ジョシュア・ハマー著 梶山あゆみ訳 『アルカイダから古文書を守った図書館員』

 

知能情報学部 3年生 藤澤 舞さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名: アルカイダから古文書を守った図書館員
著者: ジョシュア・ハマー著   梶山あゆみ訳
出版社:紀伊國屋書店
出版年:2017年

みなさんはアルカイダと聞いて何を思い浮かべますか?私はこの本のタイトルをみてアメリカ同時多発テロ事件のビンラディンを想像しました。

この本ではアフリカのマリ共和国の都市、トンブクトゥが舞台です。主人公はここで暮らす一人の図書館員、アブデル・カデル・ハイダラです。その当時アルカイダは近代化と合理性を憎んでいた、つまり科学と宗教が共存する世界を理想とする古文書は迫害されるだろうということに彼は気づきます。彼がそれらを命がけで守るというノンフィクションです。同時に私は、これは38万冊の古文書の旅の話でもあると思います。トンブクトゥでは古くからイスラム文化が根付き、世界的な学問都市として多くの学者が住んでいた歴史があります。この中で貴重な古文書は作られたのです。そして大部分はハイダラによって図書館に収められています。この道のりがどれほど険しかったのかは読んでのお楽しみです!

また、私はアルカイダについて詳しく学びました。私はそれまでイスラム=危ない思想、暴力的というイメージを持っていました。でも、寛容で開かれたイスラムもあるとこの本で知りました。サハラ砂漠で「砂漠のフェスティバル」を行うなど音楽が盛んな一面をもっています。また、トンブクトゥは活気あふれる観光都市です。イスラム教が暴力的ではなく「イスラムの純化」を目指したアルカイダのテロリストたちの思想が暴力的なのだと知りました。

この本では主人公ハイダラの生い立ちと並行してアルカイダの興隆が描かれています。指導者=ビンラディンではないことや一言では語れないほど複雑な当時の社会情勢を学びました。アルカイダの残虐な行為がエスカレートする中、ハイダラが古文書を避難させるくだりは切迫した空気で手に汗握りながら読みました。

私は、この本はすべての読書好きは必ず読むべき本だと思います。本を読むことで多くの知識を身につけられると実感したからです。みなさんも未知の世界に飛び込んでみませんか?