投稿者「図書館」のアーカイブ

【第10回 甲南大学書評対決】 湊かなえ著 『告白』

4月23日(水)に開催された第10回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

女子ラクロス部チーム 文学部歴史文化学科4年  田渕 晴さんからのおすすめ本です。

 

 

書名:告白
著者:湊かなえ
出版社:双葉文庫
出版年:2020年

こちらはライブラリーサーティフィケイトでも人気の作品です。

 

以下、田渕さんからの書評です。

 

この本は、作者である湊かなえさんの代表作でもあり、ミステリー小説です。衝撃的な内容と独特な語り口で大きな話題を呼びました。

物語は、教師である主人公の森口悠子が、終業式のホームルームで、自分の娘を殺害した犯人を告白するところから始まります。彼女の告白で、事件の真相が少しずつ明らかになっていき、物語は関係者や周囲の人々など登場人物たちの視点で進んでいくので、様々な視点から物語を楽しめます。それぞれの登場人物が抱える秘密や心の葛藤が明らかになっていき、語り手の視点が変わることで真実が浮かび上がります。予測不可能な結末へと展開していき、目が離せません。

人間の感情や罪、復讐といったテーマが織り交ぜられ、また色々な視点から物語を読むことができ、読者を引き込む話となっています。

 

 

第10回 甲南大学書評対決、生協書籍部で実施中!

もあわせてご覧ください!

【第10回 甲南大学書評対決】 木下半太著 『鈴木ごっこ』

4月23日(水)に開催された第10回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

女子ラクロス部チーム 文学部人間科学科4年  友金 春日さんからのおすすめ本です。

 

 

書名:鈴木ごっこ
著者:木下半太
出版社:幻冬舎文庫
出版年:2015年

著者の木下さんからコメントをいただき、少し緊張した面持ちでのプレゼンです。

 

以下、友金さんからの書評です。

 

この本は、見知らぬ男女4人の共同生活が描かれたお話です。

巨額の借金を抱えた4人に課されたミッションは1年間鈴木家として暮らすこと。年齢も性格もバラバラな4人ですが、1年間同じ屋根の下で暮らすことで徐々に変化していく家族模様がリアルに書かれています。家族ごっこをしていく中で新たなミッションが課される。このミッションを失敗したら4人の未来は無い。

読んだ人は必ず「そういうことかー!」と言うこと間違いなし。ミステリー小説が苦手な方でもサクッと読める作品になっています。

 

 

第10回 甲南大学書評対決、生協書籍部で実施中!

もあわせてご覧ください!

【第10回 甲南大学書評対決】 伊藤美奈子監 双葉陽マンガ 『わたしもHappy みんなもHappy【ハピかわ】こころのルール』

4月23日(水)に開催された第10回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

経営学部教授 西村 順二 先生からのおすすめ本です。

 

 

書名:わたしもHappy みんなもHappy【ハピかわ】こころのルール
著者:伊藤 美奈子監 双葉 陽マンガ はぴふるガール編集部編
出版社:池田書店
出版年:2020年

西村先生3冊目のおすすめ本です。こちらはマンガです。

 

以下、先生の書評です。

 

漫画である本書の主人公は小学校5年3組の女子児童たちです。

子供なりに成長期に起こる人間関係に悩み、そしてそれによる自己否定や自信喪失をいかに解決するか、その方法を示してくれています。それは何歳になっても、そして誰にも起こってくる課題です。「わたしの心、みんなの心」、「わたしってどんな子」、「いろいろな気持ちを知ろう」、「違う気持ちを認め合おう」、「気持ちを上手に伝えよう」、これらを読み進めるうちに自分を認め、他社を理解して慮り、楽しく毎日を歩んでいくことに近づくことが出来るような気持ちになります。

本書は、たかが漫画ですが、されど漫画です。少し肩の力を抜いて、一度流し読んでみて下さい。

 

第10回 甲南大学書評対決、生協書籍部で実施中!

もあわせてご覧ください!

【第10回 甲南大学書評対決】 外山滋比古著 『新版 知的創造のヒント』

4月23日(水)に開催された第10回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

経営学部教授 西村 順二 先生からのおすすめ本です。

 

 

書名:新版 知的創造のヒント
著者:外山滋比古
出版社:ちくま文庫
出版年:2025年

西村先生2冊目のおすすめ本です。1977年に発売された本に特別講義を加えて昨年発売された新版です。

 

以下、先生の書評です。

 

知的創造と冒頭にありますが、本書は「きちんと考えるということが重要である」と一貫して主張しています。

世の中には、今や知るべき情報は「10の20乗」、つまり10垓(がい)の情報量があると言われます(総務省『情報通信白書』2011)。桁では億、兆、そして京、その上が垓(がい)です。10の20乗(10垓)の情報、それらをすべて知ることは不可能です。となれば、それらを知ることではなく、それらを活用して何を考えていくかということが重要になってきます。

筆者はそのヒントを12の短編の様に説明してくれています。「知ること」と「考えること」は異なるのです。「人間は考える葦である」(パスカル)ことを改めて思い出させてくれる1冊です。

 

 

第10回 甲南大学書評対決、生協書籍部で実施中!

もあわせてご覧ください!

【第10回 甲南大学書評対決】 ハン・ガン著 『すべての、白いものたちの』

4月23日(水)に開催された第10回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

経営学部教授 西村 順二 先生からのおすすめ本です。

 

 

書名:すべての、白いものたちの
著者: ハン・ガン
出版社:河出文庫
出版年:2023年

西村先生1冊目のおすすめ本です。2024年にノーベル文学賞を受賞した本です。

 

以下、先生の書評です。

 

本書は2024年ノーベル文学賞を受賞したハン・ガン氏の著作です。

筆者は、冒頭に筆者にとっての白いものは「おくるみ、うぶぎ、しお、ゆき、こおり等」を挙げています。単に「白色」という色に拘るでなく、筆者の過去の体験、それを現在からみた上でのそれらに対する思いが詰まっています。それを「しろいもの」に見出しています。筆者の世界観が「しろい」をキーワードに広がっています。そして、「しろい」という形容詞が何を修飾するかは読み手に任され、そこには余白がふんだんに用意されています。

是非一読して、ハン・ガンさんの世界観を感じてみてください。きっと、明日から見る風景が変わるかもしれません。また、これまで気づかなかった景色があることに気が付くかもしれませんよ。

 

 

第10回 甲南大学書評対決、生協書籍部で実施中!

もあわせてご覧ください!

中辻享(文学部)『焼畑を活かす土地利用の地理学 : ラオス山村の70年』

■『焼畑を活かす土地利用の地理学 : ラオス山村の70年
京都大学学術出版会 , 2025.2
■ ISBN  9784814005734

■ 請求記号 612.236//2002
■ 配架場所 図書館1階・教員著作コーナー
■ 編著者 中辻享(文学部)著

<自著紹介>
ラオスの人々と一緒に村の土地利用を示す地図を作ったりしながら、東南アジアの山村の環境問題と貧困問題について考えました。また、これまで活用されてこなかった古い航空写真を使って、戦争や焼畑が森林にどんな影響をもたらしたのかを70年間のスパンで考察しました。伝統的なタイプの焼畑は環境破壊ではなく、実は村の人々にいろんな恵みをもたらしていることがわかってきました。