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KONANプレミア・プロジェクト「文学、あります」第3回「そんな嵐の中で、私は、いま、耳を澄ませたい:小林エリカさんにきく戦争・女性・表現」を開催

 2025年12月13日(土)に、小説家でアーティストの小林エリカさんを本学にお招きして、文芸イベント「そんな嵐の中で、私は、いま、耳を澄ませたい:小林エリカさんにきく戦争・女性・表現」を開催しました。

 小林エリカさんは、作家として『マダム・キュリーと朝食を』『トリニティ、トリニティ、トリニティ』『最後の挨拶 His Last Bow』といった優れた作品を次々と発表されているほか、インスタレーションやビデオ作品を創作される現代アーティストでもあり、また、漫画、絵本、翻訳、音楽朗読劇シリーズの脚本なども手がけるなど、きわめて多彩な活動をなさっています。
 今回は、第78回毎日出版文化賞に輝いた小説『女の子たち風船爆弾をつくる』を主にとりあげながら、文学だけに限らない小林さんの多様な表現世界をめぐってお話をうかがい、またご自身による小説の朗読もいただきました。

 『女の子たち風船爆弾をつくる』は、第2次大戦中、風船爆弾という秘密兵器をつくるために東京宝塚劇場へ集められた女学校の生徒たちの実話をもとにした作品です。小林さんは、歴史的事実の綿密な調査に基づいて、女性たち一人ひとりが体験したことを独特の文体で小説に描いています。
 公開インタビューでは、作品の中で特に印象的な「わたし」「わたしたち」という言葉の使い方に込められた意図や、小林さんが戦争の記憶とどのように出会い、それをどのように受け止めてこられたかなど、興味深いお話をたっぷりと語ってくださいました。参加者からも質問が出され、会場の方々は真摯な回答ぶりに熱心に聞き入っていました。

 また、インタビューの後ではサイン会が開かれました。小林さんが来場者お一人お一人と会話を楽しみながら丁寧に対応されている様子が印象的でした。
 来場者アンケートには、「本を読んだだけではわからなかったことが分かり、本当に有意義な時間でした」「とても丁寧に楽しくお話ししていただけて、あっという間に時間が過ぎていきました」「等身大のエリカさんのお話がきけてうれしかったです」「心ふるえる時間でした」といった感想が寄せられており、それぞれの方にとってとても充実したイベントとなったことが伝わってきます。(今回のイベントの様子は2026年1月10日までYouTubeで配信されています[動画はこちら]。)

 このイベントは、甲南大学と甲南中学・高校の教員有志からなるチーム「文学、あります」と甲南大学図書館職員スタッフの教職協働によるKONANプレミア・プロジェクトの一環として開催されるものです。毎年、文学の場で活躍している方をお招きして公開インタビューやトークイベントを開催することで、作家の生の声に触れ、学生や地域の方々とともに本格的な文学を楽しむ場を作り出すことを目的としています。
 「文学離れ」や「本離れ」が指摘される時代ですが、「文学、あります」では、読むべき作品をこの世に送り出している作家の方々を今後もお招きし、イベントを開催していく予定です。来年以降の展開にもご期待ください。

(文学部教授 西欣也)

甲南大学デジタルアーカイブに九鬼周造文庫の資料を追加し、データ修正を行いました

甲南大学図書館の九鬼周造文庫で保管されている哲学者・九鬼周造博士の原稿・ノートのうち、未公開となっていた以下の資料を甲南大学デジタルアーカイブから公開しました。
また、公開中の資料について、いくつかの修正を行いました。

【追加資料】

L00404
草稿・原稿類 / 『Propos sur le temps』に関するもの
L’ EXPRESSION DE L’ INFINI DANS L’ ART JAPONAIS

L00406
草稿・原稿類/『偶然性の問題』に関するもの
「偶然性」原稿  (①偶然性論文表紙, ②音韻の偶然性 [原稿], ③[確率論に関する研究メモ])
※同ファイルに④偶然性論文表紙 [論題が確率論に訂正されたもの], ⑤[「偶然性」の論文校正部分]が含まれるが未撮影。先行して①~③のみ公開

L00405
ノート / 研究ノート
[Phänomenologie, Ontologie. etc.]

【修正箇所】

「草稿・原稿類 / タイプ原稿」→「草稿・原稿類 / 『Propos sur le temps』に関するもの」にカテゴリー名称を変更

L00397
PROPOS Sur le TEMPS : Deux communications faites à Pontigny pendant la Décade 8-18 Août 1928
最終ページ(22枚目)の追加

L00301
草稿・原稿類/『人間と実存』に関するもの
驚きの情と偶然性 : 京都哲学会公開講演会 昭和13年11月
1~68枚目を追加公開

L00386
草稿・原稿類/『文藝論』に関するもの
日本詩の押韻 [1]
標題紙ページの追加

L00407
草稿・原稿類/『文藝論』に関するもの
文学の時間性
L00341の「文学の時間性 (奈良女高師での講演)」 から分割登録

L00322
草稿・原稿類/『偶然性の問題』に関するもの
偶然性Ⅲ [新聞切り抜き+研究メモ1枚]
新聞記事を2件(うち1件は1枚目の新聞記事の裏面)追加

上記以外に、一部の資料タイトルを原本の情報に基づいて修正しました。

なお、今回の修正の際に、以下のコンテンツの順序が誤っていることが発覚いたしました。
 草稿・原稿類/『「いき」の構造』に関するもの
 「いき」に就て 2
本資料は、 L00285, L00286 (M02) として公開している『「いき」の構造』の原稿の部分です。
しかしながら、デジタルアーカイブのデータ修正には相当の時間がかかる見込みであるため、当面の間、現状のままでの公開を継続いたします。
修正が完了次第改めて告知いたします。ご迷惑をおかけいたしまして誠に申し訳ございません。

