4月21日(火)に開催された第12回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。
文学部教授 西 欣也 先生からのおすすめ本です。

書名 : 名前で呼ばれたこともなかったから―奈良少年刑務所詩集―
著者 : 寮美千子
出版社: 新潮文庫
出版年:2024年
以下、西 先生からの書評です。
「詩」というと、恋心をウジウジと書き連ねたものという印象があるかもしれませんが、人間の思いの結晶した言葉が詩です。なので、心に深く強い思いがあってそれを適切に表現すれば自然と良い詩が生まれます。
この本の中の詩はその見本。奈良少年刑務所での「社会性涵養プログラム」から生まれた詩集が話題となり、その続編が本書です。想像を絶する暴力や孤独の中で育った少年たちが、おそらく人生で初めて他人にまっすぐ気持ちを伝えようとした言葉は奇跡のような魅力をもっています。きっとこの少年たちは普通の人々よりもはるかにピュアで繊細な部分を持っていて、だからこそ虐待や親の不和に耐えることができずに取り返しのつかない問題を起こしてしまったのではないでしょうか。罪を犯したのは「自己責任」として矯正施設に閉じ込めている私たちの社会のあり方について反省させられます。
この少年たちの持っているようなみずみずしい感性を活かすことのできる世の中が早く来ないかなあ。
第12回 甲南大学書評対決、生協書籍部で実施中!
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