【第12回 甲南大学書評対決】 夏目漱石著 『坑夫』

4月21日(火)に開催された第12回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

文学部教授 西 欣也 先生からのおすすめ本です。

 

 

書名 : 坑夫
著者 : 夏目漱石
出版社: 岩波文庫 ほか
出版年:2014年

 

以下、西 先生からの書評です。

 

『こころ』や『坊ちゃん』は知っていても『坑夫』は知らないでしょ?夏目漱石の作品の中では問題作とされていて、岩波文庫でも長いあいだ絶版が続いていました。村上春樹の小説『海辺のカフカ』の中で、「不完全であるが故に人間の心を強く引きつける」小説とコメントされたこともあり、再び注目を集めています。

問題作と言われたのは、いわゆる「人権上問題のあるとされる」表現が用いられているため。もちろん、漱石自身が差別意識を持っているわけではありません。家をとび出した温室育ちの主人公が、社会の底辺に生きる人々のリアルは状況に出会って感じた衝撃がストレートに書かれているのです。一方で、物語の推進力や人物造形など深みがある点は、さすが漱石。

アンダークラス層が増え続ける格差の時代、文学を通じて社会に向き合ってみたい人には特にオススメの一冊です。

 

 

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