川島 武宜著『日本人の法意識』

あなたは本当に「公正」に物事を考えていると言えますか?
法律の問題を考える時には、尚更、自分に問いかけてみてください。
当たり前と思い込んでいる慣習や、周囲の空気に影響されていませんか?

今回紹介する本は、 川島 武宜著『日本人の法意識』(岩波新書630)です。
(書庫の本なので、2階カウンターで利用を申し込んでください。)

1967年に刊行されてから、高度経済成長があり、バブルがあり、IT革命があり・・・、色々なことがありました。 にもかかわらず、現在でも多くの人に読み継がれている本です。

川島先生がこの本で問題提起をしたのは、まず、「法律と国民生活のズレ」です。
日本の法律は、明治維新後に、西欧に倣って短期間で作られたため、日本人の生活とかけ離れている部分が多くありました。

もうひとつは、タイトルにもなっている「日本人の法意識」についてです。
本文47ページに、「わが国には、法律は「伝家の宝刀」だ、という考え方がある。・・中略・・法律を「伝家の宝刀」と考えるということは、法律を、社会生活をコントロールするために政治権力を発動する手段とするのでなくただのかざりものにしておく、という考え方を意味する。」 とあります。
46年を経た今、皆さんにとって、「法律」とはどんな存在になっているでしょう。

川島先生は、この「ズレ」と「意識」を分析し、どう変化していくのかを読み解く試みをしています。
この本が今でも読まれているのは、常に考え続けなくてはならない問題を提起し続けているからです。

今、政府から、「憲法改正」が提案されています。
甲南人である皆さんは、学園歌にあるように「世の常に媚ぶるなく」、自分の法意識について考えてみてください。
法学を学んだことがない人は、専門的な部分は読み飛ばしても理解できるように書かれていますよ。

(konno)