【「そんな嵐の中で、私は、 いま、耳を澄ませたい」 小林エリカさんに聞く戦争・女性・表現】事前授業を行いました。

11月28日(金)に、12月13(土)に開催される 【「そんな嵐の中で、私は、 いま、耳を澄ませたい」 小林エリカさんに聞く戦争・女性・表現】の事前授業を行いました。

今年は文学部の西 欣也 先生に事前授業をご担当いただき、参加者は先生からの紹介で参加してくださった方、飛び込みで参加してくださった方、遠方からこのために来られたという方など、このような機会ならではの幅広い方々にお集まりいただきました。

事前授業は第78回毎日出版文化賞を受賞された 『女の子たち風船爆弾をつくる』 を共通テキストとして意見や感想の交換を行います。なぜ小林エリカさんをお呼びしようと思ったのかと根本的な質問から、 思わず先生も関心されるような『女の子たち風船爆弾をつくる』 の考察についてまで、まだまだ何時間でも話せるのではないかと思ってしまうほどのたくさんの意見が飛び交いました。
本イベントに向けてとても有意義な時間になったことと思います。


本イベントはまだまだお申込み可能ですので、ご参加のほどお待ちしています!
参加申込はこちらから


佐久間修, 橋本正博編 ; 岡部雅人 [ほか]著 『刑法の時間』

 

 

フロンティアサイエンス学部 4年生 島村 大地さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : 刑法の時間
著者 : 佐久間修, 橋本正博編 ; 岡部雅人 [ほか] 著
出版社:有斐閣
出版年:2021年

皆さんは、「刑法」というのにはどのような印象を持つでしょうか。例えば死刑や禁固刑などのワードからこわいものであったり、そもそも法律の一種ということから堅苦しいものだと感じるかもしれません。特に条文を開くと過失傷害や業務上過失致死傷など一見難しい言葉が何個もみられ、それだけみても理解が滞ってしまうかと思います。そういったときに、このような法律の用語がどのような意味なのか、またどのようなところで使われるのかなどを学べるのがこの『刑法の時間』という本です。

この本では、総論と各論という二部構成で分かれています。総論ではそもそも刑法とはなにかであったり、法律のなかで使われる過失と故意の違いであったりなどの言葉をかいつまんで解説しています。一方、各論では「窃盗罪とは」であったり、「詐欺罪と窃盗罪ってどう違うのか」であったりとそれぞれの罪状に関して論じています。実際に刑法を学ぶ際も同じように総論と各論というように分かれて学んでいくので、司法書士などの刑法を含む資格試験の最初の取っ掛かりにも最適だと思いました。

この本の特徴としては主人公たちが刑法のゼミに入りながら、それぞれの言葉や罪について会話形式で進んでいくのが大きな特徴です。そのなかで、様々なシチュエーションを交えて刑法の条文とそれに対応する解説を複合的に例示しながら理解していくような本となっています。例えば、SNSによる発言にたいして、どのような発言をすると侮辱罪や名誉棄損罪になるか、また、それらに該当せずとも不法行為に当たる可能性があるなどの具体例もここで示しています。そのため、読者からしても非常に理解しやすい構成になっています。

最後に、刑法など主に法律を学ぶ法学部というのは世間一般的には文系の学問として知られており、理系からはなかなか授業の機会が少ないと思われますが、そんな中でも、今回この刑法の本を読むことによって、「他の法律ではどうなのだろう」であったり、「この条文と別の条文ではどのような違いがあるのか」といった様々な場面に応用ができるような本だと思うため、文系理系問わず読んでみてほしいと感じました。是非判例などもみながらこの本で得た知識を活かしてほしいと思います。

富樫公一(文学部)『分断の中の治療者 : 当事者性と倫理的転回』

■『分断の中の治療者 : 当事者性と倫理的転回
岩崎学術出版社 , 2025.10
■ ISBN  9784753312641

■ 請求記号 146.1//2456
■ 配架場所 図書館1階・教員著作コーナー
■ 編著者 富樫公一(文学部)著

<自著紹介>
本書は、『当事者としての治療者』(2021)、『社会の中の治療者』(2023)に続く、精神分析の倫理的転回シリーズ三作目です。倫理的転回は、精神分析や臨床心理の臨床家が、専門家である前に人として患者やクライエントにどう応じるのかを問います。臨床家が出会う彼らは、世界の苦悩を背負って現れます。本書では、臨床家はなぜ彼らから目を離せないのか、なぜ彼らの訴えに耳を傾けようとするのか、臨床家を臨床家たらしめる原点を探究します。

山本雅博(理工学部)『CV波を正しく解釈する電気化学測定入門』

■『CV波を正しく解釈する電気化学測定入門
裳華房 , 2025.10
■ ISBN  9784785335335

■ 請求記号 431.7//2039
■ 配架場所 図書館1階・教員著作コーナー
■ 編著者 山本雅博(理工学部)[ほか]著

<自著紹介>
電気化学測定で得られる結果の解釈は実はそれほど容易なものではありません。本書では,CV(サイクリックボルタンメトリー:電位を一定の速度で変えて電流を測定する実験)の解釈法について詳しく解説し,それらをシミュレートするためのソースコードを示しました。多くのテキストに共通する「電気化学関係者の常識」の誤りを指摘し,正しい記述に改めたことも本書の特徴の一つです。