投稿者「図書館」のアーカイブ

真崎克彦(マネジメント創造学部)『ポスト資本主義時代の地域主義』

ポスト資本主義時代の地域主義 : 草の根の価値創造の実践
明石書店 , 2024.5
■ ISBN  9784750357522
■ 請求記号 332.9//2076
■ 配架場所 図書館1階・教員著作コーナー
■ 編著者 真崎克彦(マネジメント創造学部), 藍澤淑雄 編著

<自著紹介>

ポスト資本主義(従来の原理とは異なる経済・政治・社会体制への移行)を構想する鍵は、世界各地の人々の営みに見出せます。どのように地域を活性化し、庶民生活を守り、子どもを育て、将来世代の教育を進めれば良いのでしょうか。その手がかりを国内外の事例から探る著書です。先行きが不透明な昨今、これからどう生きていったら良いのかを考える上で、参考にしてもらえると嬉しいです。

九鬼周造博士の書き入れがある『「いき」の構造』と『偶然性の問題』をデジタルアーカイブから公開しました

 甲南大学図書館の九鬼周造文庫で保管されている、哲学者・九鬼周造博士の代表作『「いき」の構造』と『偶然性の問題』を、甲南大学デジタルアーカイブから公開しました。

「いき」の構造  
https://archive.konan-u.ac.jp/il/meta_pub/G0000861konanu_L00399

偶然性の問題
https://archive.konan-u.ac.jp/il/meta_pub/G0000861konanu_L00400
https://archive.konan-u.ac.jp/il/meta_pub/G0000861konanu_L00401
https://archive.konan-u.ac.jp/il/meta_pub/G0000861konanu_L00402

 いずれも、九鬼博士本人による書き入れがされている手拓本で、哲学者の思索の跡を辿ることができます。

 『「いき」の構造』は、昭和5年(1930年)に岩波書店から出版されました。手拓本には、書き入れのほかにも、巻末には正誤表が付されており、関連する新聞記事の切り抜きと、京都帝国大学の同僚であった田中秀央(1886-1974, 西洋古典学・言語学)からの手紙も挟み込まれています。
昭和56年(1981年)に刊行された『九鬼周造全集』に収録された『「いき」の構造』の底本にされた本です。

『「いき」の構造』手拓本 (外箱)

 『偶然性の問題』は、昭和 10年(1935年)に岩波書店から出版されました 。甲南大学図書館にある手拓本は、片面刷りで奥付もありませんが、余白となったページなどに書き込みがあります。
 この手拓本にも、九鬼博士によって新聞記事が挟み込まれていますが、九鬼博士が「偶然性」を拾い上げた新聞記事は、他にも数多く九鬼周造文庫に収められています。

『偶然性の問題』 手拓本

 九鬼周造文庫で保管されている九鬼博士の著作のうち、書き込みがある本はこの2冊のみですが、博士の旧蔵書には書き入れのある本が多くあります。ドイツ語の本はドイツ語で、フランス語の本はフランス語で、ギリシャ語や英語、もちろん日本語の本にも、書き込みがされたり、裏表紙の見返しに独自の索引が書き入れられている本があります。

 九鬼周造文庫の資料は、資料保護のために利用を制限しています。原稿やノートなど、甲南大学デジタルアーカイブから公開している資料、電子化が完了している資料は、原本をご利用いただくことはできません。
 九鬼博士の旧蔵書のご利用については、貴重資料の利用案内をご確認ください。収蔵されている本は、甲南大学機関リポジトリから公開している『九鬼周造文庫目録』でご調査いただけます。

 本資料の公開は、KONANプレミア・プロジェクトの研究力展開プロジェクトの「甲南大学知的財産デジタル化推進プロジェクト」で行いました。
 甲南大学図書館は、これからも甲南大学が所蔵する貴重資料や研究成果をデジタル化・WEB公開することでさらなる利活用を図り、社会全体の学術研究発展に貢献いたします。

KONANライブラリ サーティフィケイトの「読書記録ノート」のデザインが新しくなりました!

新しい「読書記録ノート」は、 マネジメント創造学部の卒業生で、現在、書家として活躍されておられる”翠 -sui-“さんがデザインしてくださいました。

「過去の人類の知を活用しながら、新たな文化を創造する力をつける」というライブラリ サーティフィケイトの主旨から、「活字を読む」という方法で今と昔を繋ぐ活動をするという印象を抱きました。時間をかけて幾枚もの紙面から文字やことばを拾い、それを自分自身の言葉につなげて新たに何かを生み出すという想いを込め、『紡』の字を選びました。
テーマカラーに使用した色は、甲南のスクールカラーのえんじと、松などのキャンパスの木々の緑です。根本から先に向かって枝分かれした線は、読書で集めた知識や語彙力を多方面へ活かすことを表しています。

在学中は、甲墨会に所属され、数々の賞も受賞されたそうです。現在は、書家として活動される傍ら、 オンラインショップ[suiiro]を運営し、アクリル板やキャンバスを使用した命名書などの作品販売も行なっておられるとのこと。

