永田亮先生(知能情報学部)「2500/life」

☆新入生向けの図書案内
「人は一生にどれぐらいの本を読むのだろうか?」。皆さんは、そんなことを考えたことがありますか。私は、大学生のころ、ある時思い立って、一年間の読書数を数えることにしました。
その結果は約50 冊でした。平均すると週一冊のペースです。50 年間、同じペースで読み続けたとしても、2500 冊しか読めないことになります。数えているということもあり、積極的に読書をしていたにもかかわらず、たったこれだけしか読めないことに気付き、愕然としたことを覚えています。その時に、「良い本をたくさん読もう」と決心したこともよく覚えています。ちなみに、甲南大学の図書館に所蔵されている本は、約50万冊で、一年間に約2万冊が登録されるそうです。この数字から見
ても、2500冊というのがいかに少ないかわかります。
本をたくさん読むことが、一つの財産になるということはよく言われることです。積極的に本を読むことも大切ですが、上述の通り、読むことのできる冊数は限られていますので、良い本を選ぶことも大切かと思います。本をたくさん読んでいる人から推薦してもらうのは良い方法でしょう。お気に入りの作家を見つけることも効果的です。また、世の中、良い本ばかりではないので、時には途中でページを閉じてしまう勇気も必要かも知れません。

著者: 結城浩
タイトル: 数学ガール
出版者: ソフトバンククリエイティブ
出版年:  2007
配置場所: 図書館 1階開架一般
請求記号: 410.4//2015

著者: 小川 洋子
タイトル: 博士の愛した数式
出版者: 新潮社
出版年: 2003
配置場所: 図書館 2階中山文庫一般
請求記号: 913/O

次に紹介する2 冊は私がお勧めする本です。今回は、本の素晴らしさの一つ、分野の壁を自由に超えられるという点を意識して紹介します。1 冊目は、「数学ガール(結城浩 著)」です。数学の知識がなくても楽しく読める小説です。文系の学生さんにも、数学の魅力を感じてもらえるのではないかと思います。2 冊目は、「博士の愛した数式 (小川 洋子 著)」です。そのまま読んでも十分に楽しめますが、物語の中に出てくる数式の意味が分かると、この小説の真の意味を理解することができます。理系の学生さんはぜひ数式の意味にチャレンジしてみてください。
甲南大学図書館報 藤棚(Vol.29 2012) より