[藤棚ONLINE]経済学部・奥山鈴香先生推薦『にっぽんの美しい民藝』

図書館報『藤棚ONLINE』
経済学部・奥山鈴香先生より

 私が紹介したい本は、『にっぽんの美しい民藝』です。この本では、日本全国の民藝館と民藝のお店の情報が写真付きで紹介されています。民藝とは、民衆的工藝の略で、いわば、職人さんによる日常づかいのためのものづくりといったところでしょうか (もはや誰も無名ではない)。

 ここ数年、私は旅先で器を買うのにはまっています。はじまりは、学会発表で行ったオランダのアムステルダムでした。シンゲルの花市場にあるムント塔のデルフト焼きのお店で、高価なデルフト焼きはあきらめ、隅にあったポーリッシュポタリーの皿と小鉢を買いました。どちらもおそろいの白地に青い線と赤いチューリップの柄です。それをきっかけに、長崎駅で波佐見焼の小鉢を、小樽のセミナー会場の近くでグラスを購入しました。

 仕事柄、出張に行くとはいえ、その場所も時間もかなり限られています(やたら東京が多い)。そうなると、私的に出かけざるを得なくなります。立杭の丹窓窯でスリップウェアの皿を買い、そういえば、ポスドク時代の雇い主が美術館に通えとしつこく言っていたなと思い出し、山崎の美術館を訪ねました。そして、しだいに民藝について知るようになりました。

 旅行に行った先々でその土地を知ることはとても楽しいことです。様々な気候や風土があり、それぞれの土地で作られるものが異なります。旅先で器を買い日々使うことで、作り手の物語、私の旅の物語、私の生活の物語が重なっていきます。この器の物語は、購入をSNSにあげたところでは完成せず、私たちが生きるということは日々の過程そのものに価値があることを教えてくれます。

 そこで、夏休み、旅のお供にこちらの1冊いかがでしょうか。電子書籍もあります。