翠さんとは、マネジメント創造学部ご所属で図書館長の杉本喜美子先生が引き合わせてくださいました。
写真左が翠さん、右が杉本先生です。素敵なお二人に改めて感謝申し上げます。

翠さんからは、ライブラリ サーティフィケイト参加者の皆さまに、応援メッセージも頂きました。
魔法のように素敵な手書きメッセージは、原画と合わせて 図書館2階の「KONANサロン」 に展示しています。是非一度ご覧ください。

望月徹(経営学部)『地域を価値づけるまちづくり』

地域を価値づけるまちづくり : 尾道を蘇らせた移住者・空き家再生・ツーリズムの分析
ナカニシヤ出版 , 2024.3
■ ISBN  9784779517822
■ 請求記号 601.176//2002
■ 配架場所 図書館1階・教員著作コーナー
■ 編著者 望月徹(経営学部・特任教授)

<自著紹介>

100円のボールペンに5000円のコンサートチケット、ものの値段はそのモノやコトの価値を示す便利な目印である。メモをとりアーチストと一体感を味わうことで、人はその目的を達し効用を得る。

だが、価値観が多様化する現代、その商品やサービスの価値を値段や量的な効用だけで測ることは難くなっている。例えば、100円のボールペンでも、婚姻届けを出すときに使ったものなら特別な愛着が湧くだろうし、記憶に残るコンサートなら、そのチケットの半券は、その臨場感を呼び起こすフックになるかもしれない。このように、モノやコトはその背後にある様々な事情や背景で価値づけられ、それぞれ固有な意味を付与される。ましてや自分たちが住まい暮らす地域ならなおさらである。というのも、各々の地域には固有の歴史、伝統・文化、生業があり、それらが、地域に固有の価値を付与するからである。

しかし、100円、5000円という値段は、その背後にある様々な価値を、「価格」という単一の価値尺度に回収してしまう。そこでは、価値を生み出すプロセスや、要素間の関係性はブラック・ボックスの中に置き去りにされる。そこで、このブラック・ボックスの中を覗いてその構造を明らかにしよう、価格以外の価値づけの主要な構成要素を切り出し、その相互の連関で明らかにしようとする価値づけ研究valuation studiesが世界的にも注目され研究が活発化している。

本書はこのような世界的な潮流に即して行った研究の成果である。これまでの価値づけ研究は、ボルドーやブルゴーニュのワイン、今治タオルや児島ジーンズというように、主に、ものづくりの産地の成り立ちや性質を問うものであった。これに対し、本書では、都市・地域に着目し、複合的な要素で構成される都市・地域の価値づけを、その編成原理も含め空間的にトータルに把握することを試みた。

まずは、本書を手に取ってこのワンダーランドへ一歩足を踏み入れてほしい。そこには、広島県尾道市において若い移住者たちが醸す新しい世界が広がる。空き家再生やサイクルツーリズムが都市を再生させ、近隣住民や企業も手を携えその変化を後押しする。そこでは地域が価値づけられ活性化するプロセスが紐解かれる。その結果、この手法はどの地域へも応用可能なことが理解される。現代社会の非物質的な転回、コモン、ツーリズムなどが、このワンダーランドを旅する上での道標となる。

山本真知子(法学部)『学校法人ガバナンスの現状と課題』

学校法人ガバナンスの現状と課題 : 令和5年私立学校法改正の理解と実践のために
日本評論社 , 2023.12
■ ISBN 978-4-535-52677-8
■ 請求記号 373.22//2007
■ 配架場所 図書館1階・教員著作コーナー
■ 編著者 尾崎安央, 川島いづみ,  山本真知子(法学部教授),  尾形祥

<自著紹介>
令和5(2023)年4月26日に私立学校法が改正され(令和7(2025)年4月1日施行予定)、学校法人ガバナンスにつき、理事と評議員の兼職禁止、大規模な法人等への会計監査人設置の義務付け、理事・監事等の罰則規定の整備などの重要な変更がなされた。本書は、同改正の理論的な意義を探り、社員(社団の構成員)の不在という学校法人ガバナンスの抱える根源的な問題を明らかにする。

佐伯暁子(文学部)『日本語助詞「を」の研究』

日本語助詞「を」の研究
ひつじ書房 , 2024.2
■ ISBN 978-4-8234-1201-1
■ 請求記号 815.7//2031
■ 配架場所 図書館1階・教員著作コーナー
■ 著者(所属) 佐伯暁子(文学部教授)

<自著紹介>
現代語の助詞「を」には、さまざまな意味があります。例えば、「パン食べる」「雨の中捜索する。」「午前9時過ぎる。」「普通ならまっすぐ自宅へ帰るところ、本屋に寄って新刊をチェックした。」「本日中に本を返却すべき、自宅に持ち帰ってしまった。」では、「を」の意味が異なります。
本書は、さまざま意味を持つ助詞「を」の体系化を目指したものです。古代語から現代語への文法変化も視野に入れることで、助詞「を」の全体像を明らかにすることを試みました。