宇田川敦史著 『アルゴリズム・AIを疑う : 誰がブラックボックスをつくるのか 』

 

 

知能情報学部 4年生 Yさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : アルゴリズム・AIを疑う : 誰がブラックボックスをつくるのか
著者 : 宇田川敦史

出版社:集英社
出版年:2025

『アルゴリズム・AIを疑う―誰がブラックボックスをつくるのか』は、私たちの生活に深く入り込んでいるアルゴリズムやAIを「便利な技術」として受け入れるだけでよいのかを問い直す一冊である。検索結果、SNSの表示、採用選考、信用評価など、AIはすでに社会の意思決定に大きな影響を与えているが、その仕組みや判断基準は多くの場合「ブラックボックス」として不可視化されている。

本書の特徴は、AIを単なる中立的な技術としてではなく、「誰が、どのような意図や価値観で設計し、運用しているのか」という社会的・政治的な問題として捉えている点にある。アルゴリズムは客観的で公平だと思われがちだが、実際には設計者の前提、使用されるデータの偏り、企業や国家の利害が強く反映される。その結果、差別や不平等が強化されてしまう可能性があることを、本書は具体例を通して明らかにしている。

特に印象的なのは、「ブラックボックスは自然に生まれるのではなく、意図的につくられている」という指摘である。企業秘密や効率性、責任回避といった理由から、アルゴリズムの透明性は後回しにされがちだ。しかし、それによって不利益を被るのは、判断の根拠を知らされないまま評価される私たち市民である。

本書は、AIを全面的に否定するのではなく、「疑う姿勢」を持つことの重要性を強調している。仕組みを問い、説明を求め、社会全体で監視することがなければ、AIは民主主義と相容れない存在になりかねない。『アルゴリズム・AIを疑う』は、テクノロジーと社会の関係を考えるための入門書であり、AI時代を生きる私たちにとって必読の一冊である。