伊東浩司先生(スポーツ・健康科学教育研究センター)「学園のルーツ」

☆新入生向けの図書案内
 3年連続で図書館報「藤棚」を書かせていただきました。昨年書かせていただいた「藤棚」を読み返してみると年月が過ぎていくのが早いのと自分自身を取り巻く環境が目まぐるしく変化していることに驚いています。自分自身、新たな扉を開いて入学してくる学生の皆さんに読書の大切を、この「藤棚」に書かせていただいていますが、自分自身どれぐらいの本を読んだかというと、雑誌などを流し読みはしていましたが、じっくりと一冊の本をほとんど読んでいないかったことに気がつきました。何かを読んだり、調べたりすることのほとんどがインターネットでした。その本を読むことがなかった1年を振り返ってみると、自分自身の生活にゆとりを持ててなかったことに気がつきました。
 2018 年度入学された皆さんは、これからの学生生活に夢や希望に満ち溢れていることだと思います。勉学・スポーツなど多くのことに取り組んで欲しいと思いつつ、現実を忘れて本を読むゆとりの時間を持ってほしいと思います。私自身、仕事のことなどで悩んだことがあったときは、吉沢理事長先生にご相談することがあります。その時、理事長先生から必ず、私自身が悩んでいることを乗り越えるためのヒントとなる言葉を紹介していただいています。何を紹介していただいているかというと、本学園創立者の平生釟三郎先生の本を通じて、平生先生の言葉や実際に行動した出来ことなどを紹介していただいています。当然、その時代と現代の時代背景は異なりますが、その一言一言などで、私自身を一歩踏みとどまらせて、冷静に物事と向き合うことができています。この平生先生の考えを4年間かけて学んでいただき、建学の精神でもある「人格の修養と健康の増進を重んじ、個性を尊重して各人の天賦の特性を伸張させる」甲南生になっていただきたいと思います。この「藤棚」を書くことをきっかけにして、私自身、平生先生のことが書かれている「平生釟三郎・伝」を読んでみました。皆さんも、平生先生を初めてとする様々な分野で活躍された方々の本を読んでみたらいかがでしょうか、自分自身の成長にきっとつながるかと思います。

甲南大学図書館報「藤棚」(Vol.35 2018) より