文学部 中辻享先生へのインタビュー

文学部 4年生 中尾健人さんが、文学部 中辻享先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

―本はよく読まれますか。

よく読みますが、最近は学術書や論文を読むことの方が多いです。新書とかだと一日で読み終わることもあり、2~3日あれば一冊は読み終われます。しかし、現在は仕事の都合で全然読めない時もあります。

―本を探す場合、どのような方法で探されますか。

「Google Scholar」で、自分の調べたい論文をよく調べています。CiNiiでもいいのですが、日本語以外の論文も調べるには、「Google Scholar」の方が役立つのでオススメです。
また、論文を調べる際には図書館のレファレンスサービスをよく利用しています。
その一方で、最近では本屋さんに行くことはほとんどありません。古本屋を巡ることもしません。

―授業などで学生に物事を教える際、何か工夫していることは何かありますか。

事例をできるだけ含めて、教えるようにしています。そのためにも、映像を使うことは大切だと思います。
初めて授業をした際、ほとんど話せなかった経験から、授業に使う本は何回も読み直します。しかし、それでも実際に自分の目で見たものでないと、自信をもって教えることは難しいです。また、その反対に知りすぎている知識だと、細かいことを話しすぎたり、話に熱が入りすぎてしまったりします。

―先生のご専門は地理ですが、地理に興味をもたれたきっかけを、教えてください。

梅棹忠雄の『モゴール族探検記』が、文化地理に興味を持ったきっかけではなかったかと思います。
また、これも梅棹忠雄著になる、『知的生産の技術』という本で研究のやり方を学びました。やはり、梅棹忠雄の影響は大きかったです。
他には、ゼミで教科書として利用したこともある、川喜田二郎『発想法』や、桑原武夫『文学入門』からも影響を受けました。

―学生におすすめの本があれば教えてください。

太宰治の『津軽』をおすすめします。太宰治には、大学4回生の頃にハマって、電車の中や卒論の休憩の合間によく読みました。太宰の作品は、一般的に破滅的なイメージが多いのですが、実はユーモアのある作風で、そういうところが好きです。この『津軽』では、津軽半島のことについて詳しく記されており、地理的にも関心が深かったです。基本的に、風景描写がきれいな作品が好みです。
他には、ジャン=ジャック・ルソーの『告白録』も面白いと思いました。また、トルストイの『アンナ・カレーナ』もおすすめで、何度も読み直しました。
地理の分野で学生の方に薦めたい本は、村井吉敬『エビと日本人』です。また、宮本常一『忘れられた日本人』『民族学の旅』は民俗学の本ですが、地理を学ぶきっかけにはなると思います。

【まとめ・感想】

教員の方にインタビューを行うというのは初めての体験であり、緊張しました。しかし、自分の知らなかった多くの本や、知識を教わることができて、非常によい経験となりました。
インタビューの時間は、当初は20~30分ほどを予定していたのですが、結果的には40分以上も行わせていただきました。こんなに真剣に答えていただけるとは思っていなかったので、とてもありがたかったです。
太宰治の『津軽』や、桑原武夫の『文学入門』はぜひ読んでみようと思います。

 <中辻享先生おすすめの本>
太宰治著  『津軽』 新潮社,2004年

 

(インタビュアー:文学部 4年 中尾健人)