関静雄著『ミュンヘン会談への道 : ヒトラー対チェンバレン外交対決30日の記録』


書名: ミュンヘン会談への道 : ヒトラー対チェンバレン外交対決30日の記録
著者: 関静雄
出版者: ミネルヴァ書房   出版年: 2017.11
場所: 1F開架一般   請求記号: 319.33//2021

本書は、ヨーロッパで戦争勃発の瀬戸際にあった1938年9月、「ミュンヘン会談」に至るまでの30日の間、ヒトラーに対する英国首相チェンバレンほか各国の首脳、側近、閣僚、外交官が、戦争を回避するため、何を考え、どのように行動したのか、資料に基づいて克明に記したものです。

各国の外交戦略や内政事情、さらには個人の信念や思惑まで詳細に記述されていますので、当時の欧州外交の様子を細部までうかがい知ることができます。

一般に、ミュンヘン会談を象徴とする宥和政策が第二次世界大戦を招いたと批判されています。(例えば、『第二次世界大戦』チャーチル〔河出書房新社, 1975〕)

しかし、本書を読むと、結果だけを捉えた批判は無価値であることがよくわかります。

また、英仏ほか大国に翻弄される小国チェコスロバキアの苦悩や悲哀を見過ごすことはできません。

本書を読み終えたとき、歴史は人の営みであることを改めて思わずにはいられません。

記述は平易です。臨場感と切迫感はまるで歴史小説を読んでいるかのようです。

歴史を学ぶ学生の方はもちろん、歴史好きの学生の方にもお勧めします。