店
出版年:2016年

自身のエピソードを織り交ぜながらプレゼンしてくれました。

 

以下、稲垣さんからの書評です。

 

今回僕が紹介する本は伊岡瞬さんが書かれた『代償』です。

会いたくもないような人はいますか?主人公の圭介にとってそれは、達也、という同級生でした。
まず小学4年生だった圭介は両親を火事で亡くし、同級生でもある親戚の達也家に引き取られます。圭介は少しずつ達也の本性を知っていきます。生き物を道具のように扱い痛めつける、もちろんそれは圭介もです。そんな地獄のような日々を圭介は過ごしますが、数年後、達也から逃げ弁護士になります。

弁護士の仕事をしていたある日、一通の手紙が届きます。
「私は無実の罪を着せられました、どうか助けてください  親友のたっちゃんより」
圭介は両親が亡くなった、あの時に現場にいた達也から何か聞き出せるかもしれない、そう思い達也の元へと向かいます。

優しいけど不器用な圭介と人を遊び道具のように扱う達也。圭介は何を代償に何を得るのでしょうか。そんな復讐劇がこの『代償』には描かれています。ぜひ読んでみてください。

 

第9回 甲南大学書評対決、生協書籍部で実施中!

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【第9回 甲南大学書評対決】 本田健著 『20代にしておきたい17のこと』

10月22日(火)に開催された第9回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

グローバル教養学環 STAGEチーム 1年  玉岡 穂ノ佳さんからのおすすめ本です。

 

 

書名 :20代にしておきたい17のこと
著者 : 本田健
出版社: 大和書房
出版年:2010年

著書の本田健さんからの応援を力に、元気いっぱいに紹介してくれました。

 

以下、玉岡さんからの書評です。

 

”人生の90%は20歳で決まる”

20代はお金持ちになりたい、とか海外旅行に行きたいなどの感受性豊かであり、多くのことを学べる期間です。ですが、多くの人が、ただ深く考えず働いただけであり、大切なことが分からない20代を過ごし、その後苦労しているそうです。

この本は、著者の本田健さんが、自分の20代の頃を振り返り、20代で知っておくべき内容が詰まっています。私は、中学受験や大学受験といった、周りに言われた道ぐらいしか見えていませんでした。ですが、この本を読み、今起きている嫌なことや辛いこと、無駄だと思うことは30代で回収される伏線だと思うことができました。

自己成長や人生の方向性模索している人、将来に対する不安や迷いを抱えている人、自分自身のあり方や方向性を考えている人に読んでいただきたいです。

 

 

第9回 甲南大学書評対決、生協書籍部で実施中!

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【第9回 甲南大学書評対決】 高橋則夫著 『刑の重さは何で決まるのか』

10月22日(火)に開催された第9回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

法学部教授 竹内 健互 先生からのおすすめ本です。

 

 

書名 : 刑の重さは何で決まるのか
著者 : 高橋則夫
出版社:筑摩書房
出版年:2024年

竹内先生3冊目のおすすめ本です。先生のご専門分野の図書を紹介してくださいました。

 

以下、先生の書評です。

 

「刑が軽い」。裁判実務と日常感覚の「ズレ」はどうして生じるのでしょうか。世界三大発明と言えば、火薬・羅針盤・活版印刷ですが、「ルール」も人類にとって偉大な発明の一つです。

本書では、刑法学の世界、処遇論の世界、量刑論の世界、刑法学の新しい世界という5つの寄港先立ち寄りながら、「犯罪とは何か」、「なぜ刑が科されるのか」という刑法(ルール)に投げかけられる究極の問いに向けて航路を進めていきます。

本書で、その「答え」は時代や社会の価値観などに伴って「変更可能性」を免れないものであるおとが示されていrます。「人間とは何か」という一筋縄ではいかない難問(アポリア)も背後に待ち受けています。だからこそ、「考えるのが面倒だ」と思うかもしれません。しかし、刑法は「他人ゴト」ではないのです。唯一絶対の「答え」もありません。でも、そこにこそ「刑法」の奥深さと醍醐味を感じてもらいたいと思います。

 

 

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